朝活俳句アワード2022を読む 第6回 千吉「洸太を読む」

今回の友定洸太さんの作品の中で、一つだけ異質な句があります。

しりとりに喇叭ふたたび石蕗の花 友定洸太 

この句の良いところも「石蕗の花」、悪いところも「石蕗の花」。
どういうことかと言うと、先ずは「石蕗の花」の形状を思い出して頂きたい。
喇叭から始まったしりとりは、「石蕗の花」の花びらをひとつずつ追うように
進んで行きます。(クイズ番組の問題を答えるように)
そしてついには「石蕗の花」を一周してしまうのです。
しりとりに話を戻せば、「喇叭」と途中何処かで回答された言葉を
うっかり者の誰かが又、「喇叭」ともう一度再び回答してしまうのです。

つまりこの句だけは、友定洸太さんの頭の中でひねられ詠まれたものです。
友定洸太さんの作風からすると、少し残念な気もします。

山茶花や雨の染みこむスニーカー 友定洸太

近くの公園に、山茶花の大木があります。
雨が降ると、どうしても見たくなり(句材になるかと想い)、
わざわざ通勤経路を変えてまで見に行ってしまいます。
余裕の無い朝ですが、どうしても見入ってしまいます。

遭遇している山茶花は大木のような気がします。
若き人は何を山茶花に問いかけるのでしょうか?
「雨の染みこむスニーカー」

プロパンガスボンベごろりと彼岸入り 友定洸太

人間が生活していく上で必ず音が発生します。
「ごろり」と実生活の音。
彼岸には、音とは存在するのでしょうか?
行ったことが無いから分かりませんよね!
「ごろり」生きている音。

水筒に波音のして花あやめ 友定洸太

この水筒の中にある舟と共に、
夏の大波の中を爽快に突き進んでみたい。
取り合わせに「あやめ」と詠んだことで、
若い情熱が加わり突き進む力は加速する。
「水筒に」

ふくらんでそれぞれ夜行バスを待つ 友定洸太

このような句は、詠めそうでなかなか詠めない。
本人がそのような気持ちだからすんなり詠める。
少し地味な句ではあるが、今回の作品のなかで、
私が一番気にいった句である。

友定洸太さんの日常が詠み込まれた作品。
作風としての世界には統一感があります。
千吉が感じたことを書かせて頂きました。

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川嶋ぱんだ
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