女神転生5 の楽曲について
女神転生5クリアしたぞ!
昨日の続き。
音楽についても、これらのテーゼ、ドグマ、ライトモチーフは、徹底されている。
私が特に推したいのは、戦闘曲8だ。
詳細は、ネタバレのため伏せるが、この旋律が奏でられる時、多神教の衝突が生じる。
例えばそれは、地母神イシュタルのようなバビロニアであったり、ヴァスキのようなヒンドゥ神話や、コンスのようなエジプト神話であったりする。
そして、主人公自身は、日本神話の担い手だ。
モノジイズムによって悪魔と一括りにされていた組織が、亀裂し、瓦解し、分離し、そして、互いに喰み合う。その際に、この勇壮なメロディが、スピーカーから涙の如く流れ落ちる。
そのことを踏まえた上で、この曲を分析すると、徹底された、魔術的な数のイメージが、そこには付与されていることが明らかになる。
これは、賢明な読者には言うまでもないことだが、
8
という数字は、古代日本神話における神聖の象徴だ。
八咫烏、八咫の鏡、八幡神社、大八洲、八百万の神。
これらは、現代でも人口に膾炙した言葉である。
そして実際に曲を聞けばわかるのであるが、
最初の1分前語こそ、大人しく霧の中を手探りで彷徨うようなメロディの後、この曲は。
88秒、96秒と、8秒ごとに、新しい刺激的な音圧が追加される。
テクノギターのリフ、激しいドラムベース、そして女神の声明。
88秒の変調は、日本神話と、その他の多神教の衝突。
96秒は、反草魚図であり、不調和であり、戦いを意味する。
分に直すと、88秒は、1分28秒だが、それは、唯一神の存在が、2で背反、矛盾しており、3ではないということ、つまり、三位一体トリニティが、既に失われていること、そして、それこそが、八百万の神を肯定する構成要素であることが、示される。
さらに96秒の変調は、1分36秒。
これは、ユダヤのゲマトリア数秘術における魔術数9が、不完全数6であることを指し示し、あの「エリエリレマサバクタニ」的に、自家撞着、自己否定を行っている。
1、唯一神が、3、3位一体であり、それらは、10進数における9であると、つまり、不完全だと、喝破しているのだ。
さらに9は、日本では、苦と、発音し、縁起の悪い数だ。それが、6で、逆転し、幸運として、表現される。
つまり、現実と、モチーフのイメージが、乖離していることを、この曲は、わずか8秒の間に端的かつ克明に暴き出しているのである。
したがって、これは多神教の讃美歌であり、同時に一神教視点のサタニストによるサバト歌でもある。
作曲家の深い知恵と、知識が伺い知れる緊密な構成で、下手に触れれば砕ける水晶体のように煌めくメロディなのだ。
このハーモニーが、地母神イシュタルの極大雷攻撃。
「畏怖なる光輝」に乗せて流れるなんて、気持ち良すぎるのである。しかも。
汝、神となれ、
そのキャッチコピーが、
強大な神と戦う自己を、「神」であるとして肯定してくれる。
神は悪魔となり、悪魔は神に変わる。
踵を接しながらも、ベクトルは逆に向く形で背反する概念が、リズムとなって、プレイヤーを鼓舞する。
ネットにより世界は狭まり、絶対なる象徴としての神は死に、そして。
私たちの隣に、神が顕れ、それを見る私たち自身もまた、誰かに掬い上げられて、神へと己が姿を変えていく。
これはまさに汎神の世界だ。
もう少しだけ続く。