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再生可能エネルギーには「よい再エネ」と「悪い再エネ」がある!?
こんにちは。PAF MALLのエシカル男子、【14期】エシカル・コンシェルジュ講座受講生のカワムラです。
先日、第3回講義を受講してきました。テーマは「地域と共生する再生可能エネルギーの可能性」(講師:テレビ朝日アナウンサー 山口 豊さん)。
山口さんは、1992年テレビ朝日にアナウンサーとして入社。以来、30年以上にわたり報道アナとして活動しています。2006年から10年間、報道ステーションでリポーターを担当。その際、日本や世界の気候変動の現場を取材。以降、再生可能エネルギー(以下「再エネ」)の取材をライフワークとすることを決意したと語ります。
現在、「山口 豊アナが見たSDGs最前線」は、テレビ朝日の報道番組で放送後、YouTubeでも配信されています。総再生回数は700万回以上。
必ずしも視聴率など数値に直結するコンテンツとはいいきれない再エネの取材。それでもなぜ、山口さんが取材を続けているか。それは「知ってしまったからには、伝えていかなければならない」という、まさにジャーナリスト魂によるものだったといいます。
現在、日本が抱える社会課題として、
気候変動
人口減少と東京への一極集中
エネルギー自給率の低迷
耕作放棄地の増加
森林の荒廃
失われた30年
などがあります。
このnoteでも、地球規模のかつてない気候変動の影響について書いてきましたが、山口さんによれば「地域と共生する再エネが、課題解決の突破口になるのではないか!?」というのです。
地域と共生する再エネとは
山口さんは、地域の人々や自然と共生することが、再生可能エネルギーには重要であると語ります。その上で、「よい再エネ」と「悪い再エネ」を定義づけてくれました。
よい再エネ:地域の人が主体となって、自然と共生する形で導入。地元にエネルギー、お金、雇用を生み、地域を元気にする
悪い再エネ:外部業者が住民の頭越しに開発。地域の自然を破壊し、地域が「植民地化」される。対策として、行政主導によるゾーニングも重要。
うん、なんとなく察しますよね、わかります。
講義では、気候変動対策をポジティブに捉え、化石資源のない国であった日本の再エネポテンシャルを掘り起こした、各地の事例が語られました。
秋田県の「秋田風作戦」
厄介者だった秋田県の強風を活かし、沿岸部に約300基の風車を建設。日本最大級の陸上風力発電地域に。県内の全世帯数を上回る規模の電力を生み出しています。
地元企業ウェンティ・ジャパンの佐藤裕之さんが中心となり、中小企業150社以上が参加する「秋田風作戦」を結成。一大サプライチェーンを形成しました。
洋上風力では、最大級の由利本荘市沖案件を三菱商事などと組み落札。洋上風力は秋田県内で陸上風力の約3倍の電力を生む予定。洋上風力が稼働する2030年以降には、秋田は完全な再エネ電力輸出地帯に変貌。経済効果は約3800億円、3万7千人の雇用創出が見込まれています。
長崎県五島市の「浮体式洋上風力」
長崎県五島市沖では、浮体式洋上風車が2016年から商用運転中。浮体式風車は一度も転倒せず、約2000世帯分の電気を送り続けています。
元小学校教師の橋本武敏さんが島の将来を考え、風車メンテナンス会社を起業。浮体式風車の海中部分は藻が生い茂って漁礁効果も。地元漁協も誘致に協力しました。
商工会議所の清瀧誠司さんが「五島市民電力」を立ち上げ、40億円の電気代の4分の1を島内に還流。五島版RE100で電力の地産地消へ。
8基の浮体式風車を追加投入中。最先端の潮流発電の実証事業も成功しています。
福島県土湯温泉の「地熱バイナリー発電」
東日本大震災と原発事故で温泉街は存続の危機に。2011年10月、加藤勝一さんが地元温泉組合の有志とともに、復興再生協議会を立ち上げました。
2015年、130度の源泉を活かした地熱バイナリー発電を導入。温泉資源に影響を与えず、売電収入年間1億円。そしてその収益は地元へ還元。
高齢者のバス乗車賃は無料。高校・大学生の通学定期代無償。年間2500人の見学者が訪れ、新たな観光資源となっています。
排熱で、熱帯生息のオニテナガエビの養殖に成功。温泉施設利用客数はV字回復を遂げています。
岡山県真庭市の「木質バイオマス発電」
日本の国土の7割は森、4割は人工林。荒れた森の整備で新たな循環を生み出した好事例です。
銘建工業株式会社社長、中島浩一郎さんは、1984年に175kWの小さなバイオマス発電所1号機を導入。2015年には1万kWのバイオマス発電所までに成長。売電収入24億円。
燃料は森に捨てられていた木。年間14億円を地元に還元しています。新建材CLTの開発、林業の復活、森林再生、雇用創出など、森林資源活用の先進地として「真庭モデル」と称されています。
いかがでしょうか。他にもたくさんの事例がありましたので、ご興味のあるかたは山口さんのYouTubeを覗いてみてください。かなり見応えあります。
地域と共生する再エネは、強力な地域の課題解決策になり、分散型社会の実現に繋がると感じませんか。実際、僕は洋上風力発電の現場を見に行きたくなりました。
洋上風力発電、とくに浮体式構造物を利用した「浮体式洋上風力発電」は、広大な排他的経済水域を備え、遠浅の海岸が少ない日本には適していて、大きなポテンシャルを期待されています。
太陽、海、風、森、地熱…日本が持つ天然資源による再エネ革命が、さらに日本各地で起こっていくことを願ってやみません。