陰陽五行 〜肺〜
北海道は紅葉が色付きはじめ、本格的に肌で寒さを感じる季節に入りました。
長い冬の始まりです。色々と生活の中で備えなければなりません。
今月は漢方の✳︎五行説 "金ー肺" についてお話しします。
大まかに言うと肺には『外気をろ過して身体を外敵から守る』役割があります。
肺は体内へ取り込んだ外気を浄化して、気(エネルギー)を生成し全身へ配る機能を持ちます。そして気と共にスプリンクラーのように全身に水を分配します。
肺で作られた気は体内だけでなく身体の表面まで広がるように配られ、身体を防御する働きもあります。そのため、防御機能に異常が生じる(邪気に負ける)と風邪を引きやすくなるのです。
そして、鼻や喉などの呼吸器系をコントロールしているので、肺が弱まると鼻炎やアレルギー、喉のトラブルなどを引き起こします。
生き物は一生にできる呼吸の回数が決まってるという、インドのスワミジ(修行僧の師)話を思い出しました。
"長い呼吸で回数が少ないものは、長い年数生きられる。反対に、短い呼吸をたくさんするものは、短い年数しか生きられない。"
日本のお寺で丹田呼吸法を教えてくださった先生(僧侶)の呼吸は1分間に3回程度でした。静寂の中に力強い人間の生命を体感し、感銘を受けたことを覚えています。
そこで今回は『478呼吸法』をご紹介します。
478呼吸法とは、4秒-7秒-8秒で行う腹式呼吸のことです。これは、ヨガを参考に考案された呼吸法で、自律神経の乱れを調整し不眠やストレス改善に効果をもたらすと話題になりました(安倍元首相が行っていた呼吸法と聞くとピンとくるかもしれませんね)。
比較的効果が現われやすい方法なので、ぜひ一度お試し下さい。
① お腹と下腹部を凹ませて完全に息を吐きます。
② ゆっくり4秒かけてお腹を膨らませながら鼻から息を吸います。
③ 7秒間息を止めます。
④ 8秒かけてお腹と下腹部を凹ませながら口からゆっくり息を吐き出します。
頭の中でカウントして気持ちが落ち着くまで、上記の呼吸を繰り返しましょう。
⭐︎1分間で大体4回と数えると最初は3〜4分程度で十分かと思います。
⭐︎好きなアロマで芳香浴をしながら行うと沢山息を吸うことができるのでおススメです。
私たちは、オギャーと息を吐いてこの世に誕生し、アクシデントがない限り息を引きとり(吸う)人生を終えます。その間、呼吸は絶え間なく続いています。
たった1つだけ、私たちが意図的にその動きを調節できる内臓の臓器は肺です。
肺自体を自在に動かすことはできませんが、肺と接している肋骨の筋肉=肋間筋や横隔膜を呼吸によって伸ばしたり縮めたりして内臓をマッサージすることができるのです。
皆さんも肉体が疲労した時、経絡やリンパなどをマッサージしたり、指圧でツボを刺激したりしたことがあるかと思いますが、自分の手で内臓をマッサージすることは不可能ですね。
是非この呼吸法を使ってゆっくり丁寧に深呼吸する時間を持って『長息』しましょう。
✳︎五行説とは
中医学の理論を支える自然観の1つで、これは後に陰陽論と結びついて陰陽五行説となり、中国独自の自然哲学となった。五行=木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)のそれぞれがもつ性質に基づいて、あらゆる事物をこの5つの要素に帰属させ、全体を五行の関係を持って解釈する考え方です。