通過点 - 週末1000字エッセイ#12(全文公開)
先日、運営する写真コミュニティのグループ展が開催された。
今までに、自分の作品が展示された経験は何度かある。しかし、写真展の運営は、はじめてであった。ずっとやりたかったことの、ひとつでもあった。
出展者は12名、準備に約半年。主催と打ち合わせる。あれをやろう、これもやろう。アイデアがたくさん出てくる。それをまとめ、全体に共有する。返事がある。また次の策を考える…。手探りの日々を繰り返した。
運営として、至らない点は山ほどあったと思う。しかし、それでもメンバーはついてきてくれた。全員が同じ方向を見て歩んでいる感覚があったことが、わたしの心の救いだった。
ひとりでは出来ないことが、たくさんある。
人が集まるとできることが、たくさんある。
アイデアを出すひと。まとめるのが得意なひと。人と話すのが上手なひと。周囲をよく見られるひと。手先が器用なひと。それぞれに長所がある。居場所がある。そして互いに手を取り合い、チームになる。
社会人になった時、上司から「自分の居場所は、自分で作っていくんだよ」と言われた。当時は、ピンと来なかった。しかし、何年も働いたり、コミニュニティの運営をするうちに、その意味が分かるようになった。
わたしには、わたしの出来ることがある。
その行動の積み重ねが、やがて自らの居場所になるのだろう。
搬入日、会場が写真展のカタチになった。
それを見て、涙が出そうになった。
何かを生み出す喜びを、わたしは充分知っている。長い間、写真を撮り、文章を書き、世に送り出し続けてきた。
作品が出来たとき。誰かに届いたとき。その時の「喜び」は、まるで暖かい光のようで、自分の生命を肯定してくれる。
この創作の喜びを、仲間と共有できた。
それが、一番嬉しかった。
会期は6日間。開催前は「始まってしまったら、あっという間なんだろうな」と思っていた。しかし、1日1日が、とても長く感じられた。身体はボロボロなのに、心は子どものように元気だった。
写真展や作品に言葉をいただく。そのたび、生命を刻んでいるような感覚になった。わたしの真髄を誰かに打ち明ける瞬間だった。
近年忘れていた生命に対する情熱が、息を吹き返したような気がした。
今回の写真展は、コミニュニティの通過点である。それと同時に、わたしの人生の通過点である。最後は灰となるわたしが、あとどれだけ写真を撮り、文章を綴り、作品を発信できるだろうか。
まだまだ、これからだ。
生命を、ここに刻んでいこう。
そして、素敵な経験に感謝。良き仲間に感謝。
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週末1000字エッセイ
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