私が実践する【ドイツの働き方】
現在OZOでは、ドイツ・ベルリンにある3つのロースターを楽しめます。
いつかタイミングがあれば話したいと思っていた
【働き方】
私が約1年くらい前から実践しているのが、ドイツ式の働き方です。
2022年は持病の治療をきっかけに
「働く」ということをとても考え、改善した年でした。
今がタイミングが良いと感じたので私の経験、様々なデータも含め、どんな働き方なのか少し話させてください。
ヨーロッパ、オセアニアなど働くことへの考え方はほぼ一致しているのでどの国を見本にしても良かったのですが、日本人の私が現実的に向いていそうだった働き方がドイツでした。
まず初めに、日本人の働き方は《非効率的》だということ。
私も海外で仕事をしてみて、それを実感しました。
ドイツ人は、『効率性』をとても重視する民族だそうです。
OECD(経済協力開発機構)の2018年のデータによると
日本の1人当たり年間総実労働時間は1680時間。
ドイツは1363時間で、317時間も日本より少ないんです。
ドイツ人の労働時間はOECD加盟国の中で最も短い。
1日8時間労働で換算すると、日本は1年で約40日間もドイツより多く働いていることになります。
ただ、この日本のデータもサービス残業は労働時間に換算されていないので、それを含めると日本はもっと多く働いていることになります・・・
可能な限り無駄なく、『最小限の労働時間の中で、最大の効果を上げる』ことを優先する働き方がドイツの高い生産性につながっているとしています。
『生産性は日本の1.5倍』にもなるんです。
これはドイツだけではなく、私が働いていたオーストラリアでもほぼ同じ働き方でした。
残業なんてまずありえない。
残業をする=頭が悪い
という認識なので、改善しなければクビになることも珍しくありません。
そのおかげで、片付けや仕事効率がスピードが格段にアップしたので私のスキルアップになりました。
それは今でも毎日役に立っています。
では、どうしてそんな働き方が可能なんでしょうか?
労働時間
ドイツでは基本的に1日10時間を超える労働は禁止されています。
労働基準監督署に相当する監督官庁が時折抜き打ち検査を行い、組織的に社員に毎日10時間を超える労働を行わせていた企業には、最高€15,000(約210万円)の罰金が科されます。
実際、長時間労働が常習化していた病院や建設会社が摘発されているそうです。
法的規制が厳しいため、破る会社もそうそういないです。
本来、日本の労働基準法も
原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
厚生労働省のHPにはこのように記載がありますが、ほとんどの会社が違反していますよね。
1番最悪なのは、書類上は基準通りで実際は数十時間のサービス残業をさせている会社が多く存在すること。
そもそもサービス残業という言葉はありません。
日本は無駄な残業を無くさない限り、日本人の賃金が上がることはなくGDPもどんどん下がり国は衰退していくでしょう。
『長時間働く』ことは美徳ではありません。
むしろ白い目で見られてしまいます。
・ 労働時間貯蓄制度
ドイツには「労働時間貯蓄制度」があります。
労働時間貯蓄制度は、残業や休日出勤などを貯蓄し、有給休暇に振り替えて利用できる仕組みです。
ドイツでは、労働時間を「削減する」という考えから「柔軟に割り振る」といった考えにシフトチェンジしています。
例えば、「今日2時間残業した分、別の日に2時間早く退勤する」といった労働時間の調整が自身で行えるため、プライベートに合わせて労働時間をコントロールすることも可能です。
全く残業をしない訳ではなく、自分のペースで時間を調整できる制度が整っていることがモチベーションアップやプライベートの充実に繋がっています。
この制度はオーストラリアでも同じようにしていました。
子どもを家に1人で留守番させるのは『虐待』です。
アメリカやオーストラリアでは通報されてしまいます。
なので、仕事を早く切り上げて子どもの迎えに行かなくてはいけません。
どうしても両親が家に居られない時はベビーシッターにお願いします。
このような制度があるので、会社としても早く帰ることも容認しており、残業も減らせるシステムを国が作っています。
教育と仕事はセットです。
両方改善していかないと変わっていきません。
・ 有給休暇は100%取得
企業は社員に対し最低24日の有給を与えなければならず、有給消化率も100%なのだそうです。
実際には大半の企業が、社員に30日の有給休暇を与えています。
もし、有給を全く消化していない社員がいたら注意されてしまいます。
これは日本の有給休暇取得率の約2倍。
日本では有給休暇の最低日数が10日と定められており、ドイツと比べると半分以下。
また、一般の社員は休暇中または退社後に会社のメールを読む義務もない。
全ての社員が交代で休むので、気兼ねなく休むことができます。
しかも法律によって、企業は社員が病気やけがのために働けなくなった時には、『最高6週間まで給料を100%払うこと』を義務付けられています。
日本のほとんどの企業では、病気やけがで休む時には、まず有給休暇を消化するパターンが一般的だと思いますが、ドイツでは有給休暇と傷病休暇の混同はあり得ません。
オーストラリアでも当たり前に2、3ヶ月の長期ホリデーがあり、家族でバカンスに行くのが一般的です。
女性は生理もあるので、生理も傷病休暇としてしっかり休んでいました。
・組織がフラットで、ヒエラルキーが強くない
日本では、役職 = 地位という考え方が強く、上司、部下と呼ぶように明確に上下間の役割が区切られていますが、ドイツでは会社での上下関係はありません。
それに比べて、ドイツでは【役職 = 役割】という認識が強く、マネージャーにしても、CEOにしても役割を与えられていると考えています。
そのため、現場の社員でも対等に物事を主張することができます。
若くてもおじさんでも全員が同じ立場で自分の仕事をして、CEOも社員も下の名前で呼ぶのが当たり前です。
これは、オーストラリアも同じで、どの人種でも何歳でもフラットに働きます。
同じ会社の人はチーム、仲間なのでそれぞれが自分の仕事を確実に最速で終わらせることが会社や仲間の利益に繋がります。
私はカフェでバリスタをしていたので、コーヒーを早く美味しく淹れることが私の仕事です。
お会計や洗い物はそれぞれ他のスタッフが任されているので仕事を取ってはいけません。
そのスタイルが効率よく行えて、それぞれ自分のスキルアップにも繋がります。
日本はまだまだヒエラルキーが強い会社の割合が多いので、自ら考えて能動的に行動できない、意思の伝達に時間がかかるなどの問題があります。
また役職者に権限が集中しているため、上司の顔色を伺う行動をとってしまい、非生産的な労働をしてしまうことが多いんです。
パワハラやいじめなどもヒエラルキーがあるせいで起こる可能性が大幅に上がってしまうんです。
いじめは生産性が最も低い行為の1つと言えるでしょう。
いじめる時間があればその時間に自分の仕事を終わらせられます。
・個人生活を重視する国民性 就活は存在しない・転職が当たり前
ドイツの短い労働時間には、彼らのメンタリティーも影響している。
ドイツでは、「個人主義」の文化が強く根付いている。
個人のスキルを伸ばしていくことを重視するため、自立や独立といった意識を持つ人が多い。
これは、幼い頃からキャリア教育を徹底しているドイツならではの教育体制とも関係している。
キャリアに対して主体的な考えを持つ人も多く、一つの企業への帰属意識よりも、転職をしながら自身のキャリアを築きあげ、スキルアップを目指す傾向にある。
ドイツ人の間では個人主義が強いので、家族との生活や自分の時間を重視する人が多いです。
さらに、彼らは無駄を嫌い効率を重んじる民族。
「10時間以上働くと、ミスが多くなって結局は仕事がはかどらなくなる。それよりは、10時間以内で仕事を切り上げて帰宅し、次の日に続けた方が効率が良い」と考える人が多い。
またドイツでは、社員を評価する際に成果主義を採用する会社が多い。
2人の社員が同じ成果を挙げた場合
【労働時間が長い社員よりも、短い社員の方が高く評価される。】
オフィスに長時間いるだけでは、会社への忠誠の証とは見なされません。
一方、日本は個人よりも集団としての結びつきが強く「調和」を大切にする傾向にある。
かつて日本では年功序列や終身雇用制度がほとんどの会社で取り入れられており、新卒で入社した会社に自分のキャリアを預けることが一般的だった。
そのため個々の自立よりも、組織への適応力の方が重視される傾向にあり、主体的にキャリアアップを図ったり、自己実現に向けて取り組んだりする行動力が生まれにくい状況だったと言えるでしょう。
・家族や自分を優先
ドイツでは「Work to live(生きるために働く)」という意識が浸透しており、仕事はあくまでも、生活の糧を得るための手段となっている。
通院や子どもの送迎など、仕事よりも家族を大切にすることが当たり前。
「家族ファースト」また「自分ファースト」といった考えのもとに働く人がほとんどで、プライベートな理由で仕事を後回しにすることも珍しくない。
これは、企業の理解もあるからこそできる働き方とも言えます。
日本人の友人には父親が単身赴任だったり、朝早く仕事に行って夜遅くに帰ってくるのが当たり前の家庭で育った人がたくさんいます。
しかしドイツでは個人や家庭の優先順位が必ず仕事よりも上です。
仕事はあくまでも日常生活を不自由なく送るための手段なだけであって、自分の時間を割いてまで仕事に打ち込む人はほとんどいないと思います。
そして、役職が無いのだから昇進という概念もないです。
全員がフラットに働くことができます。
日本は昇進のために会社に求められたことはなんでもやるという雰囲気がありますが、昇進しないのだからなぜそこまでしなければならないというのがドイツ人の意見でしょう。
これに関してオーストラリアも全く同じ考えでした。
まず1番に優先するのは【家族】
家族の幸せを最優先しているので、学校も家族行事があればそっちを優先するようにと言っています。
夕方5時以降はファミリータイムなので、パパもママも家に必ずいます。
子どもたちと遊んだりご飯を一緒に作ったり映画を見たり。
過ごし方は様々ですが家族団欒の時間をとても大切にしています。
学校や会社が中心でその中に家族がいるというのが日本の考えです。
「仕事があるから」と、今しか見られない子どもの成長を放棄しているお父さんをよく見かけますよね。
そんな家庭は海外では最も不幸だと言われてしまうでしょう。
・労働者の自立・独立の意識が強い
ドイツでは、小さい頃からキャリア教育が徹底しており、10歳で自分の進路を決めなければなりません。
小学校が4年制のため、卒業するまでに3つの進路を決める必要があります。
①基幹学校(5年または6年制)から職業訓練コースに進む
②実科学校(6年制)から職業専門学校または上級専門学校に進む
③9年制の中高一貫校で大学入学資格取得後、大学に進学
この3つのコースのいずれかを選びます。
社会に出た後も必要なスキルは職業訓練などで学び、必要であれば転職をしながらキャリアを上げていきます。
これは、小さいことからキャリア教育を受けているため、主体的にキャリアを築いていく意識が高いからになります。
ドイツに専門分野の職種や研究者が多い理由も、この教育法なら納得がいきますよね。
一方、日本では12歳で中学へ入学し、15歳で高校へ進学します。
高校を卒業後、就職または専門学校に入学し、大学進学の場合は自分の偏差値で行けそうな大学を選択し入学。
大学4年生になって初めて自分の進路を決めることになります。
総合職もしくは一般職として、新卒で入社した後は自分のキャリアを会社に預け、その後主体的にキャリアを築く行動ができない傾向にあります。
簡単に言えば、『日本人は就職したら学ぶことを放棄してしまう人が多い』
そしてその傾向は、特に男性が多いんです。
終身雇用制度がまだある日本では、退職するまで保証されている会社も多いため再度学び直したり、新しいことにチャレンジする人の割合が少ないんです。
日本は『みんな同じ』という教育をして周りと同じことを比較したり、個性を潰してしまうので、専門職や研究者も一向に増えません。
個性や得意なことを伸ばす教育を行わない限り、大人になっても言われないと何もできないような人になってしまうので働き方の改善は難しくなってしまいます。
それは、学校も関係して来ますが、まずは親がその教育を家庭で行うことが最も重要だと思います。
【私の働き方】
約1年、ドイツ式で働いてみましたが、変化したことは沢山あります。
まず、体調をほとんど崩さなくなったこと。
働くに当たり、最も大切なのが体と心の健康です。
健康でなければ、働くことが難しくなってしまうため、最も優先すべきが健康。
健康はお金よりもずっと価値があるあなたの財産です。
以前は、多少無理をしてやっていてあまり余裕が取れず、仕事もストレスも溜まっていきました。
ですが、休みを増やしたことで体にも心にも余裕ができたのでゆとりを持って仕事ができています。
私が最善の状態の方がお客さんへのパフォーマンスも上がり、結果良い循環を生んでいます。
他にも、自分の時間を多く取れるようになったのでコーヒーの勉強をしたり出かけることもできるようになりました。
出かけることで、新しい出会いが生まれてそこから学ぶことや吸収できることが多くなったので、人間として成長できる機会が増えました。
無駄がない生産性を重視したドイツの働き方。
そこに+して取り入れたのが、オランダを中心にヨーロッパではニューノーマルになりつつある週休3日制。
なぜ週休3日制がニューノーマルになるつつあるのか?
それは、働く日数、時間を減らすことが最も生産性が高くなるから。
そして、家族と過ごす時間を増やせるから。
育児制度もとても柔軟なのがオランダの特徴でもあります。
子どもたちが世界一幸せと言われているのにはやはり、きちんとした働き方が大きく影響していると思いました。
学校の先生や会社経営者、お子さんをお持ちの方など皆さんそれぞれが自分せ改善出来ること、会社や学校に提案できることがあると思います。
少しずつですが、日本の働き方がみんなが幸せになる方向へ向かってくれたらいいなと思います。
皆さんはどう感じましたか?
感じたことや疑問があればぜひいつでもお店に聞きに来てくださいね。
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Sara