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こっそりフリーランス計画6月まとめ『“今”を楽しむって、一番むずくない?』

お疲れ様です、ozi.です。

そんなことより、どうもお久しぶりです!

まず初めに「オメー半年も更新サボって一体何してやがった!?」という件についてですが、

なんとこの度昇進致しまして、現在係長をやってるよ!ゲボッ!

「なんで……私が……!?」みたいな付帯業務が毎日エレクトリカルパレード状態で、最近は耳栓しながら仕事をしてる始末です。たかが3千円の役職手当に対する責任がどうにも重すぎるってばよ。

そんなわけで、弊社のお話なら愚痴るほどあるのですが、私個人の進展となると残念ながらこの半年間は殆ど無かったんですね。4月からジムに通い出して、ようやく0.5kgの筋肉が付きました、くらい。校正技能検定の資格勉強も、夏の試験にはどうしたって間に合わなさそうなんでペース落としちゃいました、くらい。


そんな1月の溢れんばかりの野心と勢いが目に見えて萎み始めた、季節逆行型のとある5月の日。
実は大変有難いことに「このnoteが参考になっています」とのコメントを頂戴致しておりました。

え〜〜〜!?嘘や〜〜〜ん!?

正直おったまげました。16kg×15回×3セットの背中トレを終えたばかりだった私は筋肉のことでとにかく頭がいっぱいだったもんですから、つまるところそのコメントを戴くまで自分のnoteのことなんかすっかり忘れてしまっていたんですね。え?最低か?

わざわざ感想を寄せて頂いたこともそうですが、純粋に「誰かに読まれていた」という事実そのものに驚いたと同時に、発信することの責任を甘く見ていた自分が本当に情けなく、これまで読んで下さった方に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
「あの頃の私のように、校正を志す誰かの夢を支える情報の一つになれたらいいな」なんて偉そうなことも申したかと記憶しておりますが、中身は社会不適合者予備軍の三日坊主でございますので、実際は「書いても書かなくても私の自由」というだらしない考えを持っていたんですね。どうせ誰も見てないし、って。

けれど、頂戴した激励に両頬をぶっ叩いて頂いてようやく改めて自分の夢や校正という仕事に向き合うことを思い出しました。

厚く御礼を申し上げる前に、この度はあまりにも無責任で失礼な態度を取ったことに、まずはこの場を借りて、深くお詫び申し上げます。本当にごめんなさい。忙しさを理由にして逃げようとしてました。申し訳ないです。

そして半年も放置していたにも関わらず、更新待ってるよ!と声援を送って下さり、本当にありがとうございました!これまでに♡を押して応援してくださった方も本当にありがとうございます!
これからは毎月、とはいかないかもしれませんが、きちんと更新していく所存ですので、お時間があれば見にきてくださると嬉しいです!


ほんで、ここからはそこそこ長い余談になるのですが(じゃあやめてくれよ)

その方も『校正』についてリアルタイムで書かれた文献があまり見当たらなかった為、辺鄙な私のnoteまで辿り着いて下さったようでした。

作業の単純さからかあまりにも情報が不足している職業。見た目以上に頭も体力も使うのに、当事者以外にはまるで何一つ、その大変さが伝わらない職業。あーあ。校正というのは、ひどくつまらない職業です。

けれど、一定数の人間はなぜか校正を志してしまうんですよね。私然り。
何故でしょう?自分でも出来そうだと思うからでしょうか。「言葉」ならいつも使っているものだし、誤りを見つけるのも得意だし、と。


では、日本語の誤りとは、一体何でしょう?


例えば「てにをは」が正しくない文章のことでしょうか。
けれど、表現によっては過去に夏目漱石が愛用していた言い回しであり、それを気に入った作者が使っている、なんて場合もあります。
では、夏目漱石が使っていたという実例があれば、少し「てにをは」がおかしくても正しい文章として世に出して良いものでしょうか?
この令和の時代に。昭和の、少しズレた言葉を。

今のはあくまで適当な例題です。
ただ私の携わる商業校正でもそうですが、前例があればたとえ少しおかしな言い回しであっても、加えてそれを校正が指摘したとしても、先方が確認し満足されているのであれば、その意思が尊重されて印刷に至ります。
つまり、日本語としては誤りなのですが、作品としては正解なのです。

では、次も同じ言い回しが出てきた場合「前回OKだったから、今回もOK」だと思いますか?
前回指摘をした際、先方から「直すな!」と怒られていたとしたら、貴方はその言葉にどのように立ち向かいますか?

どこかで書いたかもしれませんが、校正というのは戦いです。言葉との、営業との、先方との戦いです。それを制するのに必要な武器として、「言葉」だけでは歯が立ちません。
上手く納得させる話術や、事実への探究心、それらを裏付ける膨大な知識が必要です。

私が見かけた校正の求人の一つにも「明るくハキハキした方を募集」と書いてあったことがあります。案外、前向きで人を惹きつける人間性も必要だったりするんですよ、校正者って。
誰かの不完全をレシーブし続けるだけでもいっぱいいっぱいなのに、現場まで鼓舞しろってか……。

やっぱり安月給の割に合わないってばよ。(振り出しに戻る)

そんなわけで!

大変前置きが長くなってしまいましたが、今月は書き留めておきたいことが2つあります。1つは愚痴で、1つは不安です。(最悪)
手短に済ませる予定ですので、どうかのんびりと最後までお付き合い下さると嬉しいです。

6月の書き残し。


望まぬレベルアップ

今年で30歳。正社員にしてもらってからは早5年。いよいよ私も進化の時を迎えることとなります。

この度、係長になっちまいました。誰も頼んじゃいねぇけど。なんなら一回泣きながら断ったけど。

弊社はとにかく慢性的な人手不足で、特に進行管理を担う部署はぎりぎりの人数で賄っている状態。
係長になるということは、その部署への異動にまた一歩近づくということ。つまりは商品という小規模な発展の為ではなく、組織や会社といった大規模な発展のために働く存在にならねばならない。校正だけをやっていられる時間はもう終わったのだ、という余命宣告を受けたに等しい瞬間でした。

ついに来たか、と。

私はその時一日だけ返事を待ってもらって、今まで準備してきたことを洗いざらい次長にメールで送りました。

どうしても書籍校正に興味があること。今、その資格勉強をしていること。将来は独立を目指しているので、出来れば副業で書籍校正に携わることを認めてほしいこと。

次長はかなり柔軟な考えの持ち主です。今日もメンタルが逝った私の在宅勤務を認めてくれたりしています。
けれど、所詮は一昔前の人間。終身雇用が当たり前の時代に、専門学校の先生に言われるがままに弊社を受けてから、嫌な顔一つせず残業も転勤もこなして、40代半ばで次長にまで登り詰めた人です。
言うなれば、会社至上主義。今出来る仕事を精一杯やろう!会社に求められることが生きがいだよ!とマジでご自身で仰っていたので、失礼を承知で悪く言えば「自分」がありません。
自分の生き方や将来に疑問や可能性を抱かないタイプの人。会社としてはこれ以上使いやすい社員はいないでしょう。そりゃ次長にもするよ。

それに対して、私はとにかく好き嫌いが激しい。弊社の中でやりたくない仕事の方が圧倒的に多い。というか、校正以外なんもしたくない。
もちろんやりたい仕事なんてなくて、ただ生活の為に無理矢理働いている人よりは、夢だった職種に携われているだけ、私はまだ恵まれている方だとは思います。

むしろ、そのせいもあるのでしょうね。

やなことが、マジでやだ。(当たり前体操)

会社勤めの校正員であれば、およそ最終的に行き着く先は『進行管理』の仕事です。これは会社勤めで安定した校正職に就きたい人間ならば避けては通れない職務です。
どんな校正の求人でも、正社員に求める最高スキルは「言葉のプロ」ではなく『進行管理』になります。
一生言葉と向き合う仕事として校正を選びたいのであれば、フリーランスになるしかありません。自己管理だけで済みますのでね。

そりゃそうだよな、とは思います。どんな会社でも、一人が担える仕事をどんどん増やして、よりパワフルに会社を回す歯車になることを望むでしょう。いつまでも一つのスキルばかり磨いていても、生産性に換算すれば新卒と変わらないんですから。
その為の昇進、その為の昇給。
でもそれって、誰の為?


そちらは上へ、私は右へ。

現在私が主に担っているのは『校正ルールの改定』作業。
先月までは派遣の新人指導もしていましたが、持病のメンタルが悪化したとのことで、たった4ヶ月で辞めていきました。外にも出られないので挨拶にも来ないそうです。ふーん、おもしれー女。

ここで一旦話は逸れますが、校正は思ったより辞めてしまう人が多いです。時代なのか年齢が若い人ほどその傾向にありますが、大体の人が校正を甘く見ているように感じます。

まず校正という仕事は、案外残業が多いです。
商業校正の特徴なのかもしれませんが、1本の納期が大体3週間周期とスパンが短く、重なる時は一人当たり3〜5本分を一気に担当することになります。
また、弊社では紙面の制作は外注に発注しているので、外注の修正作業を考慮すると何日も作業をしているわけにはいきません。
更に弊社では他社と印刷も分担しているので、他社制作紙面を弊社で印刷する場合は、弊社の校正員が最終チェックを行うことになっています。
そのデータが最悪の場合は夕方以降に送られてくることもありまして、同日中に印刷まで回さないといけないもんですから……はァ……もう疲れちゃってェ……(←この間は26時まで残ってた人)

なので、弊社の場合は少なくとも「自社が請け負った号+他社が請け負った号の弊社印刷分の校正』が繰り返し発生するわけです。
弊社は繁忙期の波がおおよそ一定なので、忙しくなる期間は大体限られているのですが、最近は有難いことに新規案件が増えてきておりましてね!はーあ!ほーんと有難てぇ!(クソデカため息)

あとは結構多いのが「知り合いにヘッドハンティングされたので辞めます」。

は???(笑)

まあ相手は派遣さんなので「正社員で働かない?」って声かけられたらホイホイそっちに行きたくなる気持ちも分かるのですが……。

私が思うに「自分でも出来そう」って思って校正を選んだので、逆を返せば「私じゃなくても」って簡単に思えてしまうんでしょうね。つまり先述しましたが、甘く見てるんですよ、校正ってやつを。

けどね、覚えることは他の仕事と比べ物にならないくらいあるんですよ。一歩間違えたら死に至る工事現場の作業員くらい注意事項があると思います。知らんけど。
だって、間違えたら数千万枚が一瞬で紙クズになっちゃうんだから。損害金額で車3台は買えちゃうんだぜ?

だから間違えないように、間違えて覚えてもらわないように、どうか正しく身に付いてくれよと力を込めて、こちらは指導をするわけです。
上記のハードスケジュールの隙間を縫って。自分の仕事後回しにして、お前がいなければする予定のなかった残業を繰り返してまで、一生懸命教えるわけです。先輩なので、正社員なので。

は〜〜〜あ、やってらんね〜〜〜。こんなに報われない職業って他にありますか?というか、やりたいと思わんよな、実際。

正直会社自体が校正を蔑ろにしていると感じます。こんなにも離職履歴が残っているのに、いつまでも派遣しか寄越さないなんて、校正の正社員を馬鹿にしてるとしか思えません。

「どうせ校正しかしてないだろ」って目で見られるんです。営業にも、上司にも、会社にも。
文字だけ追っかけて金もらってんだろ、って。何の苦労があるんだよ、って。

だからめちゃくちゃ賃金が低いです。
私も今年かなりベースアップしてもらいましたが、それでも20時間程度の残業がなければ手取り20万以下です。本当に厳しい世界です。

縁の下の力持ちなんて言いますが、縁の下にいるのなんて何でも良いんですよ、下から支えてくれさえすれば。それが1000匹のネズミでも、一人の人間でも、価値は変わらない。校正って、そういう世界なのです。

で、ただいま主題に戻ってきましたが(おかえり)

今の私は、校正ルールを作ってるわけですよ。そんなのマニュアル化したって先方の意思一つで増えたり消えたりするものなので、定義したって1年後にはまた改定が必要になるんですが、誰が校正を担当しても間違いのない紙面を作るための指針なので、可視化して共有する必要があるわけです。皆んなの為に。自分の作業を犠牲にして。(出た)


もうね、いっぱいいっぱいです。
通常業務だけでも人が辞めて手が回らないのに、校正ルール改定の為にメールすら読んでくれない営業捕まえて話し合って、いつまでも成長しない後輩のあぶれた校正の尻拭って、飯食って茶碗洗って風呂入ったらもう寝る時間で一日を終えて……。

今、なんにも楽しくない。

そりゃ楽しいわけないですよね、仕事なんだから。お賃金は我慢代。お金を貰う代わりに時間とパフォーマンスを提供するのが「お仕事」だって分かってます。

でも、楽しくする方法ってあると思うんです。
例えばもっと分かりやすい校正ルールを作って、今までは校正員にしか使えなかったマニュアルを営業や制作全体にも理解してもらえる形にすることで、更なる意思疎通の強化と意見のすれ違いや勘違いによるコミュニケーションコストやストレスを軽減することを評価してもらう為に頑張ってみる、とか。
どうしても経験の差で作業時間や知識にバラつきがあるメンバーの実務的な尻拭いをいつまでも手練れが担うのではなく、一対一のフィードバック制度を取り入れて育成に力を入れることで評価される為に頑張ってみる、とか。

もう校正部門では評価されてしまった人間なので、今度は別の部分で会社に認めてもらって、それをやりがいに頑張っていくしかない。
私がこれからも会社に居続ける為には。

……ん?じゃあ私の存在理由ってもう無くない?

多分私が辛いと感じているのはそこなんですよね。
今までも人事評価を書くたびに「チームの為に頑張りたい」とか綺麗事を連ねていましたが、もちろん本心ではなく字数稼ぎでしたし、所詮平社員の行動範囲なんてたかがしれているので、評価対象としても校正の方が比重が大きかったように感じます。

けれど、係長になった今、チームを束ねる仕事を担う立場として結果を出さねばなりません。いくら校正が出来ても、それは当たり前。チームが結果を出していないと意味がない。これだから嫌なんだよ、組織ってやつは。

じゃあ、会社は上へ。私は、右へ。


今、って楽しめる?

今年を半分過ごしてみて思ったのは「やっぱフリーランスになりてぇな〜〜〜!!!」ということでした。おお、おかえり、私。
でも、もちろん簡単なことではありません。

実は先日日本エディタースクールの課題を提出した際に「実際どのくらいの求人があるのか」と質問をしたんです。
すると、本来は中級合格者以上が閲覧出来る現在の求人要項を特別に送ってくれたのですが、校正専門学校に寄せられる校正の求人でも20社以下。(数字は少し濁しています)その中でフリーランス且つ在宅の求人は片手で担える程度の数でした。

更に単価も伺いましたが、今は1文字0.6円が妥当のようです。書籍なら初校・再校・三校と重なる為、少しまとまった金額になるかもしれませんが、まともに生きていける収入にはなりません。もちろん次に仕事があるかどうかも分からないですし、その月にどのくらい仕事を得られるかも分かりません。会社勤めが苦しいのは、安定した生活を保証してくれる代償なのも頷けますよね。

有名なフリーランスの校正者もいますが、ご結婚されている方が殆どです。誰かの収入があって初めて成り立つ働き方なのかもしれません。

すごく後先を考えてしまいます。
辛いだろうな、苦しいだろうな。
でも、楽しいんだろうな、生きやすいんだろうな。

で、今は?って話。

今、って一番楽しむのが難しい瞬間だと思うんですよね。どうしても人間って思考が広い生き物ですから、どれだけ単細胞って言われる人間だって空を見上げたら明日の天気のことくらいは考えたりするでしょう。
そのくらい、人は今を考えるのが難しい。「たられば」で生き急いでしまいがちな気がします。

だからとりあえず今月はこれを書き終わったら、校正プロダクションやらに片っ端から問い合わせのメールを送ってみようかなと思っています。
こちらの状況を伝えた上で、在宅勤務の可否や仕事量・報酬の数字を概算でもいいので教えてもらえないかとお願いしてみるつもりです。
そこで冷たくあしらわれるのであれば今後もお付き合いをしなければ良いだけですし、そういう企業が多いのであれば、そもそも独立は諦めた方がいいのかもしれません。

そういえばさっき書き忘れたんですが、どの企業もあまり校正技能検定の取得の有無は気にしていないようでした。ただ未経験歓迎の求人はほぼ無かったので、何かしらある程度の校正経験は必須なようです。(それが無い人向けの検定と思って良いかも)
私の場合は、元々校正技能検定の中級に受かったら間口が広がるもんだとばかり思っていたので、機会を待とうと思っていたのですが、一回今までの商業校正経験だけを武器に乗り込んでみようかと思っています!ドキドキ!

やはり校正の世界は何事も「経験」。なんなら一年くらい上京して実地で経験を積む覚悟もあります。

うん、なんだか楽しくなってきた!
やっぱり私は校正が好きだぜ!



さーて。どうなったかは次回のお楽しみ。
今回はかなり校正の実情に触れられて楽しかったです!もう7000字も書いてるけど!(笑)
私情挟みまくりの乱文でしたが、何かのお役に立てば幸いです。

ここまで読んで下さって、ありがとうございました!
また、お会いいたしましょう。本日はお先に失礼しま〜す。

ozi.

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