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童謡を口ずさむ12月 / 田舎の保育園
"冬といえばこれ!"という曲がたくさんあるけれど、私がいつも口ずさんでしまうのは、子どもの頃から慣れ親しんだ童謡だ。
☃️『雪』
☃️『北風小僧の寒太郎』
🧑🎄『あわてんぼうのサンタクロース』
🎍『お正月』
どれも幼い頃、母が歌ってくれたり保育園や幼稚園で習ったものだ。それぞれの曲に特にこれといった思い出があるわけではないが、なぜか歌詞もメロディも覚えていて、心にキャンドルの灯りが点ったようにじんわりとあたたかくなる。
私は年長まで保育園や幼稚園へ通っていなかった。
家には祖父母も母もいたので通う必要がなかったらしい。しかし、保育園の子達がお散歩でいつも我が家の前を通るのだが、私と妹が庭先まで走りみんなに「バイバーイ!」と手を振る姿を見た家族が『家にいるよりやはり友達を作り遊んだ方がいいのではないか』と考え、通わせてくれることになったようだ。
とてもとても田舎だったので、保育園に通っている子達みんなが知り合いと言っても過言ではなかった。祖父母同士も昔からの付き合いで、母親同士も親戚だったり、田舎特有の距離感であった。
私は年長クラスへの"中途採用"が決まり、さぞ喜んで通うものかと思いきやそうではなかった。朝、保育園に着くと母と離れるのが嫌で、私も妹も大泣きをする。同じクラスの子に「先生、なんでおやつちゃん泣いてるの?」なんて不思議がられても、お構い無しに音量MAXで泣き声を響かせていた。
先生方も家族も呆れるほど、毎朝のようにLIVEを開催した。もちろん褒めてくれる人は誰もいない。
そして私は学ぶのだ。
"泣いても状況は変わらない"ということを(遅い)。
それからは、べそをかきながら必死に周りに追いつけるように努力した。家族と離れる時間にも少しずつ慣れていった。当時はかなりの負けず嫌いで、他の誰かができるのに自分が出来ないということが悔しくてたまらなかった。
例えば、鉄棒。逆上がりをようやく覚えたら、ある子は逆上がりを連続で出来るようになっている。私がまた努力をして出来るようになったときには、その子はもう違う技が出来るようになっている。母に聞くと、両手にものすごいタコが出来ていて血が出ている日もあり、お迎えに行っても「もう少しやる」と何十分も帰らなかったそうだ。保育園の先生方が私のせいで残業をしていたのかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
その一方でイタズラもたくさんした。
例えば、みんなで順番に足形を取っていたとき。
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スタンプ台に足を乗せて、しっかりインクが付いたところで廊下を走り回って怒られる。
また、放送のマイクを勝手にONにして、保育園中が私の「こんにちはー」などという放送を聞く羽目になった日もある。先生方が走って私の元へ駆け付ける瞬間は今でも覚えている。
1番怒られたのはお昼寝の時間、幼馴染みの男の子と2人で脱走を試みたことだ。だがその試みは失敗に終わる。保育園から飛び出したところまではいいが、少し行ったところでちょうどお散歩中だった近所のおばさんに取り押さえられたのだ。いや、"保護してくれた"のだ。
「あら!!おやつちゃんじゃないの!?」
そう問いかけるおばさんの手は、私の右手首を跡がつくくらいしっかりと握って離さなかった。
「家に帰るの!」と泣き喚く私に「ダメ!!2人ともおいで!!」と保育園に連れ戻されたところまではハッキリと覚えている。
その頃の私は、とにかく家で家族と過ごしたかった。『捕まえられなければうまくいったのに』と当時はおばさんを恨んだりもした。私とその男の子は"はとこ"だったのだが、それぞれ2家族にしっかりと怒られた。両親だけではない、祖父母も×2だ。
「ああ、なんて子どもだったのだろう」と思うのと同時に、たくさんの人達に守られていたのだなと感じる。間違えたことをしては注意をしてくれて、ちゃんと叱ってくれる人たちがいた。田舎に住んでいると大変面倒だと思う人間関係があるのも事実だが、これは田舎暮らしでよかったと思えることの1つだ。
🏃♀️ 🏃♀️ 🏃♀️ 🏃♀️ 🏃♀️ 🏃♀️ 🏃♀️
積もった雪に大はしゃぎして犬のように駆け回っていた私も、猫のように家の中で丸くなり降る雪を部屋の窓から眺めるようになる。遠い記憶を辿っていると、急に食べたくなったものがありスーパーへ。
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混ぜ込みの素やソフトふりかけは購入することがあるのだが、このようなふりかけは10年以上食べていない。幼い頃はキャラクターがついているふりかけが特別だった。そして1番好きな味は、カレー!カレーふりかけは他と比べて数が少ないため、よく妹と取り合いをした。だが最近はあまり見かけない。今回スーパーで探してみるも1つも見当たらなかった。
今冬は既に積雪量がとんでもないことになっている。クリスマス前からこんなにも大変な除雪になることは、ここ数年なかった。でも、いいこともある。雪国の人たちはよく言うことだが「雪が降るとあたたかくなる」
それに、素敵なホワイトクリスマスになりそうだ。
雪とは来年の3~4月頃までの長い付き合いになる。はしゃいでいた子供の頃の気持ちを忘れず、ふりかけご飯を食べたり、ときに童謡を口ずさみながら仲良くやっていこうと思う。