題名読書感想文:43 専門すぎる専門書
題名だけを読んで感想を書く、そんな題名読書感想文を定期的にやっている次第です。読書感想文を真面目にやらなかった人間ですが、題名だけでいいというあまりの楽さに、意外と続いている次第です。
今回のテーマは「専門」です。本の中には、特定のジャンルに詳しい人向けた内容のものがあります。もしくは、特定のジャンルに詳しくなりたい人へ向けられた本ですね。それを世間では「専門書」と呼ぶようです。何らかのジャンルを専門的に扱う本ということなんでしょう。
しかし、一言で「専門」と申しましても、世の中には山のように専門分野がございます。学問だったり、仕事だったり、趣味にだって専門性が必要とする場合があるでしょう。ひとつの専門分野をよく見たら、実は更にいくつもの専門分野に分かれていたリもする。
当然ですが、「え、こんなのあるんすか」という専門もあるでしょう。そんな専門が存在していただけでも驚きなのに、なんと本になっていたりもする。そんなトガった専門書の中からいくつか選んでみました。
例えば、「海藻と育毛」です。
もちろん、育毛を始め、髪に関連する書籍はそれなりに発売されています。しかし、その多くは一般向けであり、表現もやわらかに分かりやすくなっているものが大半です。題名を見ても、それが分かる。
対する「海藻と育毛」はその簡潔かつ無骨な題名からも推測できる通り、専門性の高い本となっておりまして、アマゾンのサイトを確認しても、海藻が育毛にどれだけ効果があるのか、科学的なアプローチで調べていることがうかがえます。
大体この手の話は「どうやらそうらしいよ」「そんなわけねえだろ」と居酒屋などでダラダラ話して終わらせる人が大半でございますけれども、そんな与太話になりがちな噂にゴリゴリの専門家が科学のメスを入れた形となっているようです。
「ムースの物理学」という本もございます。
ムースと言われると、おいしいデザートか、はたまた整髪料を物理学的に分析したものかと考えてしまいそうになりますが、要は泡全般を指すようです。確かに、泡だって物理学的な視点からあれこれ考えられそうですし、ご存じの通り泡はすぐ割れる儚いものでもございますから、分析は難しそうです。
分析が難しいと言うことは、言い換えれば手つかずになりがちであり、科学全盛の昨今においてもまだまだ研究の余地があるのかもしれません。実際、アマゾンのカスタマーレビューを確認すると、そもそも研究する人が少ないため、分からないことがたくさんあるようです。ムースなんて身近なところに、大量の謎が隠されていたわけですね。
続いては「バリア技術」です。
バリアとはもともと防壁や障壁を意味する言葉でございまして、何かを守る、もしくは何かを妨害するものを指します。ちゃんと壁になっていることもあれば、壁っぽい何かである場合もありますし、壁に例えている時もございます。
バリアが広く知られるようになったのは、少なくとも日本ではSF作品がきっかけのようです。未来の技術を用いて作られた新しい盾といった感じでしょうか。それによっていろんな脅威から守るわけです。
そこへ来て「バリア技術」です。いよいよ現実世界がSFに一歩近づいたのか。そんなワクワクを感じさせる題名でございますが、アマゾンの書籍説明にはこう書かれています。
地球に迫り来る小惑星をはね返したり、異星人が発射したビームを防いだりするというよりは、製品をコーティングして故障や劣化などを防ぐ技術のようです。そうですよね、小惑星はともかく、地球はまだまだ異星人からビーム砲を向けられるような緊迫した状況ではありませんから、その手のバリアを急いで作る必要はないわけです。極めて平和利用のバリア技術でございました。
続いての題名は「地球儀学入門」でございます。
一瞬、地球の何かを学ぶ、地球科学の一種なのかと思ってしまいそうになりますけれども、地球ではなく地球儀を学ぶ本でございます。地球儀なんて地理を学ぶための教材のひとつだとばかり思っていたんですけれども、その地球儀自体が学問のひとつになっていたようです。
こうなってくると気になるのが、地球儀の何を学ぶのかという点です。地球儀の歴史は押さえているでしょうし、地球儀の種類にも触れているでしょう。しかし、地球儀ビギナーの私には、それ以上の想像ができません。地球儀に対する無知さを痛感してしまう一冊です。
こんな本もあります。「ダイヤモンドの接着技術」です。
世の中には様々な技術が存在し、それが時に製品という形で我々の生活を豊かにしてくれています。そんな技術に関する専門書もいろいろ出版されていますけれども、これは特殊です。この本が出版されているということは、世の中にはダイヤモンドを接着しなければやっていけない人がいるわけでございまして、世界は広くて深いなあと思わずにはいられません。
ダイヤモンドなんて身に着けるか、大切にしまっておくかくらいしか思いつかない私にとっては、接着するという発想がもう目から鱗が落ちまくるレベルです。確かに、ダイヤモンドだって製品として加工しなければ装飾品になりづらい。ポケットに突っ込んでゴロゴロ言わせるわけにもいきませんし。そうなってくると、ダイヤモンドの接着技術は需要がある。本当に人類は様々な技術に支えられて生活しています。
最後はこちら、「石積の秘法とその解説」です。
石を積む。それ自体は単純な行為ではございますが、積む量が増えてくると崩れやすくなって危険になる。それゆえに経験に裏打ちされた専門的な知識が必要になってくるのでしょう。
生活の中でそんなに石を積む機会があるのか、との疑問を浮かべる方もいらっしゃるでしょうけれども、世の中にはいろんな人がいますし、いろんなことが起きます。石を積まなければいけない状況が突然やってくることもあるんです。そこで役に立つのが「石積の秘法」なのでしょう。
石積みに関しては「図解 誰でもできる石積み入門」もございます。
石積みの入門書です。確かに、いきなり石を積めと言われても、戸惑ってしまう人も多いでしょう。そこでこの入門書が役に立つわけです。
慣れてきたら作法も学ぶ必要が出てくるのか、「石積作法」という本もございます。
この3冊を押さえておけば、いつ賽の河原に迷い込んでも大丈夫そうな気がしてきました。
ただ石を積むだけでも入門があり、作法があり、そうこうしている間に専門性が高まっていく。世が専門であふれかえるわけです。
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