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なぜ連続殺人犯は同じパターンで犯行を重ねるのか?

第1章:なぜ連続殺人犯は同じ手口を繰り返すのか?—パターン化された犯罪の謎

 
「あれ? これ、前にも見たような気がする……」
そんな違和感を覚えたのは、数年前にあるニュースを見たときのことだった。

テレビの画面には、アメリカのとある地方都市で起きた連続殺人事件についての報道が映し出されていた。被害者は若い女性ばかりで、遺体は決まって公園の片隅に捨てられていた。さらに驚いたことに、そのすべての遺体にはある特定の印が刻まれていたのだ。

「こんな事件、以前にも見たことがあるような……」

私はすぐにネットで過去の事件を調べ始めた。そして、驚くべき事実に気がついた。まったく別の州で起きた連続殺人事件が、手口も遺体の遺棄場所も酷似していたのだ。まるで、犯人が「儀式」のように同じパターンを繰り返しているかのようだった。

しかし、なぜ彼らは同じ手口で犯罪を繰り返すのだろうか? それは単なる偶然なのか、それとも意図的なものなのか? そして、私たちの日常生活に潜む“無意識のパターン”と何か共通するものがあるのだろうか?

本章では、連続殺人犯が「なぜ同じ手口を繰り返すのか?」という謎に迫りながら、犯罪心理学の視点からその理由をひも解いていく。


1. 連続殺人犯はなぜ「同じ手口」を選ぶのか?

「人はなぜ同じ行動を繰り返すのか?」
これは犯罪者に限らず、私たちの日常生活にも当てはまる疑問だ。

たとえば、あなたが朝起きてコーヒーを淹れる行動。仕事帰りにいつも同じコンビニに立ち寄る習慣。あるいは、いつも同じ座席に座りたがる心理……。

こうした「繰り返しの行動」には、脳が生み出す“習慣化”というメカニズムが深く関わっている。これは、「ルーティンを持つことで脳の負担を減らし、効率的に行動できる」という人間の本能に基づいたものだ。

では、これが連続殺人犯にとってはどう作用するのか?

実は、彼らの行動もまた、ある種の「習慣化」や「パターン化」の影響を受けていると考えられている。彼らは一度成功した犯行手口に固執し、それを繰り返すことで「安定感」や「快感」を得るようになるのだ。

つまり、彼らにとって犯罪は単なる行為ではなく、「儀式」や「習慣」として確立されていくということになる。


2. 彼らが「繰り返さずにはいられない」心理的要因とは?

では、なぜ彼らは新しい手口を試さずに、あえて同じ行動を繰り返すのか?

その理由として、犯罪心理学では以下のような要因が考えられている。

① 快感と支配欲の強化

連続殺人犯の多くは、犯行時に「興奮」や「快感」を覚えるとされている。
これは単なる性的興奮ではなく、「自分の手で命を奪うことで得られる支配感」のようなものだ。

そして、彼らが同じ手口を繰り返すのは、最初に味わった快感や支配欲を再現しようとする心理が働くためである。つまり、「成功体験の再現」が目的となり、それを繰り返すことで次第にエスカレートしていく。

② 失敗を避けるための「安全策」

新しい手口を試すことは、犯行が失敗するリスクを高める。
特に、すでに「うまくいった」方法があるならば、わざわざ別の手段を模索する必要はない。

連続殺人犯にとって、「逮捕されないこと」は最優先事項である。そのため、一度成功したやり方を維持することで、リスクを最小限に抑えようとするのだ。


3. 「異常なまでのこだわり」を持つ犯罪者たち

連続殺人犯の中には、異常なほど「儀式的なこだわり」を持つ者もいる。

例えば、アメリカの有名な連続殺人犯「ゾディアック・キラー」は、被害者に特定の方法でメッセージを残すという独自のスタイルを持っていた。
また、日本でも「同じ場所に遺体を遺棄する」ことで知られる事件があり、これらの犯人もまた、パターン化された行動をとっていた。

こうしたこだわりは、彼らにとっての「完璧な犯罪の追求」につながっている。
同じ方法を繰り返すことで、彼らは自らの犯行を「作品」のように磨き上げていくのだ。


4. まとめと次章への誘導

本章では、連続殺人犯が同じ手口を繰り返す理由について、
・「習慣化」と「快感の再現」
・「失敗のリスク回避」
・「異常なこだわり」
という3つの視点から考察した。

そして、私たちの日常生活においても、無意識のうちに繰り返してしまう行動があることを考えれば、彼らの心理がまったく理解できないものではないことがわかる。

では、次の章では、彼らがなぜ「さらにエスカレートしていくのか?」という部分に踏み込んでいこう。
連続殺人犯が「狩りの快感」に溺れ、より大胆になっていく心理とは?
次章では、彼らの犯罪がどのように進化し、加速していくのかを詳しく解説していく。

第2章:連続殺人犯が「狩りの快感」に溺れる理由—なぜ彼らはエスカレートするのか?

 
私は昔、釣りに熱中していたことがある。最初はただの趣味だった。小さな川で小魚を釣り、釣れたら満足していた。だが、ある日、大きな魚を釣り上げた瞬間、その手応えに心が震えた。それからは、「もっと大きな獲物を」「もっとスリルのある釣りを」と欲が膨らんでいった。

この感覚は、犯罪者の心理とまったく無関係ではない。
連続殺人犯たちも、最初の犯行で手にした「ある感覚」に取り憑かれ、次第にその感覚を追い求めるようになる。そして、彼らの「狩り」はエスカレートし、より大胆になっていく。

だが、それは単なる「快楽追求」だけではない。そこには、彼らの深層心理に潜む、ある強迫観念が関係している。なぜ彼らは一度手を染めた犯罪を止められなくなるのか? それを紐解くことで、連続殺人の本質が見えてくる。

本章では、連続殺人犯がどのようにエスカレートしていくのか、その心理メカニズムを探っていこう。


1. 連続殺人犯は「狩りの中毒」に陥る

殺人は衝動的な行為と考えられがちだが、実際には計画的に「狩り」を楽しむタイプの殺人者も多い

特に連続殺人犯の多くは、一度目の犯行で強烈な「達成感」や「支配欲の充足」を覚え、それを再現しようとする。しかし、初めての殺人で得た感覚は、二度目には少し薄れることが多い。

これが、彼らの「狩り」をより大胆にさせる原因の一つだ。

例えば、最初の犯行では慎重だった犯人が、二度目以降は次第に大胆になっていくのはなぜか? それは、最初の興奮が「基準」となり、それ以上のスリルを求めるようになるからだ。

これは、ギャンブル依存と似ている。最初に小さな額で勝った人が、次第に賭ける額を増やし、より強い刺激を求めるようになるのと同じだ。連続殺人犯にとって、「次の殺人」は前回以上のスリルを得るための「賭け」になっていく。


2. エスカレートする3つの要因

連続殺人犯が次第に大胆になっていく理由は、大きく分けて3つある。

① 逮捕されないことで「無敵感」が生まれる

最初の犯行の後、多くの殺人犯は恐怖と興奮の狭間にいる。だが、時間が経ち、何の追及もされなければ、彼らは「捕まらない」という自信を持ち始める。

特に、世間が事件を忘れかけた頃、彼らの中には「もう一度やっても大丈夫かもしれない」という思考が芽生える。

「自分は賢い」「警察は無能だ」——こうした感情が、次の犯行を後押しするのだ。

② 殺人に「目的」が生まれ始める

最初の殺人は偶発的なことも多いが、二度目以降は計画的になることが多い。なぜなら、犯人の中に「自分が何を求めているのか」が明確になっていくからだ。

例えば、最初の犯行ではただの興奮だったものが、次第に「特定のターゲットを狙う」「より苦しませる」といった目的を持ち始める。

これは、犯人の中で「理想の犯行像」が確立されていく過程とも言える。

③ より「スリル」を求めるようになる

最初の犯行が成功し、捕まらなかった場合、犯人は「もっと危険なことをしてみたい」という欲望を持ち始める。

これは、スリルを求める心理の一種であり、犯罪者だけでなく、多くの人間に共通するものだ。例えば、バンジージャンプを経験した人が、次はスカイダイビングに挑戦したくなるようなものだ。

連続殺人犯もまた、最初の犯行で感じたスリルでは物足りなくなり、次第にターゲットや手口をエスカレートさせていく。


3. 「狩りの感覚」が生む異常な執着

連続殺人犯の多くは、次第に「獲物を狩る感覚」に執着するようになる。

彼らにとって、殺人は単なる犯罪ではなく、「儀式」や「ゲーム」のようなものになっていく。

例えば、実際の事例でも、殺人の前に「ターゲットを選定し、尾行し、じっくりと観察する」という行動を取る犯人が多い。これは、まるで動物が狩りをする前の行動に似ている。

そして、犯人たちはこの「狩りの過程」にも快感を覚え、次第に犯行が巧妙になっていくのだ。


4. まとめと次章への誘導

本章では、連続殺人犯がどのようにエスカレートしていくのか、その心理を探ってきた。
彼らが「狩りの快感」に溺れ、より大胆な犯行に走る理由として、
・捕まらないことで無敵感を持つ
・殺人に目的が生まれ、計画的になる
・スリルを求め、より危険な手口を試す
といった心理メカニズムがあることがわかった。

だが、ここで疑問が生じる。

彼らは一度成功した犯行を繰り返すだけで満足するのか?
それとも、さらなる「快感」を求め、新しい手口を生み出していくのか?

そして、その過程で犯人はどのように変貌していくのか?

次章では、連続殺人犯の「転換点」に迫る。
彼らが「エスカレートしすぎる瞬間」とはどこにあるのか?
そこに、彼らが破滅へと向かう「決定的な理由」が隠されている。

続きを読みたい方は、ぜひ次章へ進んでみてほしい——。

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