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泣きたい今日、それでも謳う日々

泣きたい

そう思った時に泣ける人は、とても強い人だと思う。
感情を素直に感じられることは、生きる力そのものだから。
その流れる涙は、冗談でも過剰表現でもなく、きっと尊いモノだ。

頬を伝う熱い透明な何かは、とても貴重なモノだ。
それは逃げでも恥ずかしい事でもなく、君の心が死んでいない証拠だ。

笑いたい

そう思った時に、自然に笑える人は、とても温かい人だ。
心の中に、まだ温もりが残っている証拠だから。
そんな、暖かいあなたに素直に拍手を送りたい。

泣けること、笑えること。
たぶん、誰にとっても当たり前のことで簡単にできる事だ。
昔、「泣けるのは子供特権だ。大人は、酒と金でそれをごまかす」と聞いたが、その通りなんだろうか。

だとすると、高校生や大学生は大変だなと思う。
両方、禁じられてしまうのだから。この不景気な日本では、若者は両方取られて、何もできなくなるのではないだろうか。

だが、安心してほしい。僕たちにはたくさんの娯楽があるから。
その娯楽を通し、すり減って一ミクロンも残っていない心を、どうにか癒してほしい。

でも、あなたにだって「笑えない」「泣けない」と感じる日々が続くことがあると思う。時には、「今笑えていなかったな」と後悔することもあるだろう。

それでも大丈夫。僕には、それがどんな気持ちか、少しだけ分かるから。

だって、もう十年も、笑ったり泣いたりを、感情的にしていないから。
安心していいよ、生きていけるから。

僕は、自慢ではないが笑うことが非常に苦手だった。
もっと言えば、笑顔を作るのがとても苦手だ。

昔から、自分の笑い声や表情が「おかしい」と感じていた。
何度も指摘されたことがあるし、表情筋肉が死んでいると思っている。

だから、笑いたいのに笑えない瞬間がある。
そして泣くことに関しても、同じような症状がある。
咄嗟に感情が出なくて、まるで心の中に壁ができたように、
重たく、愚鈍で、鈍間に感じることがある。

「感情は、使うエネルギーが大きい」

そう思っている自分に気づいてしまった時、少し怖くなった。
僕はとうとう、人間の美しさを自分から手放したのかと、恐ろしくなった。

悲しいことに、それでも毎日というのは続いていく。
自分の欠陥を叩きつけられながら、僕はそれと向き合って生きていくしかなくなった。それは、あまりに希望のない日々の始まりだったと、未だに思い出すことができる。

でも、それでも生きている自分を責めたくないと思った。

なぜなら、感情が湧かないことさえも、
僕が必死に生きようとしている証拠だから。

この悩み苦悩し苦しんでいる瞬間も、
なんだか自分らしい瞬間だなと、理性が判断した。
感情なんて、そこにはなかった。

どんなに感情が鈍っているように感じても、心の奥底で何かが動いている。それを見つけるのに時間がかかるかもしれない。

けれど、確かに何かが存在している。
そんな実感はなかった。だけど、そう思うことにした。

もし、「もう無理だ」と思う日があったら、僕は休めばいいと思う。
生きるのは大変で難しくて、どこかに爪痕を残さないと厳しいから。

でも、一つだけ忘れてはならない事がある。
永遠に続くように感じる時間の中で、僕らに関係なく時間は過ぎていく。
世界というのは、今日も身勝手に進んでいく。
自分だけが停滞している、遅れている、劣っている、価値もなくて生きている理由もなくて、早く終わりたい。

そう思っていても、僕らの日常というのは止まらない。

「それでも、今日を生きていく」

この言葉は、自分に言い聞かせてきたものだ。
そして、この言葉が、少しだけ明日を生きる力をくれることを願っている。

泣けなくてもいい。笑えなくてもいい。
ただ、今をそのままの形で受け入れて、
少しだけ自分に優しくしてみてほしい。

あなたがどんな気持ちでも、どんな状態でも。
今この瞬間、この世界に存在しているだけで価値がある。

それは、疑う余地のない真実だ。
そうでなければ、とっくに壊れているんだ。
いろんなことが。

僕はこれからも、不器用に足掻きながら生きていく。

あなたも、どうかこの瞬間を、明日を、生きていってほしい。

一歩一歩でいい。歩いていこう。

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レン_歩くエッセイスト
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