全国に就学不明の「外国人の子」が1万6000人いる件
▼前回のメモで紹介した毎日新聞記事に、〈日本に住民登録があり、学校に通っているかどうか確認できない外国籍の子どもが、毎日新聞のアンケートで1万6000人以上確認された問題〉とあったが、
そのもともとの記事を紹介するのを忘れていた。2019年1月7日付の毎日新聞1面トップ。
〈外国籍の子 就学不明1.6万人/100自治体調査 義務教育対象外〉
〈日本に住民登録し、小中学校の就学年齢にある外国籍の子どもの少なくとも約2割にあたる約1万6000人が、学校に通っているか確認できない「就学不明」になっていることが、全国100自治体を対象にした毎日新聞のアンケート調査で明らかになった。既に帰国している事例もあるとみられるが、外国籍の子は義務教育の対象外とされているため就学状況を確認していない自治体も多く、教育を受けられていない子どもが多数いる可能性がある。〉
▼アンケートをとるのも、立派な調査報道だ。「角度」「切り口」がものをいう。
悪い事例より、良い事例を引用しておく。
〈住民登録者数が2034人で5番目に多い浜松市は、就学不明は2人。1680人で6番目に多い埼玉県川口市も6人だった。両市は住民登録していながら公立小中学校に在籍していない全ての子どもの所在を調査しており、自治体間で把握状況に大きな差が出た。就学確認をしていない自治体の多くは「外国籍の場合、日本人と違い子どもを小中学校に通わせる義務がないため確認していない」と説明した。〉
▼この、太字にした部分は、3日後の1月10日付記事でも紹介されていた。
〈外国籍の子どもの就学状況に詳しい愛知淑徳大の小島祥美准教授は「就学不明児の中には、不就学のまま放置されている子がいる。国際人権規約に照らすと教育の機会を保障すべきで、自治体任せにせず国が統一の指標を作る時期に来ている」と指摘した。【奥山はるな、堀智行】〉
▼同記事の横に、「外国人の就学義務」について、以下の解説があった。
〈就学義務は憲法26条に基づき、国民に対し子どもに小中学校の教育を受けさせる義務を課す。外国籍の保護者は「国民」ではないため、子どもに就学させる義務を除外されるが、文部科学省は「教育についてのすべての者の権利を認める」とする国際人権規約を踏まえ、「外国籍であっても本人が希望すれば就学できる」として受け入れを自治体に委ねている。〉
後半を読むと、「文科省が自治体任せにしている」という実態がわかり、問題の発生源がわかる。
この1月7日付の毎日記事には、社会面に、胸のつぶれるような関連記事が載っていた。これは明日以降に紹介したい。
(2019年1月28日)