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まだボランティアに行けないし、行ってはいけないという話(その3) 「北國新聞」2024年1月7日付を読む

▼能登半島地震について。2024年1月7日付「北國新聞」28面に、〈能登へ大挙、渋滞さらに/遠方の親戚や知人/知事「 来ないで」呼び掛けも〉という囲み記事があった。適宜引用、太字は引用者。

3連休初日となった6日、能登半島地震の被災地に向かう車で国道などがこれまで以上に渋滞した。全国から駆け付けた緊急車両のほか、親戚や知人の無事を確認しようと訪れた石川県外ナンバーの車も大挙。救助活動の遅れを懸念した馳浩知事が5日に「能登への通行はやめてほしい」と呼び掛けたものの、幹線道路には車列が続いた。

 奥能登へは、七尾市中島町付近から穴水町役場近隣まで国道249号を通らなければならない。車両が集中し、物資の運搬など救援活動への影響が問題となっている。6日は緊急車両以外の車も多く、七尾市大津町の国道249号と県道の合流地点では警察官が「気を付けて運転を」と呼びかけた。〉

▼同日付の社説には〈地震の通行規制/緊急車両優先に理解を

〈石川県は能登方面への移動を控えるように呼び掛けている。地震の被害が大きい奥能登に入ろうとする一般車両が多く、渋滞が発生して緊急車両の通行に支障が出ているためである。被災地に向かう「のと里山海道」や県道田鶴浜堀松線では7日から一般車両の通行止めが始まる。

 奥能登とつながる道路は限られている。個人で現地に行く動きが増えると、救助や復旧、輸送などの車両の通行に影響が出る。救命救助活動が続く今は一般車両の通行規制は必要な対応である。緊急車両優先を理解したい。

 6日には最大震度5強の地震があった。今後も強い揺れが発生する恐れがある。被災地の道路事情は厳しい。通行できる道でも陥没や亀裂、段差が多く、余震で損傷が拡大する恐れがある。

 降雨も続いており、7日は雪の予報が出た。雪が積もると通行はさらに難しくなるだろう。一般車両が積雪で動けなくなれば渋滞に拍車がかかる。余震や悪天候を考えると、この段階で現地に向かうのは危険と認識する必要がある。

 〈石川県は救援物資を被災地に直接、届けることも控えるように求めている。県で救援物資を受け入れているが、企業や団体からのまとまった規模の提供に限った。個人からの物資提供を受け付けないのは、仕分けなどに手間がかかるためとしている。

 これまでの大規模災害では救援物資が続々と寄せられて自治体が混乱したことがあった。それを教訓にすると、物資の受け入れは企業や団体の提供に限るとする石川県の対応はやむを得ない。

 被災者の窮状を見て何とかしたいと気がせく人もいるだろう。それでも今は混乱の回避が重要になる。居住地の自治体が救援物資を受け入れている場合は、そこを窓口とする方法もある。〉

▼29面の見出しは〈迫る寒さと感染症/穴水で6人 コロナ/奥能登の避難所、不安

〈奥能登の被災地に設けられた避難所に感染症と寒さが迫っている。6日、穴水町ののとふれあい文化センターでは6人の新型コロナ感染が判明。断水続きで 衛生環境が悪化する中、消毒液や手袋が足りない施設もあり、感染はさらに広がる恐れがある。7日は厳しい冷え込みと降雪が予想されるが、中には暖房器具のない避難所も。「毛布1枚で極寒を乗り切れるのか」。被災者の不安は尽きない。〉

この記事の隣にはビニールハウスが避難所になっている写真も。これは暖かそうだが、雪が多いと潰れてしまう。避難所に指定されていないと支援物資が届かないことも厄介だ。

▼SNSの危険については、「SNSと金儲けと編集者と」で何人かの専門家のコメントをメモしたが、

その中にも登場した、関谷直也氏が強調しているのは、人々がなぜSNSを使うのかというと、それは「感情を共有するため」だ。

ふだんは「感情を共有するため」に使っている道具を、災害時にだけ、急に、「事実を共有するため」に使えるはずがない。この錯覚のせいで、人生の時間を無駄遣いしている人の割合を調べる研究があると面白い。

▼人類は、SNSの使い方について、おそらく「ヨチヨチ歩き」の段階だ。災害にせよ、選挙にせよ、技術に人間の知恵が追いついていない悲劇として、歴史の教科書に載るような事例は、一つでも減らしたい。

(2024年1月7日)

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