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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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2022年1月の記事一覧

コーヒーショップみどりのとさか

近所のコーヒーショップにはしあわせとふしあわせの2種類しかメニューがない、
ふしあわせにはミルクを入れますか、
しあわせはお持ち帰りですか、
行くたびに違う動物の頭になる店員の、
上機嫌でも不機嫌でもない声が好きだった、
にわとりの頭のときと、おおかみの頭のときは、
どきどきするからふしあわせしか頼めない、 
名札の着いていないみどりいろのエプロンはいつも清潔にしゃんと伸びている、
あと4回くらい

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特価122円のダイヤのイヤリング

特価122円のダイヤのイヤリング

駅で恋人を待っているあいだに見つけたイヤリングがやわらかく虹色にひかっている、330円のイヤリングや54円のチョコレートで機嫌をとれる自分が好きだけれど、ほんとうは機嫌をとれているんではなくて物質的な価値にそれほど興味がないだけだった、
ささいなことですぐにわたしの車輪は回らなくなる、高い油をさされたって仕方がなかった、車輪はいきているわたしのからだの一部で、からだは、わたしの頭が、こころが命令を

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スーパーマーケット・ドーン

スーパーマーケット・ドーン

スーパーでお菓子売り場に捨てられたちくわを群れへと帰す仕事です

生きたまま腸に届かなくてもいいやさしいだけのはちみつヨーグルト

パック寿司先輩がそっと割引のシールをくれて少女を辞める

来週を迎えられない気分でも卵が安くて木曜は春

ぼんやりとひかるスーパーをあとにするおじさんぼんじり二本ください

チカのブラジャーはいちご柄

チカのブラジャーはいちご柄

いちごは好きだけどいちご味はそんなに好きじゃないって、言い出せないくらいの曇りだねチカ、いつだっていちご味のかき氷シロップ、みたいな光のチカ、カフェオレのこともカフェラテのことも、みんなコーヒーって呼ぶチカ。

千の花でも千の夏でもなんでもいいけど、ちかちか光るからチカなんだって、信用してなくても期待してほしいから、チェーンでもなんでもない田舎の変な名前のコンビニの電飾に間違って話しかける。
自動

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ワイドミー

美しくない理由で晴れの日を好きになってしまったとき、おとなの階段ってやつ、踏み外してしにたいと思った。  

晴れているから星がきれい、広がっているのが自分の内側か外側か分かんなくなりそうねって、宇宙に共感してほしい。目の前に見えるだけでもなんじゅう、なんびゃくの星があって、その奥にも、数えるのが億劫なくらい、だから、いっこくらいわたしにちょうだい、チョコレート菓子のひとつ、欲しがるみたいにいたら

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