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大海明日香
2019年10月29日 19:45
ねぇ、きみ、いきてるだけでアイシテルよって、言葉にはしないけどあたしずっとつないだ手から伝わっていかないかなって念じてる、のは、あたしのことも、理由も条件もなくこの生があたしだってことをあいしてほしいからで、はだかになるたび、見返りを求めないアイなんて嘘っぱちだよって呪いのように繰り返した。眠りにつこうとする、きみは、それを、流暢な外国語みたいだと思っている。 真夜中に慟哭もでき
2019年10月24日 19:45
未来なんてあたしにもよくわかんないけどせめて次のデートくらいまではあいしてほしい、そうやってちいさな約束を繰り返してそのうち永遠になるんだって盲目的にしんじてやまない、おろかなこどものまま、動物園に連れて行ってほしい。きりんのながい首がこちらに向かって折れる、そのはやさと、にんじんのあかるさだけを覚えていたい、それ以外のめんどうなことなんて、丸ごとわすれてしまいたい。 ぞうのかたいひふ
2019年10月19日 19:47
さよならクラゲぼくはもう海を出るしもうにどと海を泳ぐことはないだろうある日落ちてきたひかる破片にからだが映って気づいてしまったのだぼくはひとだった にほんあしで歩くようになっておおきな水槽を買ったちいさな魚を飼って不自由と自由をしりたかった不自由とはぼくのからだで自由とはきみのからだだと妬んでやまなかったじぶんの愚かさをしりたかったそうしていつか
2019年10月14日 22:01
かいころしてくれるかも分かんないひとのためにかたちを変えてしまうわたし、なんてかわいいんだろうと思った、けれど、かわいいね、と、きみは言わないから、そのかわいさには価値がないのだと思う。きみが決めていい、わたしの値段、どうしたら高価であれるかわからないので体重計に乗った、チョコレートを、くわえたまま。 ユニコーンは空想上の生き物だったからわたしはお腹を刺されてもしんだりしなくて、お
2019年10月7日 20:48
ぼく泣くならだれもいないバス停でぼく泣くなら無人の柔らかいバスを待ってぼく泣くなら知らない場所で終点を迎えてぼく泣くならそれが海のある街でぼく泣くなら静かな街を彷徨ってぼく泣くなら親切なひとが紅茶をいれてくれてぼく泣くならそのおだやかな甘さに安堵してぼく泣くならお礼を言ってまた街を彷徨ってぼく泣くなら不機嫌なひととぶつかってぼく泣くなら
2019年10月4日 20:54
処分する雑誌のように紐で縛られて、ちょうどおへそのあたりで結び目を持ち上げてほしかった、投げ出された足と重たい頭がくたぁと傾いて、きみはバランスをとるのに手間取ってため息をついたりするのだ、ほら、捨てるのにも苦労するでしょう、手に入れるって、そういうことなのよだぁりん。わたしがあなたなら、その身体が四角く軽くなるまで待てるのに、賢いから、ね。 (葬儀場、明るくて、昼夜は意味をなくす、 はじ