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紙ごころと秋の空|糊染め「クライスターパピア」を楽しむ

図書館で、ふらり覗いた棚。
手製本に関する書籍を発見。


「美篶堂とつくる美しい手製本 本づくりの教科書 12のレッスン」
美篶堂・編 監修・本づくり協会


昔、絵本を製本したくて体験に行ったなあとパラパラめくる。
すると、表紙や見返しに使用する紙素材について興味深い技法が載っていました。


* * *




クライスターパピア(糊染め)

「クライスターパピア」は、古くからヨーロッパに伝わる伝統的な紙染めの技法。日本語にするときは「糊染のりぞめ」と訳すのがよいといわれています。

「美篶堂とつくる美しい手製本
本づくりの教科書 12のレッスン」


ドイツ語でkleisterクライスターは「糊」、papierパピアは「紙」。英語でpaste paperペースト ペーパーとも。
糊と絵具を混ぜて紙を染め、模様をつけていく。

これは楽しそう。
動画を見ているだけで気持ちよくなる。




身近な材料で気軽に

さっそく材料調達。
手持ちの画材に加え、100円ショップと文房具店で買い物。懐かしの糊は大きいチューブ(220g)を200円で。主なリストは下部。

  • 水彩絵具

  • 糊(でんぷん糊・ひめ糊)

  • 刷毛

  • 糊の容器

  • 引っかくもの(くし・ヘラ等)

  • スポンジ

  • 汚れ対策(ビニール・新聞紙・雑巾・キッチンペーパー・エプロン等)



ペーストを作る

三原色

本で「糊に対し同量の水」とあったのに失念。好みはあれど、もっとトロ~ッとする位でもよさそう。水を足す時、スポンジで絞ると楽。

固めのクリーム状




紙の上であそぶ

スポンジで紙の両面を湿らせる。

剥がす時のため、端に紙を挟む


刷毛で塗る。


模様をつけていく。

ぽってりシマシマ



竹ペン、掃除用の小さいヘラ、お菓子用のヘラが大活躍。ローラーを張り切って買ったのに使うのを忘れた。

家にあった竹ペンは画材店で約200円




汚れ対策と場所の確保を

注意点は、汚れ対策を万全に。
机や床をカバーし、雑巾やキッチンペーパー、ごみ袋などを用意。気になるかたはゴム手袋、紙の下にラップを挟んでも。

そしてスペース確保が大切です。
私は衝動的に始め、足の踏み場が無くなりました。改めて事前準備って大事だなと。

今回は「これで大丈夫だろうか」と思いながら作りましたが、もう少し慣れるとリラックスできるはず。




乾かして完成

厚かった糊が翌日には収縮しパリッとする。
本では、仕上げの定着剤としてニスのスプレー(マットタイプ)を推奨とのこと。海外の動画だと蝋を塗っているかたも。
こちらはコーティングしていません。




奥深く、空高く、自由に

作ったのちに再び調べる。
検索で毎回出てくるのはZwillinge(ツヴィリンゲ)さん。日本人の双子姉妹。
雑誌 ku:nelクウネルで紙の星飾りを見た記憶がありました。
やや複雑ですがクリスマス飾り等の参考に↓
「フレーベルの星飾り」:YouTube

なんと2023年の紙博に出ていらした。
昨年は行けず、残念。


妹の香さんの取材記事から、紙が大好きで、紙づくりに真剣に向き合っておられるのが伝わる。
ワークショップに参加された方々の作品(下画像)も伸びやか。


すごいなあと惚れ惚れ。
私はどこか固い気がするし。
1回やったきりでは
この奥深さ、分かるはずない。
だけど


クライスターパピアに「こうでなくてはならない」というのはありませんから、感性の赴くままにやってみましょう。失敗したなというものも、捨てたりしないで。

「美篶堂とつくる美しい手製本
本づくりの教科書 12のレッスン」より
製本マイスター 青木英一



楽しんで。
なんでもいいんだ。
私が喜ぶためだもの。

そうしたら
紙が
秋に見えてきた。


空と緑と紅葉かしら



* * *



作った紙は、何にしよう。
次は、どうしようか。
渋い色合いもいいな。


ふつふつ湧いて、秋空へ。
十枚十色の、紙あそび。