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コメントリレー小説『アリとキリギリス』



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この記事は、毎週土曜日に開催している企画『コメントで、リレー小説しませんか』で紡がれた物語を編集したものです。


本編


夏。刺すような日差しのなか、アリたちは行列をつくり、キリギリスは口笛を吹いていた。

「やぁアリ君、今日も暑いのに頑張るねぇ。ちょっと休んでいくかい?」

キリギリスは悠々とキノコの椅子に腰掛け、バイオリンを奏でながら蟻たちに話しかけます。

ともすれば勤勉に働いている蟻たちに対する嫌味とも取れるような言葉に、蟻たちはそっけなく返します。

「まあ今度ね。」

キリギリスはちょっと悲しくなりましたが、再びバイオリンを手にとり演奏し始めるとすっかりいい気分。
つれないアリ達のことなどすっかり忘れて夢中で演奏を続けいました。
そうして日暮れが近づいた時のことキリギリスの演奏に3人組が足を止めました。
ギリギリズです。

ギリギリズは芽が出ない三人組の若手芸人でした。
「冬どころか明日食べるもやしもなくなりましたよ、おれら」
「ギリギリだなあ」
そんな話をしているときに、演奏が聴こえてきたのです。

その演奏はこの上なく美しい音色で、同じくバイオリン、そしてフルート、ピアノの三重奏でした。

美しい演奏をする3人は話しています。「今年も豊作で、秋の風が美しく満ち満ちていますね。」
「ええ、今年もいい年ですね。」
ミチミチズです。

演奏を終えたミチミチズに、ギリギリズは惜しみない拍手を送りました。
全くその拍手の盛大なことといったらその日食べたもやしのカロリーを軽くオーバーしてしまったほどです。
「どうかその素晴らしい演奏のお礼に僕たちにコントをやらせてください。」ギリギリズの高橋が申し出ました。
美しいミチミチズはこの申し出を喜んで受けました。

「ギリギリでいつも生きていたいからってその男が言っていたんですよw」高橋が言うと、
「な~に~~~‼️」高倉が叫びながら餅をつく。
男は黙って「亀梨かつぅ~んと♪×2回」
おあとがよろしいようで…🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️
ミチミチズは大喜び ꉂꉂ(థꈊథ)੭ु⁾⁾

そしてその勢いで楽器をタンバリンたんとアコーディオンとマラカスに持ち替えギリギリズの追っかけをはじめました。
6人ともとても楽しそうです。
その様子をみていたキリギリスは僕も入りたいなとちょっと思いました。

キリギリスはせっせと列をなすアリの一匹に声をかけました。
「僕と……お笑いコンビを組まないかい!」

「日中は仕事だから 仕事終わりの数時間だったらいいよ」アリはさわやかに答えた。
どうやら刺激を求めていたようだ。

しかし、アリは24時間働くもの。
休憩は1日あたり1分間✖️250回。

その内の数時間をキリギリスに捧げる。

これは、
命懸けのお笑いコンビ誕生となりそうです。

必死の形相で働くアリの横で、
「ねぇねぇ、どっちがボケでどっちが突っ込む?」とキリギリスが聞くと
「考えてる暇がないから、あなたネタ考えて❗あなたがボケて、私が突っ込むから」
キリギリスはあまりに忙しいアリの横で、呆然と立ち尽くした…

「ねぇねぇ、働くのって面白かったり楽しかったりする?」とキリギリスが聞くと
「そんな風に感じる時もあるよ、何なら代わってみる?」
キリギリスはアリと交替し人生で生まれて初めて働くことにしました。

「こんなの無理だ!」
バイオリンよりも重いものを持ったことのないキリギリスは、アリたちの運搬作業にすぐに音を上げました。一方、ネタを書き始めたアリは……

ネタを書き始めたアリは、
「なにコレ!すげー。」

自分で考えて書く、
という指示を与えられない仕事に感動。
アリ界、キリギリス界のネタ分析まで
はじめていた。

意外や意外、アリのネタは一部のキリギリスたちに大受け。それを見たギリギリズは自分たちがアリとコンビを組みたいと言ったにも関わらず、なんだか嫉妬してしまうのでした。

一方アリたちは大受けしたこともあって、”ネタを書いて披露する”という未知の遊びに夢中になっていました。
「もしかしたら俺たち‥これで食っていけるかも…!?!」

アリたちは、とにかくライブをやりまくりました。そして、毎回のように満員御礼。舞台に立てば立つほど、アリたちは売れっ子になっていきました。

しかしある日、ネタを書くアリの手が止まります。その原因は……。

「なぁみんな、これだけ売れりゃもう働かなくってもいいんじゃね?」

アリは自分達の仕事を思い出していた。
「あんなに汗水垂らして懸命に働いて、自分達の生活を守るものもあれば、かたや、優雅にバイオリンを奏でることを生業とするものもいる。どっちが得で、どっちが損で…もう、そんなことどうだって…🐜」
そんな時、キリギリスも同じタイミングで閃いた✨そうだ‼️
『そんなのかんけぇーねー』体操だ🎵

アリとキリギリスは『そんなのかんけえーねー』体操を、ライブでやりまくった。

しかし、もともとアリの書くネタが好きだったものたちは離れてしまい、気づけば客席には毎回1人だけ。その1人とは……

アリたちの女王「カンケイアリリンさま」であった。

客席からアリリンさまは言った。

「あんたたち、いつまでそんなくだらないことやってんのよ。私のベッドは? 私の食事は? 誰が世話するのよ」

アリリンさまの高圧的な物言いに、アリは何も言い返すことができない。そのとき、キリギリスが割って入った。

「おい✨そこのイカした女王さまよ🐜
俺のバイオリンを聴いてくれないか🎻
こんなちっぽけなキリギリスでも、命かけてこの国を癒してるのさ✨」
キリギリスの演奏は、アリたちと切磋琢磨するうちに素晴らしい音色へと変化していた。たちまち女王はキリギリスに恋をしてしまった💕この!ハート泥棒💘

図らずも、女王アリリンのハートを
盗んでしまったキリギリス

それから毎日のように、女王の宴に招かれた🥂
響き渡るヴァイオリンの音色
集められたご馳走の数々

キリギリスは、
竜宮城のような楽園に酔いしれていた

もちろん、もてなすのはアリ達

その一部の過激なはたらきアリ達の中に、小さな不満の種が芽を出していた。
「なんであんな呑気な野郎のために、俺たちが働かなきゃいけないんだ?」

一眼でその不穏な雰囲気を察知したアリリンさまはいった。「怠けなさい。」

不満分子のアリ達はアリリンさまの命令に喜んだ。
命令だから仕方ないと今まで羨ましかったサボりというものをやってみた。
不満分子達が怠けたおかげでアリリン女王の食料はだんだん目減りしていく。

そんな様子をみてキリギリスは働こうかと思ったがアリリン女王はこれも制止した。「客が1人になっても舞台を続けていたではないですか。あなたはヴァイオリンを活かしてあの時のアリ達とライブをしたほうがいい。」

 このままでは貯蔵庫は空になりそうだったけどアリリンさまは一歩も引かなかった。 

 やがて怠けることに飽きた不満分子のアリ達が、遊びで働きはじめた。前みたいにモーレツではないけれど働きはじめたアリ達をみて仲間は喜んだ。

「俺、ほんとは運搬じゃなくて子守りをやってみたかったんだよ」「おれは絵を描いてみたかったんだ」「ていうかモノを運ぶなんて、装置を使えばいいんじゃないか?」こうしてアリたちの社会は、遊びのために発展していった。

そう、アリのDNAに刻み込まれた勤勉さは
どう転んでも生産性を上げてしまう。

一方、
キリギリスのDNAに勤勉さというのはない。
あるのは"気ままさ"であり、キリギリスはそこから逃れられない。
「俺は楽しいことしかできないんだ」

そこへギリギリズの師匠である千鳥がやってきた。
「キリギリスさんよ~♪さちゃんはね、幸子っていうんだ。ほんとはね♪」
ダイゴが歌うと、「さちゃんじゃねぇ~✊さっちゃん!」と突っ込みをいれるノブ師匠。
それを見ていたキリギリスはあることを思い付いた👍️

「そうだ!ヴァイオリンでツッコミをするんだ!」
こうしてキリギリスはそれまで誰もやっていない「ヴァイオリン1人漫才」をはじめた。バカ売れ大ヒットした挙句、事務所に所属、スケジュールが1年うまって大忙し。キリギリスは好きなことをやっていたので全くストレスがなかった。しかしピンクレディもびっくりの忙しさである。
冬が来てキリギリスはあることに気がついた。
「そういや俺、メシ食ってない。」

キリギリスは、きまぐれに送迎用リムジンから降りた。
ふらりと入った店で彼が頼んだのは、

「きっとメニューにはないだろうけど、おむすびをつくってもらえないだろうか」
すると店主は
「あるよ」
と答えるのだった

キリギリスは思った
「好きなことだけして生きるのも難しいよなぁ」
一方のアリも思った
「あくせく働くだけじゃ人生に潤いがないよなぁ」

それぞれが思った
「ちょうどいいバランスが一番難しいのかもなぁ」

おしまい


めでたしめでたし



編集後記


皆さま、こんにちは。

今日の石川県は、夜中に降った雨と分厚い雲に陽が遮られて、骨身にしみる寒さになりつつあります。今朝はコーヒーをホットに切り替えて、この記事を編集しています。

さて、今回の『コメントリレー小説~アリとキリギリス編~』も、皆さまのお力添えのおかげさまで、無事、完結するに至りました。

そして今回「せっかくだし、この愛すべき物語を一つの記事にしておくべきじゃん?」という直感に従い、長年つちかった【コピー&ペースト】の能力を使い、記念碑的なものとして投稿することに。

何度も【Ctrl】キーを打つことによる左手小指の痛みを乗り越え、感覚をなくしながらも、なんとか記事にすることができました。

そうして出来上がったものを読んではじめて見えた、ひとつづきの流れ。

夏から、秋、そして冬へ。

演奏、お笑いと、賑やかに始まった物語が、メニューにないおむすびに集約される。

そこにはなにかしらのメッセージを感じずにはいられませんでした。



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