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Photo by
gemini6rabbit
だいすきな人類、、そろそろさよなら
「世界から戦争を無くす方法を教えて」
「争いがない世界の作り方」
淋しい部屋で垂れ流されるニュース映像が、今日もそんな検索欄を打ち砕く。
青白い指でボタンを押して、チャンネルを変える。変える。変える。目の前の景色は変わらない。
信じて生きてきた世界の、本当の姿に絶望した。愛すべきと学んだ人間たちの、本性がわかって絶望した。
そして信じきれなかった私自身の、濁った心に絶望した。
誰も直接裏切っては来なかった。周りの人はみんな優しい。それでも映像が、ニュースが、遠い国の現実が、刃物を持って襲いかかってくる。
空き瓶が転がる音と共にテレビが消えた。真っ黒な画面に映る眼は溶けている。
刃物が突き刺さる。また戦争で血が流れた。
うん。痛くはない。
青く狭いこの部屋が少しずつ赤く染まる。
名誉も金も憎しみもない単なる傷とそこから溢れる単なる血液。
純度が高いな。それだけが今の安心材料。
同じ人間として。同じ地球の住人として。
何をすべきかわからない。
「戦争を止める方法」
結局大嫌いな世界にまた何かを期待しようとしている。
スイーツを買ったお釣りを募金箱に入れた。この街は平和そう。
この街にも戦争がやってきたら、勝手ながら首を括ろうと決めている。