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尊敬する上司から聞いた『気持ちよく仕事をするための秘訣』
普段の私は堅物で、人懐っこい笑顔とか特に苦手だ。
媚びる、というと聞こえが悪い。
けれど、他人に愛されたいという気持ちは不純じゃないと信じている。
心のどこかで他人への恐れを抱いている。
そのくせ、他人を好きになろうとする。
矛盾しているのは、考える葦の特性だ。
一言で表せば、他人との距離感が上手く掴めない。
あるいは、間合いに入るのが下手、と言うべきか。
だから、noteにものを書き始める少し前から、
この恐怖症、心配症をどうにかしたくて、
小さいことを重ねてきた。
基本的なことだ。
はっきりとした挨拶、
自己を開示する、
無理なく笑う、
他人の興味があるものに興味を持ってみる、
人の話を真摯に聞き、その意図を噛みしめる。
意思疎通の意の字。
でも、私は意の字のさらに手前ができない。
つまり、人の目を見ながら話すのが、苦手ってことだ。
元々苦手だったけれど、ある時を境に完治しかけて、
ぶりかえし、悪化した。
人の目を見つめると、時折、心臓が掴まれるような気持ちになる。
友人の目は見つめることができる。
好きな人間の目は、見つめたいと思う。
それでも、心裡が読み取りづらい目、
あるいは読み取りづらく見える目は直視できない。
そんなの私自身の単なる思い込み、被害妄想に過ぎないのに。
目を見て話すことは、誠実さのアピールだ。
目を見て話すことを恐れる私は、不誠実な人間の権化なんだろうか。
会話が終わったとき、胸がどっと重くなる。
人の目を真っ直ぐ見つめる勇気が必要だった。
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尊敬している上司と面談があった。
定年が近いその人は、柔和な笑みが印象的で、
新入社員の私でも、気兼ねなく話すことができる人の1人だ。
そういう雰囲気を持っている。
それでいて、周りの社員のことを深く観察しているところにも憧れている。
面談で話したこと。配属先とか、研修の不安点とか。
トントン拍子で話が進めば、簡単に話題は尽きてしまう。
本題の話はすぐに終わった。
なので、フリートークタイムで、私は上司に、
「どうしたら、○○さん(上司の名前)のように、話しやすい雰囲気を作れるんですか?」
と聞いた。
彼は、「秘訣はないかなぁ」と答えたあとで、
「この歳になると、他の若い社員が子供とか孫とかに見えてくるからね」
いい上司がいる会社に入社したな、と、
口にはしなかったけど、そういう確信があった。
上司によると、数年前まではもっと厳しかったらしい。
若かりし頃の武勇伝はまたいつか聞きたい。
彼は雰囲気に秘訣がないと答えたうえで、1つ、大事にしている言葉を教えてくださった。
それは『共創』という言葉だ。
仕事は1人で行うものではない。
誰かとともに価値を創造し続けることで。
『自分が気持ちよく仕事をするためには、
周りも気持ちよく仕事をしていたほうが絶対にいい』
そういった理念を軸にすれば、自然とやるべきことは見えてくる。
面談の終わり、上司が掛けてくれた金言を噛みしめる。
手段は無数にある。
何をやれば正解だ、なんて分からないから難しい。
でも、ありとあらゆる手段の中から、
自分の目的に適したものは果たしていくつあるだろう。
無闇矢鱈に答えを探すよりはきっと、やるべきことが分かる。
『自分が気持ちよく仕事をするためには、
周りも気持ちよく仕事をしていたほうが絶対にいい』
仕事だけじゃない。
人生1つ取ったって、同じ金言が通用するはずだ。
『自分が気持ちよく人生をするためには、
周りも気持ちよく人生をしていたほうが絶対にいい』
たった1つ、目的さえ生まれてしまえば、
そのために必要な通過点は絞れる。
とりあえず、
人の目を真っ直ぐ見つめて、伝える。
そんな一歩から始めよう。