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二人のためのレシピ|12.オレンジチキン

日によってまだ蒸し暑さを感じて驚くことがあるものの、随分過ごしやすくなり、火のそばに立つ時間が苦でなくなってきたことにほっとしています。

日々の料理選びでちょっとボリューム感のあるものが欲しくなった時に食べたくなるのが、アメリカン中華の「オレンジチキン」。鶏の唐揚げにオレンジジュースを使ったあんをからめたアメリカ生まれの中華料理は、日本にも上陸しているアメリカのチャイニーズレストラン「パンダエクスプレス」の人気メニューとしても有名です。

中華にオレンジジュースは意外な組み合わせにも思えますが、爽やかな酸味と甘味のバランスは酢豚やエビチリに通じる雰囲気があり、食べてみると昔から知っていたような親しみのある味わい。

茜色のチキンをつまみながら、深まる短い秋の日を静かに愉しみます。

今、心にいるその人とご一緒に、ぜひどうぞ。

オレンジチキン【材料】2人分

・鶏もも肉…1枚(350g)
〈下味〉
・醤油…10g(小さじ2)
・日本酒…5g(小さじ1)
・ごま油…5g(小さじ1)
・こしょう…適量、多め
・片栗粉…18g(大さじ2)

〈オレンジソース〉
・オレンジジュース(果汁100%)…45g(大さじ3)
・水…30g(大さじ2)
・酢…25g(大さじ1と1/2)
・醤油…25g(大さじ1と1/2)
・砂糖…8〜10g(大さじ1)
・鶏ガラスープの素…1g(小さじ1/3)

・鷹の爪(輪切り)…ふたつまみ
・にんにく(みじん切り)…2かけ
・サラダ油…5g(大さじ1/2)
・片栗粉…3g(小さじ1)、※大さじ1の水で溶いておく
・ごま油…少々
・揚げ油(サラダ油)…適量

このお料理の特徴は、なんと言ってもソースにオレンジジュースを使うこと。自然で爽やかなオレンジの風味で、唐揚げがすっきり軽やかに食べられます。中華風のお料理は一見材料の数が多く慌ただしい気持ちになりがちですが、事前にできる準備をしてから作り始めれば、まったく心配いりません。


オレンジチキンの作り方

⒈〈オレンジソース〉の材料を小鉢に合わせておきます。
オレンジジュースは商品ごとに甘さや酸味に違いがありますので、使用するものによって砂糖の量を好みで加減してください。にんにくのみじん切り、水溶き片栗粉も準備しておきましょう。

アメリカン中華のメニューは、白ごはんのおかずというよりも、チャーハンや醤油味の焼きそば(チャオメン/炒麺)と食べるのが定番で、かつよく合います。手軽な冷凍チャーハンなどでその抜群の相性もぜひ試してみていただけたらと思います。

⒉鶏肉に下味を付け、揚げていきます。
鶏肉は皮をはずし、硬い筋や余分な脂があれば取り除いて、3cm角に切ります。箸でつまんで一口で食べられるサイズが目安です。

鶏肉をボウルに入れ〈下味〉の調味料を加えます。その際、片栗粉は分量の半分を入れて、半分残しておいてください。〈下味〉が全体に行き渡るようによく混ぜたら、片栗粉の残りを加えてさっくりとまぶします。

この、片栗粉を2回に分けて加える一手間が、仕上がりを左右する重要なポイントです。

これによって、先に加えた片栗粉が水分と合わさって“ノリ”になり、後から足す片栗粉を衣としてまぶすことができるので、あんがよくからむクリスピーな揚げ上がりにできるのです。(後から足した片栗粉が全部湿ってしまう場合は、大さじ1/2程度を足して、粉っぽさが残るように調節すると衣がサクッとします。)

フライパンに底から2cm高さ程度の揚げ油を中火でしっかり温め、鶏肉を入れていきます。

鶏肉のカットが小ぶりで火の通りが早いので、衣をカラッとさせつつお肉が揚げ過ぎにならないように、油の温度をやや高め(180℃目安)にして短めに揚げるのがコツです。

油に入れたらしばらく触らずに、衣が固まるまで1分ほど待ちます。底にくっつかないように箸で軽く動かして、お肉の縁に乾いた感触を感じたら裏返します。両面香ばしく色付き衣がサクッとしてきたら、揚げ上がりです。(全体で3〜5分目安)

このお料理では皮は使いませんが、別に塩を振ってカリッと焼くとおつまみに最高です。

⒊オレンジソースソースをからめて、仕上げていきましょう。
フライパンをきれいにして(または別のフライパンで)、ソース用のサラダ油を中火で温め、にんにくのみじん切り、鷹の爪を炒めます。にんにくの香りがさっと立ったら、合わせておいた〈オレンジソース〉を加えます。

そしてソースが軽く温まったら「一度火を止めて」、水溶き片栗粉を今一度よくかき混ぜて回し入れます。この「一度火を止めて」が、きれいなとろみ付けのコツです。

熱々に沸いたところに水溶き片栗粉を加えると、たちまち熱でぶりっと固まってしまいダマになりがち。そこで「一度火を止めて」鍋の温度を落ち着かせてから水溶き片栗粉を加えることで、均一にきれいなとろみがつけやすくなります。水溶き片栗粉とソースがよく馴染んだら改めて中火をつけて、ゆっくり混ぜながら片栗粉に熱を加えていきます。

とろみがついてツヤが出てきたら、香り付けのごま油を加えて火を弱め、揚げた鶏肉を加えてからめます。ソースが全体に行き渡ったら、できあがりです。

衣がサクッとしているうちに、できたてをぜひどうぞ。お好みで、ごま、鷹の爪などをトッピングすると風味と雰囲気が増します。

甘酸っぱいソースがからんだ香ばしい一口サイズのチキンは、きっとみんな大好きな味。今日のソースは、オレンジジュースの持ち味をお酢の酸味と砂糖の甘みで補強して膨らませたおとなっぽい配合で、オレンジ味というより、唐揚げと醤油の香ばしいおいしさがまずあって、最後にふわっと柑橘の香りが鼻に抜けていくイメージです。チャーハンとの相性は間違いなし。

オレンジチキンは、野菜など他の具材を加えないことも、おいしさと、作りやすさの点からも大きな特徴。もし野菜が欲しい場合には、緑の茹で野菜を添えれば彩りとバランスがぐっとよくなります。

今回は、アメリカ料理によく登場するブロッコリーを添えました。チキンとごはんも味のついたチャーハンなので、箸休め的に塩茹でで十分です。

オレンジが香る唐揚げとチャーハン、ブロッコリー、アメリカン中華。馴染み深い中華料理も、少し目線を変えるだけでまだまだ新鮮さを味わえます。

秋はお腹が空くもの。ようやく訪れた季節のめぐりを、存分に愉しみましょう。食べた分は、明日から長めに歩いて解消します。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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美窪たえ|おとな料理制作室
お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。