赤ちゃんのいない産後休暇~弟の演奏会に行く~
私には12歳離れた弟がいます。中学3年生です。
産休中、実家に帰ったタイミングで弟が所属する吹奏楽部の地域合同演奏会があったので父と母と共に3人で聴きに行きました。
全部で20校ほどの公立中学校の吹奏楽部が来ていて、保護者や親戚のみ入場可能です。自分の子供の学校の演奏だけ聴いて帰る方も多いようですが、私たちは弟の学校も含めて12、3校ほどは鑑賞しました。
保護者は2階席で生徒たちは1階席。2階から見下ろすと、黒い頭が綺麗に並んでいます。居眠りしているような子はいないし、もちろんおしゃべりばかりの子もいない。吹奏楽部はどの学校も行儀が良いのですね。
素人の私からしてみるとどの学校も中学生とは思えないような素晴らしい演奏でした。
弟はパーカッションですが、正直、どの学校のパーカッションの子よりも上手だったと思います。楽しそうに、肩の力を抜いて余裕をもって演奏していたので、なんだか安心して聴くことができるのです。(姉バカですね)
撮影OKだったので、多くの親御さんがスマホで録画していました。
客席が暗いので、自然と周囲の親御さんのスマホ画面が目に入ります。
画角が変わらず全体を映し続けている画面もあれば、
ずっと1人をアップにしていて、どの子がお子さんなのかすぐに分かる画面もありました。
ほほえましい光景です。
きっと色んな子育ての苦労がありながらも、お子さんがこうして舞台に上がれるほど立派になって、その成長を喜んでカメラにおさめているんだな。と、スマホの画面一つ一つに勝手に物語を感じて感動してしまいます。
もちろん私の弟も、ここまで来るのにたくさんの苦労がありました。
弟は、中学1年生の終わりごろからほとんど学校の授業には行っていません。
不登校という言葉で表して良いのかはわかりませんが、周囲から見たら不登校だと思われていると思います。
それなのに部活は好きなようで、放課後から学校に行って練習に参加したり、コンクールにもみんなと同じように出て活躍しています。
弟が学校に行けなくなった当初は、母も父もかなり心配したり、「サボりなんじゃないか」と疑って行くように促したりと戸惑っていました。
しかし病院で「起立性調節障害」と診断されてからは、弟のできる範囲に合わせてサポートをするようになりました。
給食の時間から学校に行くように促したり、リモートで参加できる授業だけ参加できるよう先生と相談するなど、色んな人たちと協力しながら子育てをしていました。(リモート授業は感染対策のために始まったものだったので、弟の学校では今はもうなくなってしまったようですが。)
今は起立性調節障害もだいぶ良くなっているように見えますが、あまり学校に行く気持ちはないようで、部活以外は家で過ごしています。
通っている病院で受けた検査の結果によると、弟は苦手なことと得意なことの差がかなり大きいという特性もあるようで、無理に学校の授業を受けることがストレスになってしまうようです。それもあり、両親も好きに過ごさせています。
授業は行かないけれど、運動会や合唱コンクールなどの行事だけ参加したり、部活には張り切って行くのです。
「いつも行ってないのにこういう時だけ行って、気まずいとか思わないのだろうか?」と、学生時代はどちらかというと優等生だった私からすると、疑問に思うこともありました。
しかし、堂々と自分の気持ちのままに過ごして、自分のペースで成長していく弟を見ていると、そんなに周囲からの見られ方を気にしすぎなくていいのかもなと思えるのです。
そして、そんな弟を認めてくれている担任の先生や顧問の先生、部活の仲間たち、何より両親に対しても、尊敬の気持ちが溢れます。
普通でありたい。みんなと同じでありたい。そう願うことは現代を生きる人間の本能である気もしますが、私が中学生だった頃から比べても、世の中の当たり前や普通が変わりつつあるんだろうなと思わされます。
時代の変化に合わせて、私自身も考え方をしっかりアップデートしていきたいです。
ちなみに弟はあと2人いるので、また別の機会に彼らのことも書けたらいいなと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?