ラミニャの呪い―スペインバスク民話集 (1980年) (メルヘン文庫)
ラミニャの呪い―スペインバスク民話集 (1980年) (メルヘン文庫)
ヨーロッパの少数民族、バスク民族に伝わる民話を、集めた本です。
バスク民族は、スペインとフランスとにまたがる地域に住む人々です。独自性の高い文化を持つことで、知られます。彼らが使うバスク語は、ヨーロッパの他のどの言語とも、似ていないといわれます。
日本では、バスク民族の文化は、まったく馴染みがありませんね。私の知る限り、日本語に訳されたバスクの民話集は、二冊しかありません。
本書は、そのうちの一冊です。スペイン側に住むバスク民族の民話集です。
ちなみに、もう一冊は、フランス側に住むバスク民族の民話集です。
日本語で、バスクの民話が読める点だけでも、本書は、貴重な資料です(^^)
バスク特有の超常的存在として、ラミニャやバサハウンといったものたちが活躍する話が、含まれています。
ラミニャは、妖精と魔女とを合わせたような存在です。バサハウンは、恐ろしい巨人のような存在です。
文章はやさしく、読みやすいです。
話の筋は、ヨーロッパの民話に詳しい方なら、みな、どこかで聞いたことのあるものばかりです。親しみのある話の筋のうえに、ラミニャやバサハウンなどの、バスク独自の文化要素が載っています。
少なくとも、本書に載る限りでは、バスク民族だけに見られる話の筋は、ありません。
独自性が高いと言われつつも、周囲の民族と交流を持っていた証拠でしょうね。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
1 マキリァキシュキ
2 いじめられた花嫁
3 ばかな学生
4 ダル・ダル
5 蛇退治
6 ふしぎな男達
7 かじ屋のパチ
8 塩か王様か
9 美しい星
10 ベニャルド
11 漁師のカニーリョと息子のカニーリョ
12 占い師のくつ屋
13 あわれみ深いくつ屋
14 くつ職人の物語
15 バラチュリ
16 バルバンチョ
17 お前の心は私のもの、私のお金はお前のもの
18 風変わりな三人兄弟
19 悪い魔女の話
20 かまどの火とたきぎの束
21 四人の力持ちの話
22 熊のファニーリョ
23 二つの卵
24 子牛のねだん
25 白い城
26 医者になった貧乏な男
27 四人のみなし子
28 ムスキアの物の怪【もののけ】
29 バサハウン
30 バサハウンと麦種
31 聖母の牛
32 ラミニャのくし
33 ラミニャの呪い
34 悪魔の年齢
35 バルツォラの蛇
36 人間と蛇と狐
37 エセルシスの聖ミゲル教会堂
38 グァリン
39 アメスケタの泥棒とマドリードの泥棒
40 リンネルと肥料
41 怠け者のキリストと聖ペテロ
42 おろか比べ
43 二つとない帽子
44 ベラステギの者の行くえ
45 怠け者のじいさん
46 王様の顔
47 ばか息子と母親
48 雌狐の幸せ
解説