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哺乳類型爬虫類―ヒトの知られざる祖先


哺乳類型爬虫類―ヒトの知られざる祖先

 「哺乳類型爬虫類」という題名を聞いて、どれだけの方が、それが何かを思い浮かべられるでしょうか?

 もし、これが何なのか、すぐにわかるという方であれば、ぜひとも本書を読むべきです!
 そういう方は、間違いなく、古生物好きでしょうからね。そもそも、著者の金子隆一【かねこ りゅういち】さんの名前を見た時点で、ぴんと来るでしょう。「これは、良書だ」と(^^)

 金子隆一さんは、科学ライターとして、実績のある方です。
 とりわけ、古生物学の分野では、他の追随を許さない方でした。一般向けに、良質で、わかりやすい解説を提供する点では、この方は、日本一だったのではないでしょうか。
 惜しくも、二〇一三年に、亡くなられています。

 哺乳類型爬虫類が何なのか、わからない方でも、哺乳類の起源に興味があるならば、本書は、大いに読む価値があります。
 一般向けの解説書で、哺乳類の起源について、これほど詳細に書かれた本は、他には、絶無だからです。
 評価は、五つ星以外、考えられません。

 哺乳類は、爬虫類から進化しました。
 その過程では、「爬虫類とも哺乳類ともつかない生物」がいました。それが、哺乳類型爬虫類です。
 現代では、哺乳類型爬虫類たちは、すっかり、絶滅してしまっています。彼らの姿を知るには、乏しい化石から、探ってゆくしかありません。

 本書には、そうして再現された、「爬虫類とも哺乳類ともつかない生物」の姿が、載っています。
 読み進むうちに、読者は、「紛れもない爬虫類」の世界から、「ほとんど哺乳類」の世界へ、連れて行かれます。進化のダイナミズムを体感できます(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

第1章 哺乳類型爬虫類とは何か
 ヒトの祖先をたどる
 すべての哺乳類の祖先「単弓亜綱【たんきゅうあこう】」
 「哺乳類」と「爬虫類」
 有羊膜類【ゆうようまくるい】の陸上進出
 単弓亜綱は本当に爬虫類か?

第2章 最古の哺乳類型爬虫類――盤竜目【ばんりゅうもく】
 盤竜目の分類
 最古の盤竜目はどれか
 史上最初の植物食爬虫類
 植物食盤竜目の起源
 ペルム紀前期の盤竜目王朝
 熱戦略の行き詰まりが彼らを滅亡させた?

第3章 巨大で鈍重な植物食獣弓目【じゅうきゅうもく】――ディノケファルス下目【かもく】
 獣弓目の二大分類群
 ディノケファルス下目とはどのようなグループか
 ”驚くべき顔”のエステメノスクス
 分厚い頭蓋を持つモスコプス
 彼らはどこまで哺乳類的だったか

第4章 もっとも繁栄した植物食爬虫類――ディキノドン下目【かもく】
 ディノケファルスの跡を継ぐ大分類群
 ディキノドン下目最初期のメンバーたち
 初期の穴居性小型ディキノドン
 ペルム紀後期のディキノドン王朝
 三畳紀ディキノドンの系統と進化

第5章 獣歯亜目【じゅうしあもく】の初期メンバーたち
 哺乳類の直系祖先――獣歯亜目
 最古の獣歯亜目――テトラケラトプス
 獣歯亜目の初期メンバーたち
 巨大な牙を持つ獣歯亜目のモンスター
 ゴルゴノプスは体毛を持っていたか?

第6章 多様性に富んだ獣歯亜目――テロケファルス下目【かもく】
 テロケファルス下目の系統的な地位
 高度の多様化を遂げたスキラコサウルス上科
 植物食に進化したバウリア様【よう】上科
 テロケファルスは直立歩行ができたか?

第7章 哺乳類への道をひた走ったキノドン下目【かもく】
 哺乳類型爬虫類最後の大グループ
 初期のキノドンはどんな生き物だったか
 体を丸めたキノドンの化石
 顎【あご】の関節がいかにして内耳骨【ないじこつ】に変化したか
 哺乳類の誕生とキノドンの最期

あとがき
参考文献
索引



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