日本の美術 481 人面をもつ鳥—迦陵頻伽の世界
仏教伝説に登場する架空の鳥、迦陵頻伽【かりょうびんが】について、解説した本です。
類書は、ありません。私の知る限り、唯一の、迦陵頻伽の専門書です。
先に、仏教伝説に登場すると書きましたね。けれども、この鳥について、具体的な伝説は、あまり伝わっていません。もっぱら、美術の意匠として、工芸品や絵画の中に現われます。
本書は、そのような工芸品を、たくさん取り上げています。日本にある迦陵頻伽の工芸品で、主な物は、すべて挙げられているのではないでしょうか。
迦陵頻伽は、上半身がヒトの姿で、下半身が鳥の姿をしています。ヒトの腕と鳥の翼と、両方を持ちます。生物としては、明らかに不自然で、バランスが悪いです(^^;
そのような不可思議な生物を、いかに美しく表現するかは、職人の腕にかかってきます。仏を讃える鳥なのですから、仏教の立場からは、美しくあらねばなりません。
本書では、職人たちが腕をふるった迦陵頻伽の姿を、たっぷり見られます(^^)
本書には、迦陵頻伽以外の「人面をもつ鳥」も、載っています。仏教伝説には、他にも、人面鳥や、それに類するものが登場するのですね。
それらは、共命鳥【ぐみょうちょう】、乾闥婆【けんだつば】、迦楼羅【かるら】、緊那羅【きんなら】といったものたちです。これらに関する資料も、少ないです。その点でも、本書は、貴重な資料です。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
仏教における人面鳥と有翼人物
迦陵頻伽【かりょうびんが】
共命鳥【ぐみょうちょう】
乾闥婆【けんだつば】
迦楼羅【かるら】
緊那羅【きんなら】
図版目録
参考文献
付論
中国神話における人面鳥と有翼人物
古代地中海世界における人面鳥と有翼人物
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