イタリア・奇蹟と神秘の旅
著名な作家の坂東眞砂子さんが、イタリアについて、書いた本です。イタリア各地を、実際に旅して、書かれた紀行です。
さすがに、文章は、こなれていて、読みやすいです。さほど厚い本ではないこともあって、すんなりと読めてしまいます。
『奇蹟と神秘の旅』という題名のとおり、不思議なことが起こったと言い伝えられる地方を、巡っています。伝承のある場所を訪れたり、ゆかりの行事を見学したり、地元の方に話を聴いたりしています。
読んでみると、やはり、イタリアは、カトリックの国だなと感じます。その基盤には、長い中世の文化があり、偉大なローマ帝国の文化があり、さらには、エトルリア人の文化があります。歴史の重みを感じる本です。
そして、歴史のひだには、神秘が付きものなんですね。
現代では、わからなくなってしまったことがあるために、神秘の影が付きまといます。それは、奇蹟と呼ばれたり、魔女の仕業と呼ばれたり、時には、科学技術の粋と呼ばれたりもします。
イタリアがお好きな方、神秘的なことがお好きな方に、とてもお勧めの本です(^^)
イタリアのガイドブックや紀行文は、山ほどありますが、本書のようなものは、少ないでしょう。
私は、「メドゥーサの息子」の章に登場する、ジェロラモ・セガトに、強い印象を受けました。
セガトは、十八世紀末に生まれ、十九世紀前半に死んだ男性です。もともとは、地図制作の仕事をしていました。その彼が、二十九歳の時、とんでもないことを考えつきます。
いったい、どんなことを考えついたのか……それは、ぜひ、本書をお読み下さい(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
聖アントニオの舌
謝肉祭【カーニヴァル】
魔女の町
鞭【むち】打ち苦行僧の行列
異端者の谷
魔都トリノ
メドゥーサの息子
夢の戦い
土の瘡蓋【かさぶた】
1 東から到来した恐怖時代
2 『貧者の聖書』
3 大聖堂の地底世界
4 太古から続く東の波
5 土に覆われた苦痛
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