動物妖怪譚 下巻
妖怪の本です。
日本の妖怪の中で、「動物妖怪」といえるものを集めています。
これは下巻です。入手できるのであれば、上巻からお読み下さい。
下巻(本書)では、主に、「実在する動物が、妖怪と思われたもの」を取り上げています。狐【きつね】、狸【たぬき】、獏【ばく】などですね。
上巻では、「まず確実に、実在しないもの」を取り上げています。竜、鳳凰、麒麟【きりん】などです。
中には、例外もあります。
下巻(本書)にも、鳥になる貝、狛犬【こまいぬ】など、「実在しないもの」が挙げられています。
下巻(本書)には、附録として、「日本妖怪変化語彙」が付いています。
これが、非常に使えます。下手な妖怪事典よりは、この附録のほうが、役立つでしょう。
この本は、文章の言い回しが古いです。読みにくいと感じる方もいると思います。
最初に出たのが、大正十五年(一九二六年!)ですから、仕方ありません。
しかし、内容は、古びていません。現在でも、日本妖怪の解説書・研究書として、十分に使えます。
それどころか、日本妖怪の基礎文献の一つといえます。この本を読まずして、日本の妖怪を語ることはできないでしょう。
本書では、それぞれの妖怪について、たいへん詳しく出現記録が挙げられています。
これは、膨大な古典書籍に通じていた著者だからこそ、できたことです。
妖怪好きなら、迷わず買いましょう。決して、「損をした」とは思わないはずです。
以下に、本書(下巻)の目次を書いておきますね。
各論
三、異常な能力のあるもの
17 狐 / 18 狸 / 19 獏【ばく】 / 20 鯰【なまず】 / 21 猫
四、雑
22 わに / 23 海蛇 / 24 鳥になる貝 / 25 狛犬 / 26 血塊【けっかい】
結論
補遺 / 跋【ばつ】 / 再記
参考文献
附 日本妖怪変化語彙 校訂:村上健司
解説 武村政春
索引