トケビ―韓国妖怪考 (歴博ブックレット (24))
韓国の代表的な妖怪、トケビを紹介した本です。
本書を読めば、トケビの基礎知識が身につきます。「トケビ入門」と言える本です。
トケビは、トカビ、トッカビなどと呼ばれることもあります。そもそも、朝鮮半島の言葉なので、日本語へと正確に発音を移すのは、無理なのですね(^^;
本書では、トケビで統一されています。
トケビは、現代の韓国で、最も有名な妖怪だそうです。本書を読むと、そのトケビの実態がわかります。
外国の妖怪の情報は、なかなか、ありませんよね。本書は、貴重な資料です(^^)
本書によれば、トケビは、「日本の河童と天狗とを足して、二で割らない」感じの妖怪です。
海にも山にも棲みますし、神として祭られることもあります。恐れられながらも、愛嬌がある存在とも認識されています。
日本の妖怪との関係を、うかがわせる部分もあります。
例えば、朝鮮半島の民話には、「トケビの砧【きぬた】」と呼ばれる魔法の道具が登場します。これは、叩けば、何でも願った物が出てくるというものです。日本の「打ち出の小づち」に、そっくりですね。
また、トケビは、朝鮮半島式の相撲「シルム」を好みます。この点は、河童と似ていますね。日本の河童は、相撲を好むといわれます。
トケビの登場する民話を読むと、全体的に、日本の民話に近い味わいがあります。読んでいて、ほのぼのします(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
まえがき
一、トケビを理解するために
トケビにまつわる諺【ことわざ】
「トケビ」の語源
文献に現れるトケビの姿
二、トケビはどこに住んでいるのか
山に住むトケビ
海に住むトケビ
共同墓地に住むトケビ火【ブル】
三、トケビの性格と、好む食べ物
トケビは意地悪、あるいはいたずらっ子
トケビはなぜ角力【シルム】を好むのか
トケビは女に戯れる
トケビはそば、酒、肉が好き
四、トケビ信仰の類型
豊漁神としてのトケビ
病をうつすトケビ
済州道の令監【ヨンガム】ノリ
火災神としてのトケビ
五、トケビ話
トケビの砧【きぬた】
瘤取り爺との比較
トケビを使って金持ちになる
その他のトケビ話
六、トケビの探険を終えるにあたって
参考文献
訳者あとがき