人魚 (ものと人間の文化史 143)
人魚について、古今東西の情報を集めた本です。
人魚について知りたいなら、一読して、損はないでしょう。
ただし、あまり体系だった書き方がされていません。そのために、必要な情報がどこにあるのか、わかりにくいです。同じ情報が、重複して出てくることもあります。
また、一部の情報については、正確性に疑問があります。ギリシア神話の、有名な登場人物の名前が、誤っていたりしますから(^^;
特に、ヨーロッパ系の情報については、他の資料も当たってみたほうがいいです。
それでも、人魚について、これだけまとまって読める資料は、少ないですね。
これをまとめた労力には、敬意を表します。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
プロローグ――人魚の世界
人魚の誕生
男の人魚・女の人魚
河川・池沼湖に棲む人魚
第一部 ヒトと人魚――文学・歴史・民俗
第一章 人魚の生いたち――東西人魚誌
最古の半人半魚像
中国の人魚誌
日本の人魚誌――人魚以前のこと
神話の中の人魚たち
ギリシア神話の「サイレン」/ギリシア神話と人魚たち
第二章 古文献の中の人魚たち
中国の古文献の中の人魚――人魚の出土資料
日本の古文献の中の人魚
西洋の古文献の中の人魚
第三章 文芸作品の中の人魚たち
江戸文学の中の人魚たち
大正ロマン以降の人魚たち
宮武外骨【みやたけ がいこつ】の『スコブル』/
水島爾保布【みずしま におう】と『人魚の嘆き』/竹久夢二の「人魚の歌」/
など
第四章 人魚伝説の諸相
八百比丘尼と人魚伝説
主な八百比丘尼等の人魚の伝承地一覧
別系統の各地の人魚伝説
伊勢の浦の人魚伝説(三重)/人魚の森(宮城)/
磐城【いわき】の人魚(福島)/アワイ浦の人魚(伊豆新島)/
浜松の漁師と人魚(静岡)/
など
第五章 人魚塚と人魚伝説
新潟県上越市雁子浜【がんごはま】の人魚伝説と「人魚塚」
滋賀県日野町小野【この】の「人魚塚」論争
博多・龍宮寺の人魚塚
第六章 世界に伝わる人魚話
北欧の人魚話
スコットランドの人魚話
ミクロネシアの人魚話
ペルーの人魚話
第二部 モノと人魚――美術・工芸・文化
第七章 装飾・デザインと人魚
宝飾品の中の人魚
貨幣の中の人魚
郵便切手の中の人魚
人魚の看板(サインボード)
人魚の船首像(フィギュア・ヘッド)
第八章 芸術・文化の中の人魚
芸術作品の中の人魚たち
工芸作品の中の人魚たち
陶磁器・ガラス製品/七宝焼【しっぽうやき】・籐【とう】工芸/
海泡石の装飾とパイプ
日本の伝統工芸と人魚
人魚の根付/根付のコレクション/人魚の目貫【めぬき】
第九章 美術館の中の人魚
ルーブル美術館(フランス)
エルミタージュ美術館(ロシア)
メトロポリタン美術館(アメリカ)
マルク・シャガール美術館(フランス・ニース)
東京国立博物館・東洋館(東京・上野)
彫刻の森美術館(神奈川・箱根)
第十章 街角を飾る人魚
人魚と噴水
ロシア・海神ネプチューンの噴水(ピョートル宮殿)/ロンドンの噴水と人魚/
ローマ・ナボーナ広場の人魚/パリ・コンコルド広場の人魚たち/
など
第十一章 現存する人魚
わが国における人魚の見世物
ヨーロッパ・アメリカの人魚の見世物
人魚のミイラ
滋賀県蒲生町・願成寺のミイラ
新潟県鯨波【くじらなみ】のミイラ
和歌山県学文路【かむろ】・苅萱堂【かるかやどう】(仁徳寺)のミイラ
など
第三部 人魚百話
瓦版紙上の人魚
風刺画と人魚
人魚の持ち物
八百比丘尼の入定堂
子育てをする人魚
人魚とヒトとの交接
人魚を祀る神社
妙薬としての人魚と真珠
人魚出版物の受難
人魚を愛したシェークスピア
人魚を唄う歌
人魚映画・紙上鑑賞――銀幕を飾った人魚たち
キリスト教会と人魚――二股の人魚
ヘミングウェイ・ホームの人魚
海底地名になった人魚――「人魚のハエ」
人魚出現の年代記
人魚出現年表――記録にみえる人魚
エピローグ――蘇る人魚たち
人魚の光と影
人魚のコレクション
人魚と書物(参考文献・引用文献)
あとがき