錬金術 (アルケミスト双書)
題名どおり、錬金術の本です。
ここで言う錬金術とは、ものの譬えではなく、文字どおりの意味の錬金術です。卑金属(鉛【なまり】などの、宝石にならない金属)を、貴金属(金など、宝石扱いされる金属)に変える術のことです。
現代の科学では、「錬金術は実在しない」ことが、わかっています。
本書に載っている実験を行なっても、「実際に金が得られる」ことは、あり得ません。
にもかかかわらず、錬金術は、現代科学の発展に、重大な寄与をしました。
錬金術がなければ、私たちは、今のように、高度な科学の恩恵を受けることができなかったでしょう。
現代の私たちが、中世ヨーロッパの錬金術を学んで、得るものがあるとすれば、それは、金銀財宝といった、物理的な冨ではありません。
現代科学を生むに至った、「原初の科学の精神」について、知ることになります。
本書は、薄い本です。そのうえ、図版が多いです。一見、初心者向けに見えます。
けれども、決して初心者向けではありません。文章が難解で、意味が取りにくいからです。錬金術や、オカルトの初心者は、別の本をお選び下さい。
錬金術やオカルトについて、基本的な知識を持つ人が読めば、興味深い本です(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
秘術
「エッケ・ホモ」、この人を見よ
火と金属
自然に帰れ
硫黄と水銀
化学の結婚
ヘルメス・トリスメギストス
霊薬の作成者たち
創造
元素
天空の金属
鉱物と顔料
天かくありて
スパジリア
アンジェリカ水(天使の水)
水のアルカエウス
プリマム・エンズ(第一存在)
サーキュラタム・マイナス
マイナーからメジャーに
オプス・マグナム(大いなる作業)
ラピス・フィロソフォラム
金を求めて
付録
基本的な冶金学【やきんがく】
錬金術の化学
バスマス
発酵
植物と惑星の一致
占星術の時間
錬金術のシンボル