ドゥームズデイ・ブック〈上〉
時間旅行を取り上げたSF小説です。
といっても、タイム・パラドックスがどうとか、小難しい理論を読まされることはありません。
理系の知識よりも、むしろ、歴史に興味がある方にとって、面白い作品だと思います。特に、中世ヨーロッパに関心があるなら、断然、お勧めです(^^)
時は、二十一世紀半ばの英国。この時代には、時間旅行が実用化されています。
このため、歴史学を学ぶ人は、実際に過去へ行って、そこの社会を調べることが可能です。
本書の主人公キヴリン・エングルは、英国で中世ヨーロッパについて学んでいる学生です。彼女は、タイムマシンで十四世紀へと旅立ち、見事に、そこに到着しました。
もちろん、過去の人々に疑われないように、現地の人に仮装しています。古英語も学びましたし、過去の習慣についても学びました。
ところが、十四世紀の英国で、キヴリンは重病に倒れてしまいます。
いっぽう、二十一世紀の英国でも、大変な騒ぎが起こりました。悪性のインフルエンザが流行したのです。キヴリンを十四世紀に送り込んだタイムマシンの技師も、インフルエンザで倒れてしまいます。
そのうえ、タイムマシンのある大学自体が、インフルエンザのために隔離される事態になりました。
こんな状態で、キヴリンはどうなるのでしょうか? 無事に、二十一世紀へと、帰ってこられるのでしょうか?
というところまでが、上巻です。続きは、下巻のお楽しみです(^^)
本作は、単純なストーリーよりも、細部を楽しむ作品です。文字どおり、まるで見てきたかのように、中世の英国社会が描かれます。その部分を楽しめるかどうかで、本作の評価は分かれるでしょう。
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