蜂は職人・デザイナー
簡単に言えば、「ハチの巣」の本です。
「ハチの巣」と言われたら、普通の人は、「六角形の小さな穴が集まったもの」を思い浮かべるのではないでしょうか?
けれども、すべてのハチが、あのような巣を作るわけではありません。
普通に思い浮かべられる「ハチの巣」は、たいてい、ミツバチの巣のイメージです。
ハチの仲間は、ミツバチだけではありません。コバチ、ヒメバチ、ベッコウバチ、ジガバチ、ドロバチ、スズメバチ、アシナガバチなど、多様な種がいます。
これらの中には、そもそも、巣を作らない種も、多いです。
巣を作るハチの場合、巣の材料も、形も、変異に富んでいます。
土に穴を掘るもの、葉を切って使うもの、泥をこねて作るもの、竹筒を利用するもの、植物の繊維【せんい】を使うもの、蜂蝋【はちろう】で作るもの、などです。どの巣も、たいへん機能的にできています。
この本には、これらの多様なハチの巣が、たくさん紹介されています。
ハチの巣の写真を見るだけでも、楽しいです。装丁も凝っていて、良いですね。
昆虫に興味がある方はもちろん、建築や、デザイン工学に興味がある方にも、お勧めです。
実際に、人間の建築やデザインでも、ハチの巣を参考にしているものがあります。それほど、ハチの巣は、優れていて、かつ、美しい構造物です。
以下に、この本の目次を書いておきますね。
奥本大三郎 巣づくり名人のプログラミング
図版構成
蜂は職人・デザイナー
竹筒の家
泥の家
単独バチの巣づくり
高層集合住宅
スズメバチが作る高層マンション
外壁模様
パルプの家
和紙の家
アシナガバチの巣づくり
アシナガバチの設計コンペ
デザイン工学最強の六角形
ミツバチのフニクラ建築
ミツバチの巣づくり
自在に膨らむドームの家
開放型空中建築
耐震・耐久構造
防水・排水
空調システム
防衛対策
増築・引っ越し・地上げ
蜂ろうプロダクツ
杉山恵一 孤高の職人たち
松浦 誠 狩りバチたちの集合住宅
吉田忠晴 六角形をつくるミツバチの建築技術
渡辺 孝 畏敬された隣人 東西の神秘的ミツバチ観
杉浦明平 気弱なミツバチ・頑固なミツバチ オオスズメバチとの死闘
宮崎興二 ハチの巣の住み心地
執筆者紹介