源氏物語「若菜下巻」を読む

 お昼にゆっくりしてもなお、朝の努力によって報われた。ありがとう、朝の私。さて今回は「若菜下巻」である。少し引用が長くなるが紹介したい。



よろづのこと、道々につけて習ひまねばば、才といふもの、いづれも際なくおぼえつつ、わが心地に飽くべき限りなく習ひとらんことはいと難けれど、何かは、そのたどり深き人の、今の世にをさをさなければ、片はしをなだらかにまねび得たらむ人、さる片かどに心をやりてもありぬべきを、琴なむなほわづらはしく、手触れにくきものはありける。この琴は、まことに跡のままに尋ねとりたる昔の人は、天地をなびかし、鬼神の心をやはらげ、よろづの物の音のうちに従ひて、悲しび深き者も、よろこびに変り、賤しく貧しき者も、高き世にあらたまり、宝にあづかり、世にゆるさるるたぐひ多かりけり。



 大変長い引用になってしまったが、「琴」についての面白い記述である。琴の音色によって、悲しみの深い者も喜びに変わり、卑しく貧しい者も高貴の身になったという例があったそうである。しかし、このような霊力をもっている楽器であったからこそ、なかなか習得することも難しかったらしい。この時代であっても、なかなか習い伝える人がいなくなっていたということも興味深い。私の抱いていたイメージとは異なるものであった。



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 今週は祝日が多いせいか、曜日感覚がすでに狂ってしまっている。

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