強化合宿in和歌山(DAY4・旅は出会いの繰り返し)
こんにちは。或るサー夫婦の「ツマ」です。
2022年10月22日(土)に開催されたトレラン大会「ジャングルぐるぐるMAX」の40kmの部への出場に向けて、「ツマ」が行った和歌山での強化合宿の様子を投稿しています。
第1回は紀泉トレニック完走後から観光&移動日(DAY1&2)
第2回は熊野古道・大雲取越編(DAY3)
第3回は熊野古道・小雲取越編(DAY4)◀イマココ
それではどうぞ!
強化合宿in和歌山(DAY3 後編・前進あるのみ)の続きです。
I. 小雲取越に挑む
6:00 起床。
6:30
百福の御主人が部屋の外から「朝食ができたよ~」と声をかけてくれたので、玄関口にあるテーブルに向かいます。
そこにはもう一人の宿泊者で昨日、私と同じく那智大社から大雲取越を越えてきた女性ハイカーさんが既に席に着いていました。
朝食は焼き魚(鮭だったと思う)定食。
その隣には昼食用のお弁当が用意されています。
女性ハイカーさんとともに「いただきます。」をし、雑談を交わしながら朝食をいただきます。
20分ほど経った頃でしょうか。
朝食を食べ終わった女性ハイカーさんはすぐに部屋に戻りました。
なるべく早く出発をしたいのだと思います。
私はもう一杯温かいお茶を頂いてから自室に戻りました。
7:00
女性ハイカーさんが百福のご主人と言葉を交わし、出発するようすが聞こえてきました。
7:30
私も荷物をまとめ終わり、宿の玄関へ。
右足小指の爪が割れていたので、補強しようと思い、ご主人から絆創膏をもらって貼り付けました。
さあ、いよいよ出発です!
小口自然の家近くの自動販売機で水、お茶、スポーツドリンクを調達し、小雲取越の入口に向けて歩き出します。
7:45
赤木川を跨ぐ「小和瀬橋」を渡ります。
赤木川の水が澄んでいてとてもきれい。
しかし空は曇っています。雨が心配です・・・。
8:45
山に入って1時間ほど歩くと、下の方がガスってきました。
小口あたりは雨が降っているかもしれません。
あのガスがここまで上ってきてくれるなよ、と祈りながら歩を進めます。するとしばらくもしないうちに日が照ってきました。ホッと一安心です。
9:00
小雲取越で最も標高が高い桜峠に到着。標高466m。
9:45
賽の河原地蔵着。
お地蔵さんの周りに石が積み上げられています。
これは”賽の河原”の言い伝えにちなんでいると言われています。
賽の河原の言い伝えとは、三途の川の手前にある賽の河原で親よりも早く亡くなった子どもが親を苦しめた罪を償うために石を積むというもの。
親がその子の死を悲しみ苦しんでいる間は、せっかく積んだ石も鬼に蹴飛ばされて壊され続けます。
しかしあるとき、そんな子どもの前に地蔵が現れ「私を冥途での親だと思いなさい」と言って抱きしめてくれます。
すると子どもたちは無事に成仏することができるのです。
このことから地蔵は安産や子供の病気の守り神とされ、関西を中心にいまでも「地蔵盆」が行われています。
私も石を積み、石山を回り込んでお地蔵様の近くにお賽銭を置いて、旅の安全を祈願しました。
10:00
百間ぐら着。
少しガスがかかっていますが、遠くの山まで見渡せて良い眺めです。
ここで本日、初めてのハイカーさんに出会います。
60代くらいでしょうか。
その男性は、本日熊野本宮大社から小口に向かい、明日大雲取越に挑戦するのだそうです。
「向こうに見える赤い橋の辺りが熊野本宮大社だよ。」
と男性が言います。
ゴールが見えると俄然力が湧いてきました。
「にしても人っ子一人いないし不安になるよね。」
「自分の足音にもビクッとしちゃう。」と彼。
・・・その気持ち、よく分かります!!
お互い挨拶を交わして、逆方向に向かって再び歩を進めました。
11:00
快調に進んでいると、突然足元に大きなカエルが・・・
「ギャアアアアアア!!!!!」
と叫んで、思わず後ろにジャンプしました。
完全に地面の石と同化しており、全く気がつきませんでした。
踏みつぶさなかった私を誰か褒めてほしい・・・(泣)
そして、自分よりもうんとデカい私の大絶叫にも怯まず身動き一つしないカエル先輩の肝っ玉の大きさに感服です・・・
11:30
あっという間に、小雲取越出口の請川着。
バス停まで歩くと、昨夜同じ宿だった女性ハイカーさんに再会しました。
女性は熊野本宮大社近くの湯の蜂温泉郷に一泊するそうで、バスを途中下車しました。
最後バスの窓越しに手を振り合い、別れました。
II. 熊野本宮大社~速玉大社
11:45
熊野本宮大社前のバス停に到着。
帰りのバスの時間を確かめると12:15と13:25がありました。
12:15は早すぎるが13:25は時間が余って手持ち無沙汰になりそうだ・・
12:15発のバスで帰ろうと決め、急いで参拝に向かいます。
神門の先は写真撮影禁止。
とても厳かな雰囲気でした。
無事にここまでたどり着けたことに感謝し、お祈りしました。
御朱印をいただき、お土産を買って新宮駅行きのバスに乗り込みます。
バス移動は1時間ほど。
お腹がペコペコだったので、百福で用意してもらった昼食をバスの中で食べようと思っていたのですが、バス内に「食事禁止」と掲げられていたのでグッとこらえました。
移動中、2011年9月に起こった紀伊半島大水害時の最高水位を示す塔の横を通過しました。当時の熊野川の水位は8.27mだそうです。
2011年は東日本大震災もあったので、日本が大災害に見舞われた大変な年だったのだな、と改めて思いました。
バスで新宮駅から自宅までの電車を調べると、なんと17:30発。
この時まだ13:00だったので時間がまだまだあります。
ということで、熊野三山の最後の1社・熊野速玉大社に立ち寄ることに。
13:15
熊野速玉大社前で途中下車。
境内は熊野本宮大社と異なり、朱色基調で華やかです。
熊野御幸の回数を見ると驚き。
後白河上皇は33度、後白河上皇は29度とあります。
12度御幸を行った白河上皇のあたりから熊野信仰がブームになったのだそうです。
ちなみに「御幸」とは、上皇・法皇・女院の外出を指します。
天皇の外出は「行幸」です。
熊野御幸は、私が今回旅した「本宮大社」「速玉大社」「那智大社」の三山を巡ること。御幸をしていた当時は1カ月かかっていたのだそうです。
当然、上皇は自分で歩くことはないでしょうから、険しい熊野古道を通って上皇を連れていく多くの人手とそれにかける大金が必要です。
そのため、「行幸」つまり天皇が熊野三山を回ることは一度もなく、権力と富と自由を手に入れた上皇のみが御幸を行えたのだそうです。
さて、この速玉大社にはさざれ石が奉納されています。
これは令和2年2月2日の早朝に突如として新宮市王子ケ浜海岸に打ち上げられていたのを発見されたものだとか。
さざれ石と言えば「君が代」の歌詞を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「君が代」には、実は2番、3番があるのですが、王子ケ浜海岸に打ち上げられたこのさざれ石が2番の歌詞のようだと言われています。
君が代2番の歌詞はこうです。
発見されたこのさざれ石の大きさになるには数千万年に及ぶそうです。
確かに2番の歌詞の通りですが、であれば「さざれ石が現れるまで君が代が続きますように」とあるのに対して、立派なさざれ石が現れてしまったこの世はどうなるのか・・・と一抹の不安を感じるのは私だけでしょうか。
III. スーパーおじいさんとの運命的な出会い
13:45
まだまだ時間はありますし、お腹も減っているのでひとまず昼食のお弁当が食べられそうなベンチを探します。
しかしなかなか見つからないので、さすがに駅にはあるだろうと見込んで新宮駅に向かいました。
駅のロータリーにあるベンチに腰掛け、百福でいただいた弁当を広げて食べていると、おじいさんに話しかけられます。
「トレランやっている方?」
こんなド素人ランナーですがこなれ感が出ているのだろうかと内心喜びつつ、たぶん先日の紀泉トレニックの参加賞のTシャツを着ていたからだろうと思い直し、「はい、やっています。」と話すと、パッとおじいさんの表情が明るくなり、
「私もなんですよ。マラソンやる人にはつい話しかけたくなっちゃって。」
驚べきことにこのおじいさん。
超スーパー市民ランナーでした・・・
なんとウルトラマラソン界ではメジャーかつ気温が上がると日影がなくて超ハードで有名なサロマ湖ウルトラマラソンのサロマンブルー(10回以上完走している証)の称号を持っているとのこと。
100kmを10時間切りしたこともあるそうです(すごい)
その他にもやまぐち萩往還マラニック(14市町村250km)、さくら道国際ネイチャーラン(名古屋ー金沢間265km)など多数の大会で完走の経験あり。
海外のウルトラマラソンにも何度かチャレンジしたことがあるそうです。
そんなおじいさんはなんと御年82歳。
いまはフルマラソンが限度と仰っていましたがそれでも十分すごい・・・
来年の出場予定の大会を教えてもらい、アドレスや住所を交換して再会を誓いました。
帰宅してからおじいさんを検索したら2000年に地元のネットニュースで記事になっていました!
ちなみに今回、どうして新宮市に来ているのかというと、日本一走行距離が長い”路線バス”・「八木新宮特急バス」に乗車するのだとか。
このバス、全長169.8㎞、停留所の数は168あるそうです。
かなりのハード旅になりそうだが、これに挑戦するとはお元気だ・・・
自分もこんな風になりたいと、憧れました。
★日本一長い路線バス「八新宮特急バス」について↓
IV. まさかの出会いその2
15:15
おじいさんと別れて、新宮駅前にある観光案内所に行きます。
電車に乗る前に風呂に入りたいと思い、地元の銭湯について聞きたいと思ったからです。
すると歩いて10分ほどのところに「なぎの湯」があると教えてもらいました。
なぎの湯の開店が16:00だったので、観光案内所で絵葉書を購入し、百福の御主人と先ほどのおじいさんにハガキを書いて時間を過ごすごとにしました。
ちょうどハガキ書いている頃、観光案内所に若い男性職員がどこかから帰ってきたようでした。
所内にいた女性職員が男性職員に話しているのが聞こえてきます。
「上まで行ってたんでしょ?」
「あんなところに自転車の団体が行けるのかねえ。」
・・・ん?
上って熊野古道のことか?
自転車の団体に覚えがあるぞ・・・?
私は、荷物をまとめて観光案内所を出る際、どうしても先ほどの会話が気になったので職員に声をかけてみました。
「あのー・・・。もしかして昨日、小口に行かれていましたか・・?」
すると、男性職員もやっぱり!というリアクションで、
「上でお会いした方ですよね!恰好が似ているなあと思っていました!」
まさかの再会でビックリ。
昨日円座石で解説してくれた、男性自転車グループの一人でした。
男性は新宮市の職員で、旅行会社の方に地元を案内していたのだそうです。
円座石で別れた後に小口ですれ違った際、新宮市と書かれた車があったのが不思議に感じていたのですが、そういうことだったのかと納得。
さきほどのおじいさんとの出会いもそうですが、こういう思いがけない人との巡り合わせがあるから旅は楽しいなあと思います。
V. 長い帰路
16:00
新宮郵便局で切符を買い、ハガキを出した後に「なぎの湯」へ。
大好きなサウナで疲れた身体を癒したかったのですがあいにくサウナがなかったので、暑い風呂と水風呂を交互に入る温冷入浴をしました。
最高に気持ちが良く、汗も流されてサッパリしました。
17:00
そうこうしているうちに電車の時間が迫ります。
新宮駅で特急券を購入して17:15発の紀勢本線特急・南紀8号で名古屋へ。
その後新幹線で品川に行き帰路につきます。
23:30
自宅着。
なんと電車で6時間以上の旅路でした。
都心に帰るには、大阪や京都に行くよりずっと時間がかかるんだと初めて知りましたとさ。
本日の歩行距離13km(小口~請川)
これにて強化合宿 和歌山編<完>です。
***
★「ジャングルぐるぐるMAX」大会の様子はこちら
★和歌山強化合宿DAY1から読んで下さる方はこちらから