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なんだかんだ平気なつもりで、今年の冬もしっかり鬱に絡め取られている
昔ならジタバタして泣いていたような夜も、最近は眠剤でぱったり眠っちまうから、体感的には軽症な気がしてた
ふと蓋を開けてみたら、重い鬱がかたまりきって動くのをやめてるだけだった
生まれた日にはもう、そんなこと言って泣いてた。
見えない壁に囲まれて
自分の言葉を掴みたくて泣いてた
赤く灼け濡れた肌で
おとなに眩しい光を放ってた
私の命は高い
この世界よりもずっと高い
果たしてこの世界に
私が生きてやるだけの価値はあるかな
顔を隠してばっかりで
確かめさせもしない臆病者のあつまり
もしほんとうにくだらない世界なら
こっちから願い下げ
でもいい世界なら
生きてあげなくもない
命 もらってよかったって
心から思え
夕暮れが不安でなくなる方法を紹介しないで。
僕がもし
「夕暮れが不安だ」って言っても
夕暮れが不安でなくなる方法を紹介しないで
「大丈夫」も言わないで
不安をなくそうとしないで
夕暮れがどれほど美しいかも言わないで
僕は夕暮れの何が不安なのか
説明できない
「説明できないことは不安に思わなくていいんだよ」とか
「不安と戦ってるあなたは頑張っているね」とか
そんな正しいこと言わないで
僕は間違っているし
僕は自分が間違っていることに
エメラルドグリーンの手帳が出てきてしまった。
2023.03.25
エメラルドグリーンの手帳が
出てきてしまった
カバーに封じ込められた羽虫の死骸
2012年のこよみ
守れなかった予定に
連絡先
重たい労働で軋んだ指で
青いボールペンを持つと
羽みたいに軽くて
心地よかったのを覚えてる
勢いがついて
弾むように文字が出た
ありもしない夜空の話とか
切ない学校の頃の話とか
思いつくまま
自分の言葉が
好きだった
あの頃の感情とい
冬の夜はいつもココアに懺悔してる。
眠る気の失せる冬の夜
明日なんてなくて
損なわれてゆく自分への興味も薄れてる
ただ覚えてるだけの力で
テーブルの物と言葉をどけて
ココア
ひとつの夜を生きる栄養
冬
深い霧が出だした
迷う人たちは言葉に使役されていた
言葉は
なんでもわかっているお父さんみたいに
立ち並んで
迷う人たちを粉雪みたく
かるがると隅へまとめる
秋には体面を作れていた日記書きたちも
自問自答を隠せなくなって
過去の
傷付いている者同士だと
「私は傷付いていませんから気にしないでくださいね」の言い合いになってしまう
自己を見つめ過ぎです。
「自己を見つめ過ぎです」
……はあ
「見つめ過ぎて、ストーカーです」
……そんなに見てます?
「自分の脳内を常に常に盗聴して、自分の客体を常に常に盗撮して」
……言い方が悪いな、自分自身なんだから見るし聞くでしょう?
「あなたの場合、関心が行き過ぎて執着の域に達して、殺したいほどの嫌悪にまでこじれているのですから、それはストーカーと一緒です」
……あー、まあ正常ではないことはわかって