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●散文、雑記、詩っぽいの。

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ギンフルマの青いやつの延長とか
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なんだかんだ平気なつもりで、今年の冬もしっかり鬱に絡め取られている

昔ならジタバタして泣いていたような夜も、最近は眠剤でぱったり眠っちまうから、体感的には軽症な気がしてた

ふと蓋を開けてみたら、重い鬱がかたまりきって動くのをやめてるだけだった

気休めを言うよ。

気休めを言うよ

人は
自信の全部を失くした時
見通しが何も立たなくなった時
本当にどうしようもないくらい
根拠も説得力もない
気休めを笑って言うよ

人は良くなっていく って

実際
世界はばかみたいに無限なんだ

僕らが、じゃなくてね

世界は無限で
良くなる余地もありあまってる
良くなっていくよ

でも人は小さすぎて
塵ひとつ乗り越えられないし
失くしてしまうんだよ

それで気休めを言うよ

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「いま持ってるものをなくさない」
それだけのことが
大人になると難しくなる

2025.1

2025.1

道の存在なんか
もうずいぶん前に
信じられなくなっててさ

  見なくてもわかる
  この道は道じゃない

ただ単に 自分が
何も見えなくなってただけかもしれないのに

きみに
「どこへ行くの」ってきかれたときには
もう
その質問の意味もわからなくなってたよ

「どこへ行く」とは?
って

このあたりは本当に
新しいものができないんだ
気付けば廃墟ばかりまわってる

火起こしとか 寝床作りとか

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最近ネットで「アイデンティティ」という言葉を調べたら
「自分が自分だと思う感覚のこと」という説明があった

流行歌みたいな1文だと思った

誰もが意味はわかると思うけど
どうとでも深く読み取れるし
刺さる人には刺さる

何気なく口ずさんで
何年か経ってから意味を再発見する

生まれた日にはもう、そんなこと言って泣いてた。

生まれた日にはもう、そんなこと言って泣いてた。

見えない壁に囲まれて
自分の言葉を掴みたくて泣いてた

赤く灼け濡れた肌で
おとなに眩しい光を放ってた

私の命は高い
この世界よりもずっと高い

果たしてこの世界に
私が生きてやるだけの価値はあるかな

顔を隠してばっかりで
確かめさせもしない臆病者のあつまり

もしほんとうにくだらない世界なら
こっちから願い下げ

でもいい世界なら
生きてあげなくもない

命 もらってよかったって
心から思え

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夕暮れが不安でなくなる方法を紹介しないで。

夕暮れが不安でなくなる方法を紹介しないで。

僕がもし
「夕暮れが不安だ」って言っても
夕暮れが不安でなくなる方法を紹介しないで

「大丈夫」も言わないで

不安をなくそうとしないで
夕暮れがどれほど美しいかも言わないで

僕は夕暮れの何が不安なのか
説明できない

「説明できないことは不安に思わなくていいんだよ」とか
「不安と戦ってるあなたは頑張っているね」とか
そんな正しいこと言わないで

僕は間違っているし
僕は自分が間違っていることに

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エメラルドグリーンの手帳が出てきてしまった。

2023.03.25

エメラルドグリーンの手帳が
出てきてしまった

カバーに封じ込められた羽虫の死骸
2012年のこよみ

守れなかった予定に
連絡先

重たい労働で軋んだ指で
青いボールペンを持つと
羽みたいに軽くて
心地よかったのを覚えてる

勢いがついて
弾むように文字が出た

ありもしない夜空の話とか
切ない学校の頃の話とか
思いつくまま

自分の言葉が
好きだった

あの頃の感情とい

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冬の夜はいつもココアに懺悔してる。

眠る気の失せる冬の夜
明日なんてなくて
損なわれてゆく自分への興味も薄れてる

ただ覚えてるだけの力で
テーブルの物と言葉をどけて
ココア
ひとつの夜を生きる栄養


深い霧が出だした
迷う人たちは言葉に使役されていた
言葉は
なんでもわかっているお父さんみたいに
立ち並んで
迷う人たちを粉雪みたく
かるがると隅へまとめる

秋には体面を作れていた日記書きたちも
自問自答を隠せなくなって
過去の

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傷付いている者同士だと
「私は傷付いていませんから気にしないでくださいね」の言い合いになってしまう

冬が来るの
もう少し待ってくれませんか
友達が病気なんです

自己を見つめ過ぎです。

「自己を見つめ過ぎです」

……はあ

「見つめ過ぎて、ストーカーです」

……そんなに見てます?

「自分の脳内を常に常に盗聴して、自分の客体を常に常に盗撮して」

……言い方が悪いな、自分自身なんだから見るし聞くでしょう?

「あなたの場合、関心が行き過ぎて執着の域に達して、殺したいほどの嫌悪にまでこじれているのですから、それはストーカーと一緒です」

……あー、まあ正常ではないことはわかって

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つつぬけの周波数
引っ込めた言葉の数々

ほんとうに
もうじき寒くなるねって

はぐらかして

どっちが正義だったんだろう
どっちが正解だったんだろう

#詩 #のようなもの

語彙力の足りない。

語彙力の足りない。

まるでセミも言葉をなくして
あれは未来を知っていたのか
どうしようもない猛暑

踏み出す語彙よりも
先走る感情に
心ぎゅっとつかまれる瞬間の
生々しい手ごたえ

駅で見かけた
まだ中学生くらいの男の子たちのこと
1人が誰かの悪口を話していた
興奮して
次第に言葉がまとまらなくなって
しめくくり 喉に力込めて
「もう、マっっジで……」って
その先の言葉が続かなかった

1、2秒の空白を
セミが埋めて

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