ありがとう【ショートショート】
ありがとうって言ったら
なんか消えてしまいそうで、
腕に、かき抱くだけしかできなかった
「仕事で忙しいんでしょ?」
と
言いながら、
大量の食材を持って家の前に立っていたのは、昨日の夜。
泣きそうになりながら出迎えた。
「今日会う約束したっけ?」
「いいや」
「いなかったらどうするつもりだったの?」
「んー?帰ってご飯にするつもりー」
片道1時間かかるくせに。
何気ないことのように言うもんだから、笑ってしまった。
「なに作るの?」
「ひみつ。仕事終わらせてきて」
「わかった」
あぁ、いい匂いがする。
唐揚げかな?
食べたいって言ったのは、1ヶ月も前なんだけど、
覚えてたんだなぁ。
「ありがとう」
「ん? なんか言った?」
「晩御飯、唐揚げかな?ってきいたー!」
「おっ!すごい!あたり!!」
そう誤魔化してしまうけど。
いつも多分思ってる。
多分?
いや、ここくらい本音でいこう
ありがとう、アイシテル
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