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しあわせのものさし
はて、どちらにしよう。
夫のいない週末。たまにはお肌のケアでもしようとドラッグストアへ向かったわたしは、両手に700円のシートマスクと2,500円の保湿クリームを持ったまま、考えていました。
シートマスクは7枚入り。たぷんたぷんの重みのある袋からは圧倒的なゴージャス感が漂います。ひたひたのシートマスクをつけてソファーでくつろぐ。きっと贅沢な気分を味わえるだろうなと妄想が膨らみます。
一方の保湿クリームは、無香料、無着色、低刺激、低アレルゲン。テスターを試してみると、ワセリンをやわらかくしたような質感で、よく伸び、肌になじみます。敏感肌のわたしでも重宝しそう。
今、私が重視したいことってなんだろう。
値段? お肌への効果? それとも癒しの時間?
こういってはなんですが、シートマスクを使い切ったことが一度もありません。いざ使ってみると肌に合わないとか、またあとでと使わずじまいで、洗面所の隅に置いたままだったり(すみません)。それに保湿クリームは、シートマスクに比べると値段が高いのが気になります。
数分悩んだすえ、使いやすさを優先して保湿クリームを選びました。
すると会計時に店員さんが「こちらの同じ成分を使っているわが社の製品があるので、いかがですか。」と、にこやかにプライベートブランド商品を勧めてきます。
ふうん。みれば成分も容量も同じで、製造元は国内大手化粧品会社。しかも2,200円。「じゃあ、こちらにします。」と、おすすめされた保湿クリームを買うことにしました。
その夜のこと。お風呂上がりにいつもより入念に化粧水と乳液で肌をととのえ、いよいよ保湿クリームの出番がやってきました。
チューブには1回の使用量が親切に書かれています。にゅるるっと指先にクリームを出し、やさしく顔をなでると、ほてった肌にほんのり冷たくて気持ちいい。指のお腹でゆっくりなじませて、なじませて...するとまあ、指がほっぺたに吸いつくほどもちもちに。
いつもより時間をかけてお手入れをしたことで、お肌はぷにぷに、もっちもち。おまけに鏡に映る自分をいたわることでリラックス効果もあるみたい。お肌もこころも満たされて、しあわせ気分。
そしてこれまでの「化粧水と乳液をピシャッと顔に付けるだけの大雑把スキンケア」は、ケアでもなんでもなかったんだなとちょっと反省しました。
「時は金なり」という言葉があるけれど、うれしいとか楽しいといったしあわせの物差しは、時間でもお金でもないと思います。
お金をかけなくてもじゅうぶん満たされるし、逆にどんなにお金をかけても、満たされないものだってあります。
時間もそう。今は何かとタイムパフォーマンスが重視されがちですが、時間をかけたからこそ、満たされるものもあるし。
高価でもそうでなくても、短時間でも長時間でも、自分のためになると思えるものに取り組む。つまり、大切なのは時間もお金も「どう使うか」なんじゃないのかな。
もしかするとスキンケアだけでなく、日々の行動ひとつひとつにも意味や価値があるのかもしれない。
仕事でタクシーを使うのは、お金で時間を買っているのとおなじ。
それに買い物もお掃除もお料理も、お金や時間をかけて、何かしらの効果や価値を生んでいるということ。
お金や時間を使うことは、自分にとって大切なものを探すことなのかもしれません。それなら仕事も日常生活も、すべては自分にかえってくるものだと思って大事に過ごしてゆきたいな。
ぼんやりスマホを眺めていた数分がスキンケア時間に変わって、一週間が経ちます。保湿クリームのおかげで、今のところお肌は乾燥知らず。おまけに私にささやかな変化と気づきをくれました。
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