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カスタマーサポート2024年トレンド潮流まとめ by openpage

openpage代表取締役の藤島です。前回はITmedia「新時代のセールスの教科書」で出し忘れていた原稿の話をしましたが、雑誌コールセンタージャパン「CSMEDIA」コーナーで連載記事で出すつもりが、出し忘れていたものがありました。カスタマーサポートの最新のトレンドを解説するもので、こちらの記事も無料公開します。

■セルフサービストレンドに応えるサイトやガイドのデジタル投資

世界的にカスタマーサポートは「セルフサービス」のトレンドがあります。
顧客の70%近くは、人の手を借りず自分で問題解決がしたいという統計データが出ていることは有名な話です。特にミレニアル世代やZ世代ほどこの傾向が強く、自社顧客の平均年齢を分析しながら、セルフサービスへの投資もバランスよく行わなければなりません。

この顧客のセルフサービスニーズに応えるため、FAQ・ヘルプサイト・ナレッジベースの重要性が増しています。
ヘルプサイトベンダーは、検索クエリや検索結果のAIチューニングに投資をしています。顧客がトラブルシューティングのためサイトを訪れた際に、できる限り早く問題解決を促すためです。

またヘルプサイトとは別に、そもそもの画面内におけるサポートとして、ウォークスルー、チュートリアル、ツールチップなどのガイドも世界的に流行を見せています。
国内だとテックタッチ株式会社の製品が近いでしょう。

zendeskもデジタル投資の加速に関するレポートをよく出しており、サポートのためのサイトやガイドの投資は一層加速すると思われます。

■ITで問題解決できる社会にこそ、ヒューマンファーストな対応がオペレーターに求められる

とはいえ、人のサポートニーズがなくなっているわけではありません。カスタマーサクセスベンダー米国大手のGainsightは、「ヒューマンファースト」という概念を提唱しています。
顧客はより人間らしい対話を求めているわけです。これはスターバックスのスタッフサービスをイメージするとわかりやすいでしょう。原宿にオープンされた「友達がやってるカフェ」の人気はその証明です。

「友達がやってるカフェ」は店員がまるで友人のように振る舞ってくれるコンセントカフェであり、人間味のある会話が特徴です。
カスタマーサポートにおけるオペレーターがお客様からの質問や相談にお答えすることがシステムの補佐により自動で出来るようになれば、オペレーター個人に求められるスキルはヒューマニズムなものになるのかもしれません。

オプテージ様が提供するカスタマーサポートシステムのEnour(エナー)は、対話内容のテキスト化を行う機能があり、顧客を否定するような要注意表現のチェックが可能です。

単に問題解決をする対応だけでなく、より好ましいサービス体験を作るため、お客様への伝え方や好ましい表現といった、人と人の対応の質を高めることも米国で議論されている方向性です。

■メッセンジャーアプリを活用したカスタマーサポート

また、世界的には各国で代表的なメッセンジャーアプリが存在し、メッセンジャーによるカスタマーサポートがトレンドの一つです。
日本ではLINEがそうで、昨今のLINEは例えば店舗の予約システムを組み込むことができ、問い合わせやキャンセルもLINEのメッセージで完結することが可能です。
メッセンジャーアプリも主にミレニアル世代やZ世代になるほど利用率が高く、若者向けのサービスの問い合わせ対応は電話よりもLINEのほうが良いと答える人は増えていくでしょう。
従来、カスタマーサポートはほぼコールセンター部隊のようなイメージがありましたが、チャット対応スタッフの人員も増えていくと思われます。


またLINEのようなメッセンジャーアプリはボットシステムの組み込みも可能であり、キャンセルや日程変更のような連絡であればボットで自動対応が出来ます。
人で対話しなくても行えるコミュニケーションはボットで行えるようになり、カスタマーサポートの人材難に応えていくでしょう。

■動画は想像以上の情報伝達効果がある

顧客サポートの動画活用が人気になり始めています。ウェビナーやウェブイベントのシステムが伸びています。
動画で伝えられる情報量は思いのほか多く、発話文字数を分析すると、1分300字、60分18,000字の情報となります。

18,000字はマニュアル50ページ相当のテキスト量に値します。
カスタマーサポートの問い合わせ量は、多くてもFAQ3ページ分、2,000字ほどであると思われます。とすると、5分くらいの動画を見せるだけでも相当の情報量を伝えられるので、動画を視聴頂くほど問い合わせを減らすことが出来るわけです。
私も学生時代にマクドナルドのアルバイトをしたときは、バイトスタッフに対して数分の動画視聴が必須でありました。数分でも濃いガイドは可能です。そのため、ユーザーの顧客体験としていかに動画を見せるのかが重要です。先ほどのFAQやウォークスルーガイドとも組み合わせながらデジタル体験設計を工夫すると良いでしょう。

■iPaaSでリッチな顧客データを蓄積

サイト、ガイド、動画はそれぞれ別のツールだったりします。そこで、ワークフローを考えながらツールを使い分け、APIでデータを繋ぐiPaaSも期待されています。
問い合わせ管理システム、LINE、zoomウェビナー、IP電話、音声分析システム、ヘルプサイト…カスタマーサポートで活用できる様々なツールを使い、iPaaSでデータを連携させるのです。

そうすることで、顧客情報の自動蓄積が実現され、より人間らしいリッチなコミュニケーションが可能になります。iPaaSでやり取りするデータの多くは顧客データです。
顧客からどんな問い合わせがあったか、LINEでどんなチャットをしたか、電話で何を話したか、ヘルプサイトでは何の検索をしたか、といった顧客の情報をiPaaSで繋いで、顧客情報を管理する基幹システムに一まとめにするのです。
そうすれば、顧客のこれまでのやり取り、そこから想像される顧客の像がよりくっきり浮かびます。そのうえでヒューマンファーストな人間味のあるコミュニケーション、データを活用した顧客サービスの自動化を行い、より良いサービス体験を作るのです。

■体験向上、収益化のためのカスタマーサクセス

カスタマーサポートの体験向上を議論するうえで欠かせないのが、カスタマーサクセスの取り組みです。
先日、カスタマーサポートの大型イベントのネクスト・コンタクト・センターサミットにて、openpage代表の藤島(私)とメルカリのカスタマーサポートの責任者である山田和弘さんと対談をしました。
そこではカスタマーサポート部門のプロフィットセンター化にも話を触れ、コールセンターのコミュニケーション機能を活用した能動的な顧客支援に関して議論をしました。

メルカリのカスタマーサポートは、コンサルテーションや営業提案もカスタマーサポート部内に含まれてくるものもあります。製品特性によってはスキルや業務範囲を従来のカスタマーサポート業務からカスタマーサクセス業務に膨らませる必要があり、メルカリのような先端的な企業を筆頭に、サポート業務の変革が動いています。
日本だけでなく米国やヨーロッパでもカスタマーサポート部門のカスタマーサクセスへのキャッチアップが行われ出しています。国内でも雑誌コールセンタージャパンもカスタマーサクセスの動きを注視しており、今後もカスタマーサポートとカスタマーサクセスのコラボレーションは発展していくでしょう。

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