古城 正信

OPEN Research&Development代表。ITコンサルティングやシステム開発の傍ら、法令や政策について公共経済学や行政法の理論、ITの活用という観点で調査・分析・提言を行う。 https://open-rd.net/

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最近の記事

良い政治家の例:房玄齢(『貞観政要』任賢第三)

 今回は、『貞観政要』の任賢第三から学びます。任賢第三は、唐の太宗に使えた名臣を挙げて、その言行を示したものです。良い人物を選んでいく際の具体例として見ていきましょう。今回は、房玄齢(ぼうげんれい)です。 房玄齢という人物初めは隋に仕えていたが、ある事件の罪におちて左遷された。 太宗が隋を攻めた際、房玄齢から会いに行き、一度会っただけで意気投合し、その後太宗に尽くした。 敵を平定した際、多くの人は我先に金銀財宝を求めたが、房玄齢だけは敵の中からひとかどの人物を集めて、太

    • 「すべて大事は皆小事から起こる」(『貞観政要』政体第二)

       現代の主権者である皆さんと学ぶ、「主権者のための帝王学」。今回は『貞観政要』政体第二の第八章から。前回の記事はこちら。 大意昔のことわざに、「危うくつまづきそうになときに手をとらず、転んだ時に助け起こしてやらないなら、付き添いなんかいらない」というものがある。 臣下は誠意を尽くして君主の過ちを正し、君主が危険になることから救わなくてはならない。 だから、臣下は正しい主張をし、思うところを遠慮なく諌めるべし。 君主が嫌な顔をしてもかまわずに諌めたり、君主の意向にさから

      • 「良い人物を選んで任せるべし」(『貞観政要』君道第一)

        今回も『貞観政要』から。君道第一の第四章を読み取ってみましょう。 前回の記事はこちら。 大意魏徴という功臣が太宗皇帝に意見を述べた。 過去の皇帝でその国家が続くことを願わなかった人はいないが、終わりを全うしたものは少なく、国を滅ぼした人も多い。 それは国家の繁栄を求める方法を間違っていたからだ。 その間違いは、天下を取った後にわがままになり、人々の労苦を顧みなくなったことにある。 天下を取るときは既に人々の間に不満があり、新しい皇帝に期待を持っているからうまく行きや

        • 「貴賎なく多くの意見を聞く」(『貞観政要』君道第一)

          今日も引き続き『貞観政要』より。君道第一の第二章からです。 前回の記事はこちら。 大意何をもって明君、暗君というのか。 明君というのは、多くの人の意見を聞くから明らかといい、暗君というのは、特定の人や一方の人の言うことだけを信じるから暗いという。 昔の賢い人は「薪を取るような賤しい身分の人の意見も聞く」と言った。 また、昔の明君と言われた人は、広く賢い人に来てもらい、広く見聞を広くして目や耳を塞ぐことのないようにした。だからこそ、だまそうとした人物が言行不一致であるこ

          「身を治めて国が乱れた例は無い」(『貞観政要』君道第一)

           各種古典から、現代の主権者である我々が、良い主権者たるに必要なアドバイスを紐解いて行きたいと思います。  まずは手元にある『貞観政要』(原田種成著、『新釈漢文大系第95巻 貞観政要 上』、H29、明治書院)から。  『貞観政要』自体についてはWikipedia等をご参考にされてください。  今回は、「君道第一」の第一章からです。 大意君主としての道(君道)は、人々をあわれんで恵みをもたらすことにある。 天下を安泰にしようとすれば、君主の行いを正しくしなければならない。

          「身を治めて国が乱れた例は無い」(『貞観政要』君道第一)

          「置き配ポイント」に税金を投入すべきか?

          「置き配ポイント」とは 岸田首相は、物流対策として「置き配ポイント」を含む「物流革新緊急パッケージ」を決定したそうです。  この「物流革新緊急パッケージ」については内閣官房のWEBサイトに、「物流革新緊急パッケージ」の関係閣僚決定資料が置いてあります。  いわく、  とのことで、物流の停滞が懸念される2024年問題に対する緊急の対策を打つという趣旨のようです。  その中で、「置き配ポイント」は、  と書かれており、ここでいう「ポイント還元」が「置き配ポイント」を指すよ

          「置き配ポイント」に税金を投入すべきか?