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良い政治家の例:房玄齢(『貞観政要』任賢第三)

 今回は、『貞観政要』の任賢第三から学びます。任賢第三は、唐の太宗に使えた名臣を挙げて、その言行を示したものです。良い人物を選んでいく際の具体例として見ていきましょう。今回は、房玄齢(ぼうげんれい)です。

房玄齢という人物

  • 初めは隋に仕えていたが、ある事件の罪におちて左遷された。

  • 太宗が隋を攻めた際、房玄齢から会いに行き、一度会っただけで意気投合し、その後太宗に尽くした。

  • 敵を平定した際、多くの人は我先に金銀財宝を求めたが、房玄齢だけは敵の中からひとかどの人物を集めて、太宗に任用するよう提言した。

  • 天下平定後、首相として朝早くから夜遅くまで勤勉で怠らず、節操を尽くし、一人でもその人にふさわしい地位を得られるよう願った。

  • 法令を審査制定するにあたっては、ゆるやかで公平であることを重視した。

  • 人を採用する際は完全さを求めず、自分の長所で人と争うことをせず、その人の能力に従った官職を授け、身分の低い、貧しい人でも分け隔てたり遠ざけたりしなかった。

  • 自分がひとたび首相の地位について15年になると、度々辞任を願った。

現代の主権者への教訓

 房玄齢は杜如晦と共に、太宗が皇太子の頃から支え続けた古参の臣下でした。後から仕えた魏徴との対比がよくなされますし、『貞観政要』の中でも、太宗から臣下に話をする際は「房玄齢らに」話すという体になっています。それだけ信頼された臣下であり、「貞観の治」を支えた重要な首相であったわけです。
 現代の主権者である我々も、房玄齢のような人物を首相に得たいと思いませんか?彼の行動を見ると、人物をいかに確保し、いかにその能力にあった仕事を任せるか、ということに力を尽くしていることがわかります。
 我々が政治家・候補者を選ぶ際も、このように人材を求め活かすことのできる人物を選ばなければなりません。お金をたくさん持っているとか、高級なスーツを来ているとかというところではなく、どんな人物が周りにいるのか、どれだけ人物を探して任用しているのか。仲良しグループを作って、身分の違う人や貧しい人を遠ざけていないか。地位に汲々としていないか。
 こういった視点でよくよく観察し、房玄齢のような人物を得ていきたいですね。

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