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「良い人物を選んで任せるべし」(『貞観政要』君道第一)
今回も『貞観政要』から。君道第一の第四章を読み取ってみましょう。
前回の記事はこちら。
大意
魏徴という功臣が太宗皇帝に意見を述べた。
過去の皇帝でその国家が続くことを願わなかった人はいないが、終わりを全うしたものは少なく、国を滅ぼした人も多い。
それは国家の繁栄を求める方法を間違っていたからだ。
その間違いは、天下を取った後にわがままになり、人々の労苦を顧みなくなったことにある。
天下を取るときは既に人々の間に不満があり、新しい皇帝に期待を持っているからうまく行きやすいが、ひとたび天下が治ると、人々は安定を願う。
しかし、新しい皇帝はなんでも自分の思い通りにできてしまうので、人々の苦労を考えずにわがまま放題にし、人々の心が離れてしまう。
(国家という)舟を載せるのも人であれば、舟を覆すのも人。よくよく慎まなければならない。
よくよく慎んで、人物をよく見極めて才能のある者を選んで任用し、善い者を選んでその言葉に従えば、彼らが力を尽くすので、君主は安泰に過ごすことができる。
現代の主権者への教訓
今回の教訓は、「国をうまく運ぶのも覆すのも我々次第」であり、「良い人材を選んで任せるべし」ということです。
魏徴の太宗に対する諫言の内容は、君主制を基本とした話であり、現代の権利が分散された我々主権者には、わがままにする力はないため、そのまま適用はできないでしょう。
しかし、今から約1400年前の時代においても、国家を動かす者は人々であるという認識があったわけです。日本という国家がどこへ行くのか、あるいは転覆するのかは、我々一人一人にかかっているということは変わりがありません。
では、どうすればよいのかというと、良い人物を選んで任せることだということです。見極めるポイントは別記事でも書いて行きたいと思いますが、本章では良い人物(政治家)とダメな人物(政治家)について、魏徴への太宗からの返事に書かれています。
いわく、良い人物とは、「政務中は誠実に尽くそうと思い、政務外では君主の過ちを補うことを思い、君主の美徳を助けて完成させ、君主の悪徳を正して救う」人物であり、悪い人物とは、「位は高いのに、政務についていないときは陰で君主の悪口をいい、政務中は君主を諫めることをしない」人物であると。
我々主権者が良い人物を用いるには、特に「君主の悪徳を正して救う」部分で、耳に痛い話を聞かされたときに、虚心坦懐にして直言を聞き入れることが大事でしょう。
また、今の政治家に「悪い人物」に当たる人がいないかどうか、また「良い人物」で政治に登用されていない人物がいないかどうか、よくよく見極めていくことが大切だということです。