相乗効果。ハンドメイド作家の試行錯誤18年間(中編 vol.6)

こんにちは金曜お昼になりました。手芸作家兼若手イラストレーターの展示をメインとしたギャラリーを運営している大図まことです。イラストレーターとハンドメイド作家のための「仕事とお金の授業」46回目となる今回は個人相手から企業相手のビジネスがはじまってからのドタバタ話の続きです。

前回までのあらすじ

刺しゅう雑貨ブランドを起ち上げてはじめて参加したギフトショー。そこで知り合った企業とのお取引がついに始まる。1,800円の価格設定をしたブローチは人気になるも卸すと全く利益が出ないことが後からわかり値付けのミスに気づく。さて、どう売上をカバーしていったのか。

▼これまでの記事を順に読めるマガジンを作りましたよ。


今日の授業はここから

ハンドメイド作家やイラストレーターのみなさんに質問です。自分が作った商品や自分が描いたイラストのグッズがどんなお店に並んだら嬉しいですか?そこではどんなお客さんが自分の作った商品を手に取ってくれていますか?少しの時間イメージしてください。せっかくなので実際にあるお店で具体的に考えてみましょう。




イメージ出来ましたか?
おそらく作っているものからして置かれているお店は近所のコンビニやホームセンターではきっと無いですよね。デパートだったら伊勢丹新宿、セレクトショップだったらアローズやビームス、ミュージアムショップだったらSFTなどでしょうか?考えているだけでワクワクしますよね。私も実際そうでした。

実は私たちが作っている雑貨は置いてもらえるお店が限られています。どんなに素晴らしい物を作ったとしてもどこにでも置いてもらえるわけではありません。さらに個人作家とはそもそもお取引き出来ない企業も多いです。言ってしまえば私がこれまでお取引き出来た企業があなたの商品を置けるお店全てです。ググって調べて下さい。残念ながらそんなに多くはありませんが少なくもありません。

余談
何を目的とするかにもよりますが当時私はハンドメイドのイベントやクリエイター、クラフト雑貨を中心に扱う場から抜け出したいと思ってました。単純にそこにいると居心地は良いけど不安定な生活からは抜け出せないとぼんやり感じてたからです。当時は自分の好きな事でどうやって収益を上げるか必死にもがいてた時期でした。

商品ラインナップは松竹梅!

はじめての展示会で並べた商品一覧

こちらのチラシ右下にある1,800円のブローチはお店へ卸すとほぼ利益が出なかったことを先週の授業で話しました。しかしそれをカバーする利益がその他のアイテムでたまたまですが取れていました。たまたまです。ラッキー!笑

アイテム別の当時の販売価格はチラシ上から順に8,800円の刺しゅうブレスレット、真ん中3,800円の毛糸の腕時計、左下にある6,000円の刺しゅう枠で出来た掛け時計、そして右下の1,800円のブローチです。商品を仕入れてくれたお店がほぼ全ラインナップを最初に入れてくれたことにより高価格帯アイテムの高い利益率が低いアイテムをカバーすることが出来ていました。

なんと刺しゅうブローチの売上をカバーした答えは「たまたま」だったのですが、現在運営するギャラリーでグッズなどを作る時は意識的に考えて商品化するようにしています。活動を続けて行くためには利益を出す商品が必ず必要になります。

▼参考になるnoteを以前書いてます。


ハンドメイドキットは手芸店かハンズにしか置いてもらえない!

ハンドメイドキット

ギフトショーでは毛糸の腕時計を自分で作れる手芸キットも一緒に並べて紹介していました。実はこのキットがこの年の売上の半分以上を占めるのですがほとんどお店には卸すことが出来ませんでした。どうしてかというと売場に立つスタッフが商品の説明を出来ないからと敬遠されたのです。実際手芸店とハンズにしか卸すことが出来ませんでした。販売するのに専門知識を必要とするアイテムは専門店以外では取り扱いづらいという事を学びました。

しかしながらキャッチーな見た目とハンドメイドブームに乗ってメディアで沢山紹介されたこともあり自社通販サイトで爆発的に売れました。これもたまたまでしたが卸と自社通販の二本柱はビジネスとして理想系だと思います。

▼関連するnoteを以前書いてます。


機械は壊れる

刺しゅう枠の掛け時計

展示会で配ったチラシ左下に掲載している刺しゅう枠で出来た掛け時計も毛糸の腕時計と同じくヒット商品となりギフトショーで発表してから10年くらい色々な柄のアイテムを作り続けました。1万個近く作ったのできっとどこかで目にした方も多いと思います。今見てもかわいいなと思うのですが時計を組み立てるのにコツがいるのと販売し終わったあとも修理などのアフターフォローがあり実は作るのにとても大変な商品でした。原材料費の高騰もあり製造をやめてから5年以上経ちますがいまだに修理依頼が届きます。機械ものでアイテムを作っていこうと考えている人はそのことも念頭に置いておくことが必要となります。

今日の授業の締め

はじめてギフトショーに出たこの年はこれまで話した事とは別に書籍を2冊出して、大きな個展も開き、刺しゅうのワークショップで全国を飛びまわっていました。

それだけしても手芸本やワークショップだけの収入ではその日暮らしから抜け出せませんでした。私の場合は展示会に出たこと、そのための商品を開発したことにより全てが相乗効果として繋がり継続的な収益を出す道筋が出来たと思います。

もっと販路を拡大したいハンドメイド作家やクライアントワーク以外の収入の柱を作りたいイラストレーターは是非私のやり方を参考にして下さい。何もしなければ「たまたま」上手く行くこともありません。


【参加者募集中】リアル授業のお知らせ

今年の4月に1回目、9月に2回目(計50名参加)を開催して以来久しぶりの対面リアル授業を12月中旬から運営するギャラリー(東京・蔵前)の冬休み期間を使って開催します。

普段ギャラリーに勇気を出して相談をしに来てくれる作家さんが沢山いますが中々時間をしっかり取ってお話することが出来ないのが実情です。なのでこの期間を使ってnote上だけではなくリアルな授業を行うことにしました。

講師である私大図が一方的に話す座学では無く同じ目標を持った少人数のディスカッション形式です。なのでご自身の活動をベースにした質疑応答が出来ます。前回まで180分でしたが全然足らなかったので今回から240分にしました!

今抱えている創作活動の悩みを年内中に取り払い、新しい気持ちで2025年を迎えましょう!一歩踏み出したい方は是非この機会にご参加ください。


■講師プロフィール

手芸店退職後、刺しゅう作家として独立。その作品は国内外のカルチャー&アートシーンからも熱い注目を浴びる。近年は手芸の枠を越えディズニー、サンリオ、BEAMS、G-SHOCKなどとのコラボが話題に。東京・蔵前でショップ&ギャラリーTOKYO PiXEL. を運営中。

▼参加される方や検討している方は事前にnote上で行っている過去46回分の授業を是非読んでください。
イラストレーター、手芸作家向け「仕事とお金の授業」はじまります。


■当日の授業内容予定はこちら
・コネなし、金無し、働き口無しで人見知りだった自分がどうやって好きな事を見つけ仕事にし活動を続けてきたのか具体的な例を元に全て話します。
・どういう営業方法をしているのかマル秘営業資料をこっそり紹介!
・どうしてトーキョーピクセルギャラリーは作品がいつも完売するのかの秘密を分析
・イラストレーターもハンドメイド作家も目指せ毎月30万円ライセンスビジネスで定期収入!
・それぞれの参加者が実現可能なビジネス戦略会議
・参加者全員の悩みが解決するまで質疑応答

■こんな人向けの授業です。
・毎週金曜お昼のnoteを読んでいる。
・周りにお金や仕事の相談する人がいない。
・何から始めたらいいのか、このまま続けていけばいいのかわからない。
・もっともっと仕事をして稼ぎたい!
・今抱えている悩みを全て解決したい。
・イラストレーター、ハンドメイド作家では無いが内容に興味がある。

■開催日時
2024年12月18日(水)12時~16時
2024年12月18日(木)17時~21時
2024年12月19日(木)12時~16時
2024年12月19日(木)17時~21時
2024年12月20日(金)12時~16時
2024年12月20日(金)17時~21時

■参加費
13,200円

■参加人数
各回4名

▼参加申し込みページ


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