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冬至の七種うどん、運が良くなる連想ゲーム│介護業界で働くことは難しい5

デイサービスで体操するという仕事に就いて早11カ月。始めの頃は利用者さんから評判が悪かったのですが、最近は何だかうまくいっているような気がしています。先日は晴れていたのに皆さん畑に行かず、9人も参加してくれました。

なぜ評判が良くなったか。

それはゲーム感覚の脳トレを体操の時間に組み込むようになったからだと思っています。

ゲームっぽいことをやると楽しんでもらえるとアドバイスを貰っていました。そして利用者さんにとって脳トレとは魔法の言葉のようで、なぜか真剣に取り組んでくれます。





1.運が良くなる連想ゲーム


先日の体操の時間のこと。

「それでは脳トレを始めます。今月は冬至がありますね。冬至に食べるといい食べものが7つあります。今日は運が良くなる連想ゲームをやりましょう」

みたいなことを言ってみました。

年末年始には運が良くなるとか縁起がいいとか考える機会が増えるのではないでしょうか。時期的に『冬至』だったので、冬至に食べると運が良くなる〜的なことを連想ゲームというかクイズのような感じでやってもらおうと思っていました。


 ① 『うん』が2つ付く言葉を書き出す


えんぴつと紙を用意します。

「『うん』が2つ付く言葉を考えてください」


と言っても、まず『うん』が2つ付く言葉、というのを理解してもらうのが難しかった。年齢が上がれば上がるほど、どういうこと??と分かってもらえません。

ホワイトボードに書きました。

◯ん◯ん

この◯の部分に当てはまるものを考えましょうと。運が重なるとか、たくさん運を呼び込めるとか、縁起の良さそうなものに多そうですね。


例えば『南天(なんてん)』とか、いくつか例を挙げてやっと分かってもらえましたが、あまり言い過ぎると書くものが無くなってしまいます。

そして実際に書いてみると分かるのですが、なかなか書けません。目標は20個としていました。

だいたい7個くらいで、もう思いつかなくなります。ここからは運が良くなるとかの縛りを外して、とにかく何でもいいから考えてみるということも大切です。

あ、い、う、え、お、と順番に考える人も出てきて、なるほど〜と感心しました。

たくさん書きました!



 ② だいたい書けたところで発表

前の人とカブらないように順番に発表していきます。脳トレと称していますが体操の時間でもあるので、足ぶみ&手拍子付きにしました。私はメモ係です。

全員で頑張って30個も書き出しました。
「あ」から始まる言葉が多いですね〜。


足ぶみと手拍子のおかげで体も温まりました。



 ③ この中から冬至の七種(ななくさ)を探す


今回のメインです。

冬至の七種
・にんじん
・れんこん
・なんきん (カボチャ)
・きんかん (金柑)
・ぎんなん (銀杏)
・かんてん (寒天)
・うどん  (饂飩)

ここで、注目したい栄養ポイントについて。

① ビタミンA
人参とカボチャは秋冬に積極的に摂りたい食材です。理由はビタミンACEを多く含むから。

② ビタミンC
ビタミンCといえば柑橘類。けれど、果汁なのか果皮なのかを意識することが大切です。例えばレモンはビタミンCが多いと思われがちですが、その半量は皮に含まれます。つまり皮ごと食べられる柑橘はとても貴重だということ。無理なく皮ごと食べられる柑橘の筆頭が金柑だと思っています。




2.冬至の七種うどん


これは、私の愛読書『マカン・マラン』シリーズにも登場するうどんです。


美味しそうな文章に惹かれて作りはじめて以来、冬至に毎年食べています。




3.葛藤を抱えた仕事に報われる瞬間があった


嫌がらずに体操に参加してくれるようになったのは嬉しいけど葛藤があるんです。

本当にこれで良いんだろうか。

運動と栄養をやるはずだったのに『脳トレ』に頼っている。脳トレに科学的根拠が無いことを分かっていて利用者さんたちに勧めているんです。脳を活性化させたとか言って。

私はあんまり脳トレという言葉が好きではないので、心の中では『脳番地トレーニング』と変換して仕事しています。

参考にしている『脳番地トレーニング』の本。



何ヶ月かして慣れた頃、少し栄養に絡めた『運が良くなる連想ゲーム』をやってみました。

勉強になったね〜と言ってくれた。
促されることなくメモしてくれた。
うどん作ってみると言ってくれた。

最初の頃を思い出すと嘘のようでした。
こんな日が来るとは。

えんぴつと紙を渡しても書くことなんて無いと言っていた人たちが、栄養の話をメモしてくれるなんて。


デイサービスでの仕事を今年の一月から始めました。はじめは評判が悪く人気も無かった。参加者がゼロ人という日もありました。スタッフさんから注意を受けることも多かったんです。

ガチガチにカリキュラムを組んで体操していましたが、日によって畑に行ったり買い物に行ったりと、準備したことが無駄になることばかりで。逆に雨の日は全員が体操に参加します。少人数と大人数では対応も変わってきます。

臨機応変性が求められるので、ざっくりとしか考えなくなりました。けれど、そのくらいが丁度いいみたいです。

そういえば、夏に水分補給クイズをやったら、意外と好評だったことを思い出しました。


がんばりが報われないことはなかったのかもしれません。楽しんでもらえたならいいか。歩みは少しずつでも進んでいると気づいた瞬間でした。


さて、冬至に食べたい七種うどん。運が良くなるようにと願いを込めて。今年も食べたら、この記事に追記したいと思います。


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12/26追記しました。

冬至の日に食べた七種うどん。

人参、蓮根、カボチャを好みの大きさに切る。金柑を輪切りにする。うどんつゆで根菜を煮る。糸寒天を仕上げにうどんつゆに加える。すべての具材をうどんの上にのせて完成。

銀杏は紙袋に入れてレンチンしましたが、なかなか割れず。痺れを切らした母が包丁の柄で叩き出す始末。なかなか好評で、あったまりました〜。

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