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泉質解説③〜美肌にはココ♨️〜炭酸水素塩泉

療養泉は、含有する化学成分の種類や量によって10種類の泉質に分けられます。

泉質によって、特徴や期待できる効果、適応症、禁忌症が異なり、温泉を選ぶ際の一つの目安になります。

10回にわたってそれぞれの泉質について解説していきたいと思います。

前回は塩化物泉について解説しました。↓

第3回は炭酸水素塩泉です♨️

ガス成分以外の溶存物質が1kg中1000mg以上で、陰イオンの主成分が炭酸水素であるものを、炭酸水素塩泉と言います。
さらに、陽イオンの成分によって、ナトリウム―炭酸水素塩泉、カルシウム―炭酸水素塩泉、マグネシウム―炭酸水素塩泉などに分けられます。

肌の角質を軟化する作用があり、「美人の湯」「美肌の湯」 と呼ばれる泉質です。

泉質別適応症

浴用
・きりきず
・末梢循環障害
・冷え性
・皮膚乾燥症
飲用
・胃十二指腸潰瘍
・逆流性食道炎
・耐糖能異常(糖尿病)
・高尿酸血症(痛風)

さらに、平成26年の鉱泉分析法改訂以前の泉質別適応症は、
浴用
・切り傷
・火傷
・慢性皮膚病
飲用
・慢性消化器病
・糖尿病
・痛風
・肝臓病

とされていました。

改訂前の適応症は伝統的に信じられてきた経験的見地によるもの、改訂後の適応症は最新の医学的知見によるものです。
改訂前と改訂後、どちらの効果も期待していいでしょう。

角質や皮脂を加水分解する際に、水素と二酸化炭素のガスが発生するため、殺菌作用や代謝促進作用、利尿作用が期待できます。適応症への効果は、主にこのような作用によるものだと思われます。

また、旧分類では、「重炭酸土類泉」と「重曹泉」という2種類の泉質に分かれていました。

重炭酸土類泉

カルシウム―炭酸水素塩泉とマグネシウム―炭酸水素塩泉は、重炭酸土類泉に分類されていました。
カルシウムイオンやマグネシウムイオンには鎮静作用があり、痙攣や炎症を抑える効果があります。
アレルギー性疾患や慢性皮膚病、じんましんなどに効果があります。

飲用では、利尿作用があり、尿酸の排泄を促し、痛風、尿路結石、膀胱炎などに効果があります。
また、血糖値を低下させるため、糖尿病が適応症となります。
さらに、胃酸を中和して胃腸の働きを鎮静させるため、慢性胃腸障害にも効果があります。

湯口や浴槽の縁に、石灰質が固形化した析出物が形成されることがあります。

重曹泉

ナトリウム―炭酸水素塩泉は、重曹泉に分類されていました。
皮膚の古い角質を軟化させる乳化作用や、皮脂や汚れを落とすクレンジング効果が期待できる「美肌の湯」です。また、皮膚病や切り傷、火傷の治癒にも効果的です。
さらに、皮脂が落ちることで皮膚表面からの水分の蒸発が盛んになり、清涼感を感じるため、「清涼の湯(冷えの湯)」とも呼ばれます。

飲用では、胃酸を中和するとともに、胃の中で炭酸ガスを発生させ、粘液を溶解して胃内の排泄を促します。血行が促進されるため、慢性胃炎にも効果があります。
また、胆汁の分泌を促し、肝臓や膵臓の働きを助けるため、ヨーロッパでは「肝臓の湯」とも呼ばれています。
胆石症、胆のう症、初期の肝硬変や糖尿病、痛風、尿酸結石などに効果があると言われています。

さらに、ヨーロッパでは吸入療法も盛んで、慢性の上気道の炎症、慢性閉塞性呼吸器疾患などに用いられています。

代表的な温泉地

・支笏温泉(北海道)
・東鳴子温泉(宮城県)
・笹倉温泉(新潟県)
・蒲田温泉(東京都)
・平湯温泉(岐阜県)
・十津川温泉(奈良県)
・龍神温泉(和歌山県)
・嬉野温泉(佐賀県)
・島原温泉(長崎県)
・七水木温泉郷(熊本県)
・京町温泉(宮崎県)
・妙見温泉(鹿児島県)

おわりに

炭酸水素塩泉は、肌の乳化作用、クレンジング作用があり、「美人の湯」「美肌の湯」と呼ばれる泉質です。ただし、浴後は肌が乾燥するため、必ず保湿をしましょう。前回の記事でも書いたように、湯めぐりの際には、炭酸水素塩泉の後に塩化物泉に入ることで保湿剤代わりにすることもできます。

また、医学的な効果が高く、湯治客にも人気があり、医療現場では人工炭酸泉なども用いられています。
ドイツをはじめ、ヨーロッパでは保険適用となっている国もあり、飲泉や吸入も盛んに行われています。

美容と健康、ダブルで効く泉質だと言えます。


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