「金曜日の煮凝り」開発秘話-①
2022年2月「金曜日の煮凝り」リリース!
構想からおよそ10ヶ月。2022年2月末に新商品「金曜日の煮凝り」の販売を開始することができました。販売開始から1年が経ったわけですが、おかげさまで2000箱以上販売することができました。この記事では、金曜日の煮凝りの構想から販売に至るまでの裏側をまとめたいと思います。
きっかけは「原発処理水海洋放出決定」
東日本大震災の発生からちょうど10年経った節目の年のこと。2021年4月13日、各紙一面で福島第一原発の処理水海洋放出決定が報道されました。安全面で問題がないのに、風評被害がまた再燃するのではないか、と業界内では不安の声。社内では「福島県”外”産」の魚や商品の拡充を進めるべきではとの声も。当時私が実施していた社員面談でも、原発処理水海洋放出に対する会社の方針を早く提示してくれ、と懇願されたのを覚えています。私自身、不安というよりかは危機感の方が強かった。何か手を打たないとマズいことになる、と直感的に思いました。
▼日本経済新聞(2021年4月13日)
逆張りの方針、ふくしまが誇る「常磐もの」で攻める
危機感を覚えた私は、実際に原発処理水の海洋放出が行われた場合のあらゆるシナリオを考えました。そこで一番濃厚なシナリオだったのが、安全面で問題がないことは科学的に確かであるが、やはりなんとなく不安を抱くという方が一定数出てくる、ということでした。少し環濠(かんごう)トレーの話をしましょう。「環濠トレー」と呼ばれる、フタが本体にカチッとはまり、パックを閉じる際に輪ゴムやテープなどが不要になるタイプのトレーがあります。しかし、それでも万が一フタが外れるかもしれないからという理由で環濠トレーにテープを貼り続けてしまう人が散見されます。安全だと分かっていてもなんか不安、というのは日本でよく見受けられますよね。
同じように、原発処理水放出に関しても、いくら科学的に安全だと説明しても、やはり不安を感じる方は一定数いらっしゃるのです。であれば、そうでない方を対象にふくしまが誇る「常磐もの(※)」の美味しさを純粋に訴求した方が合理的だと考えました。そこで、福島県産の品質が高い「常磐もの」だけを贅沢に使用した新しい加工品を開発しよう、と考えたのです。だって気づいたではありませんか。3.11が原因で福島県沖での漁が一切できなかった間、他県の魚を仕入れて売るしかなかった我々は。「やっぱ、ふくしまの魚ってうめかったんだな」って。
(※)常磐ものについてはこちら http://joban-mono.jp/about
なぜ「煮凝り」に着目したのか
そもそもみなさん、煮凝りってご存じですか?「にこごり」って読みます。我々が47都道府県1000人を対象に実施した調査では、煮凝りの認知度は53%、喫食率は47%と、およそ2人に1人が煮凝りをそもそも知らないし、食べたことがないという結果でした。また、煮凝りのイメージ調査では「よくわからない」が約40%でした。
上記の調査結果から明らかなように、認知度が低くポピュラーでない煮凝りになぜ着目したのか。それは、①あまり普及していないけども実はニーズがある一品であると判断したからというのと、②昔ながらの伝統食であり食に対するかけがえのない素晴らしい姿勢や文化が煮凝りには詰まっており、それを次の世代に残したかったからです。
煮凝りの商品特性
・調理不要ですぐ食べることができる「即食性」
・ペリッとフィルムをはがすだけで手軽に食べられる「利便性」
・コラーゲンが詰まっており魚の栄養が凝縮されているという「健康性」
→どれも現代のニーズに合致するので「リブランディングすれば売れる」と判断した
煮凝りが体現する大切な「食への姿勢」
・煮魚を作った後に残る煮汁。それが魚のコラーゲンで自然と固まったものが煮凝りであり、昔から捨てることなく最後まで味わいつくそうと家庭で食べられてきた。まさしく日本の”もったいない精神”を帯びている。
・煮凝りには、捨てられてしまう骨(肉や魚)などから抽出した出汁を使用することがあります。出汁は日本食が誇る大切な文化です。
→次の世代に繋ぎたい大切な「姿勢」「食文化」
長くなるので今回は一旦ここまでにします。「金曜日の煮凝り」は、原発処理水放出決定をきっかけに構想が始まり、調べてみると可能性を秘めていたので商品開発に動いた、といった感じです。
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