心地よい選択か否か?
ドロップアウト
結婚・出産を経て、2人目の子供の幼稚園入園を機にパートを始めた。
1年以上かけて、家庭の状況に理解ある会社を探し、専門外であった資格も勉強してやっとの思いで入社。
約6年ぶりの社会復帰。ここで正社員になり65歳まで働くぞー!と鼻息荒く意気込んで入社したはずが、数ヶ月経った頃、毎日出社することが苦痛へと変わっていた。
理由は様々。社会人としての勘を取り戻すのに時間がかかってしまったこと。仕事覚えの悪さに自分自身失望してしまったこと。苦手意識のあった分野の仕事であったこと。嫌いだった電話対応をしなければいけないこと。
また、小学生にあがった子供をいつまで放課後の学童に預けるのか、そこにも疑問を持ち始めてしまったこと。
そして何より、自分の心が日に日に窮屈になってしまったこと。
以前のわたしであれば、仕事なのだから当たり前。努力して我慢してこなしていくのが社会人たるもの。何を甘えたことを言っているんだ。
そう思っていただろう。あるショッキングな出来事が入社と同時期にあり、その出来事をきっかけに、自分を犠牲にすることはもう終わりにしようという考えにシフトしていたわたしは、こういった様々な理由を乗り越える意欲がなくなってしまっていた。
そして、わたしは「以前のわたし」からドロップアウトすることを決め、やっとの思いで入社した仕事を、たったの2年で退職した。
新たな仕事
退職して専業主婦に戻ろう。そう思って辞めたわけではない。
自分を犠牲にすることを辞めたわたしは、自分にとって心地よいものをチョイスする練習をしてきた。
日々のちょっとしたこと。例えば、今食べたいものを食べる。今やりたくないことは今やらない。自分がその瞬間、その瞬間、心地よいなと思った方を選択するという練習だ。
その結果、わたしは、AIに奪われることのない自分自身に備わっている才能は何か、子供の「ただいま」を自宅で迎えることの出来る仕事は何か、そして心地よく出来ることは何か、を退職までの2年で探し、行動し、言葉と色を使って活動するアーティストを職業とすることに決めた。
絵を描くことが好きだったわけでも、美大を出ているわけでもないないわたしが、アーティストを職業にするという決断。自分自身もだが、よく家族も許してくれたなと思う。しばらくは、アーティストになったんで仕事辞めました!なんて堂々と知人にも言えなかった。
後ろめたさと、恥ずかしさと、自信のなさがあったからだろうか。
アーティストとして開業届を出して半年経った今、ようやく周りにも笑いながらだが、言えるようになってきた。
たった1つの心がけ
「以前のわたし」をドロップアウトしたわたしが、日々心がけていることがある。
それは、仕事を辞めるまでの2年も自分に問いかけ続けてきたこと。
「それは心地よいのか?」ということだ。
自分にとって、心地よい選択をしてあげることが、仕事においても、日常においても最優先事項。
わたし自身が日々を軽やかに生きること。
そして、わたしの作品を通して、相手の方の心が軽やかになることを目指して日々活動している。
自分の感性のみでものを生み出す職業のわたしは、心地よい状態でリラックス出来ていなければ、人の心を軽やかに出来るわけがない。
今はまだ、夫にももっと稼いでほしいと言われてしまうくらい、稼ぎは少ない。夫が生活費を稼いでくれているからスタート出来たこと。そんなわたしが発言したところで、何の発信力も説得力も持たないかもしれない。
けれど、自信を持って言えるのは、朝を迎えることが何ひとつ苦痛じゃなくなったということ。
心が窮屈ではなくなった。やりたいと思うことが増えた。なりたい未来を描けるようになった。
そして、自分の子供に見せたい姿が明確になった。
「お母さんって何か楽しそう。大人になるって楽しそう!」
子供が、明日を迎えることを楽しいと思えるような、楽しい大人でありたいと思っている。
その為にも、自分を犠牲にすることなく、心地よく生きること。これからもずっと大切にしていこうと思う心がけだ。そして心地よく生きる先に、物心の豊かさが必ず訪れるということも、只今実験中。今はまだその道の途中だが、「以前のわたし」よりもずっとずっと、いい感じだ。
とってもテキトーに聞こえるかもしれないが、何だかとても、いい感じなのです。
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