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雛人形をきれいに見せるための基本ルール①
お雛様をきれいに飾り付ける上で大切な要素には、「お顔」「衣装」とともに「全体の調和」が大切です。そんな「お雛様をきれいに見せるための、飾り付けに関する基本ルール」をご紹介していきます。
同じお人形をつかっても、飾り付けの良し悪しによって、全体の雰囲気は大きく変わります。「しつらえ」という言葉があるように、どんな伝統文化においても飾り付けの際には繊細な配慮が必要となります。ユネスコ文化遺産にも登録された「和食」であれば「器選び」が重要であるとされ、また、茶道華道でもそれぞれに細かなルールがあるように、雛人形、五月人形にも同じような飾り付けの技術が存在します。
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▢全体のイメージをつくるのは、「毛氈」と「屏風」
千利休の言葉に「夏は涼しく冬暖かに」というものがあります。実際の気温に対する感覚だけではなく、視覚的な要素も含む言葉であるように感じられます。
雛人形であれば飾る季節は「春」。五月人形であれば「夏」なのは、旧暦を考えればおのずと分かります。ですが、現代の暦においてはそれよりもやや早くから飾り始めます。まだはっきりと寒さが残る今の二月や三月です。季節を先取りするつもりで、暖かなニュアンスで飾り付ける必要があるでしょう。
・毛氈
お雛様の下に敷く緋毛氈(ひもうせん)は、ひな祭りの時だけではなく正月などの「ハレ」の場にも使われる敷き物です。これは「緋(ヒ)」の音が「火」に通じることから、厄を浄化し、その場が清浄な空間であることを示しています。夏の五月人形、七夕行事では真菰(まこも)や緑の毛氈など、視覚的にも夏らしい敷き物を使いますが、正月、ひな祭りという、寒さも感じる季節には暖色の緋毛氈を使います。
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・屏風
お雛様の背景には金屏風がポピュラーに用いられます。金が最大のハレの色であることは言うまでもありません。一方で、節句行事においては金屏風以外にも様々なデザインの屏風が使われてきました。
※屏風のデザインについては改めて投稿します。
お雛様の視覚的要素の大部分は、「緋毛氈」と、面積の大きな「屏風」によって作られます。どんなに良いお雛様を購入しても、屏風に季節感の合わないものが使われていては違和感を生みますし、敷き物や衣装の取り合わせが寒色系にそろえられていたのなら、やや肌寒さが残る飾りとなります。これらは取り合わせで解決できることがあるものの、しっかりと季節感を意識して選びたいところです。
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▢飾り台は「立派に見せるための道具」
仮に屏風を「料理の器」と例えるのなら、飾り台は「折敷」や「半月」、「木製ランチョンマット」のようなものになるかもしれません。雛飾りにおいては、基本的には緋毛氈が敷いてあればそれで良く、飾り台は絶対に必要なものではありません。もちろん立派に見せるためには使って良いものです。
・塗りの台の場合
これも和食同様、日本の伝統文化の中において、木製の台には基本的に塗り物を使います。漆塗りであれば言うことはありませんが、金額が高くなりすぎるのであれば、漆に類似した〈カシュー塗り〉のものでも良いと思います。オーソドックスな黒色か、緋毛氈に寄せた朱色や溜塗系のものが、ひな祭りの雰囲気を高級感とともに演出してくれます。
黒塗りの台の内側に畳が敷いてあるものもあります。塗りの台はどうしてもキズが気になるので、畳が敷いてあれば細かなキズを気にしなくて済みます。
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・木目調の場合
今では希少なものとなっていますが、指物師がつくる木製台もあります。漆塗りがされていない木材を使用した飾り台は、茶道具の棚や花台にも通じるものです。こうした台をお持ちのお客様は、それに合わせてお雛様を飾り付けることも可能です。
塗りの台であるのならば中身の木材は見えませんが、木の良さをナチュラルテイストに楽しむのであれば、指物師や木工家がつくる木製台を選びたいところです。ベニヤ板や集成材を使ったものでは、せっかくのお雛様の絹織物の風合いが損なわれてしまいます。
本来、数千円で手に入る緋毛氈があるので無理に台を使う必要はなく、毛氈と台との差額分、人形や道具に良いものを選ぶというのもいいでしょう。
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※「お雛様の飾り付け方」は次回も続きます。