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「算数は具象、数学は抽象」

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(今回のワンセンテンスは、テクニックではなく一般論です。中学受験とは直接関係ありませんので、飛ばしていただいても結構です。算数が、頭の体操だけではなく現実世界とつながっていることについて書いています。)


小学校で勉強する「算数」は、中学校では「数学」と名前を変えます。

「算数」と「数学」の違いとして、よく言われているのが、扱う対象の抽象度の違いです。つまり、「算数」はその扱う対象を、より具体的な事物を通してとらえるのに対して、「数学」の扱う対象は算数に比べて抽象度が高くなります。
小学校の低学年では、数そのものでさえ、みかんやリンゴといった具体的な事物にひもづけて学習します。学年が上がるにつれ、徐々に抽象度が高まっていくとはいえ、例えば、方程式を使うことはご法度とされています。以前触れましたが、発達心理学の観点から、方程式のxとかyとかいった抽象物を利用した学習は、具象物に対する理解を十分行ったうえですべきとされているからです。小学生が学ぶのは「数学」ではなく、「算数」なのです。

参考
消去算1(n元一次方程式)「n個の未知数のとき、n個の式がたてられれば解ける。」part1


同じ分野の学問であるのに「算数」「数学」と、その呼び方を変えているのは、教える側に対するある種の戒めもあるのだと私は解釈しています。あまり抽象度の高いことをやってはいけませんよ、そういうことです。
その意味で、このブログで、たまに、いや、よく、算数を逸脱して、抽象度の高い内容を取り上げている私にとって、これは非常に耳の痛い話になります。

例えば、前回まで、正多面体の塗り分けをみてきました。
学んだ内容は高度に抽象的で、具象物との紐づけなんてものは一切ありません。
まずそもそも、立方体は別にして、正多面体という立体自体が、あまり実生活でなじみのあるものではありません。そのなじみのない立体の塗り分けなど、さらに具象から遠ざかっていると言わざるをえません。
でも、実は、多面体の塗り分けにおいて、異なる複数の塗り分けがあるという立体の幾何的性質が、現実の世界でも非常に重要な事実をもたらしている具体例があります。

今回は、算数から少し離れて、これを紹介しておきます。



正多面体の最もシンプルな例として、正四面体を考えてみましょう。

日常、正四面体の形をしたものに触れる機会は多くありません。
お父さん、お母さん世代ですと、学校給食の牛乳のパッケージ「テトラパック」を思い出される方もいるかもしれません(注意 容積当たりのコストが最小となるそうで、正確には正四面体ではなく三角錐だそうです)。ただ、現在ではあまりみかけませんので、お子さんにはなじみがないでしょう。

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また、こちらも正四面体ではありませんが、正四面体に関係するかたちなら海岸で見ることができます。そうです。テトラポッド(消波ブロック)です。

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テトラポッドには4つの先端がありますが、そのうちの3つを頂点とする平面(正三角形)4つで囲めば、正四面体になります。
また、その4つの先端のところに直交する平面(正三角形)4つをそれぞれ持ってきても、正四面体になります。
もっとも転がりにくい形の一つだそうです。

これらくらいしか正四面体に関わるものがないなかで、正四面体の塗り分けが科学的にも非常に重要な結果をもたらすと言われても、なかなか腑に落ちません。

しかしながら、ミクロな世界に足を踏み入れてみると、正四面体に関係する形がたくさんあるのです。
あるものを中心に、それが3つのものとつながっているとき、実はテトラポッドに似た形になるのです。

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