どくとるマンボウ昆虫記
北杜夫 1974年
・あらすじ
・感想
北杜夫さん(1927~2011)、高校の現代文の授業のとき、演習テキストに載っていたことで知りました。歌人の斎藤茂吉さんの息子さんで、精神科医としてもご活躍されました。先週末、図書館を散策していた時に、この方の作品を発見しました。もしかしたら、この本、その演習テキストに載っていたやつかもしれないと思ったのですが、違うかもしれません(笑)(記憶が定かでない😓)
こういう言い方は失礼かもしれませんが、今から50年も前の作品ということで、とても年季を感じる言葉も多く、本の表紙や紙も、薄茶色に焼けていて、間違いなく古本という感じでした。こういう感じの本はこれまであまり読んだことがなかったので、味があって面白かったです。これこそ「THE本」です。ちなみにタイトルの「どくとる」はドイツ語で医者(Doktor)という意味の言葉です。
あらゆる虫の生態や習性、現状やこれからについて語っておりました。また、ところどころ虫に関する北さんの思い出話や、大人になってからの研究のために行った旅行の話など、ただの「虫の研究日記」、で終わらせないところにとても読みごたえがありました。
1番驚いたのは、当時から数が減って絶滅が危惧されている種があることが書かれていたことです。例えば、川の中に住む虫の一つは、川などの土の中に卵を産み付けていたようですが、都市部などで開発が進むにつれて、川や海も底がコンクリートでがっちりと固められ、卵を産み付けれれない、その結果、種全体の個体数が減ってしまうということが書かれていました。先ほどもお話ししましたがこの作品は50年も前の作品です。その当時から絶滅が危惧されている種がいたということに驚きました。50年後の2024年、どうでしょうか。むしろ人々の営みは1974年当時よりも環境に負担をかけるものとなっており、さらに、絶滅が危惧されている虫や動物が多くなってきているという印象ですよね。もちろん、対策などを世の中全体で行なっていますが、さらに予断を許さない状況であることに変わりはありませんよね。50年も前に書かれた本が、今の環境をすでに予言していたような気がして、とても複雑な気持ちになりました…。
古い本、なかなか手に入れにくくて大変なイメージがあります。しかし、こういった本もその当時の雰囲気や今となっては廃止されたもの、死語となってしまった言葉に浸ることができ、当時を感じることができること、後の時代や今現在の世の中を予測したり、想いを馳せたりしているところがあり、とても、不思議な感覚になりました。
普段は最近書かれたベストセラーの本とかを読むことが多い私ですが、今後、古本ももっと読んでみようと思いました。まだ、どくとるマンボウもシリーズものらしく数多くの作品があるようなので、まずはそれを読んでみようかな。
・書籍情報
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