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雑記69 アルゼンチン人選手の悩みが取り除かれ 力を発揮するようになった話、末永正雄さんの話

雑記69 アルゼンチン人選手の悩みが取り除かれ 力を発揮するようになった話、末永正雄さんの話


文字数1500ほど



確かエディー・ジョーンズさんの話だったと思うが、確証が持てない。


ある人が、(たしか)ラグビーのクラブチームを率いている時に、チーム内にアルゼンチン出身の選手がいたらしい。
その選手は不思議とやる気や気力があまり感じられず、注意散漫なように感じられたらしい。



ある時、機会があって、その選手と落ち着いて話すことができたらしい。

その選手は「ずっと誰にも言えずにいたが、自分の家族の財政状態が非常に苦しい状態になっており、そのことが頭から離れないまま長い時間を過ごしていた。申し訳ないが、今までずっと心がラグビーどころではない状態になっていた」と言う話をしたらしい。


その選手とその家族の置かれた状況について、話し合いによって正確な情報を把握した監督は、その選手がその悩みから解放されて、プレーに集中できるような条件を整えられるようにクラブチームと話し合ったらしい。


結果として、その選手の悩ましく感じていた問題は大部分が改善されて、その選手はプレーに集中できるようになり、その後大いにチームの助けになってくれた、と言う話を聞いた。




恐らく、実際的な解決策も選手の悩みを緩和させたが、何よりも監督と選手とがうまく問題を話し合えて、共通の理解を持てたことが自分としては悩みの緩和に大きい影響を与えたように感じる。

悩みは、人に話すことができると、解決策をもらえなくても、大部分良い方に向かうことがあるように感じる。

悩みは、単にそれを、誰かに向かって、こまかに言葉で描写することができて、それを他の人と共通の認識として持つことができれば、不思議と負担が軽くなるもののように自分は感じる。
それは自己問答でも改善されることも多いが、不思議と、誰か他人を介在させることでしか改善されないこともあるように自分には感じられる。

胸中に秘めていることを人に話す、ということには、なにかし妙なパワーがあるように自分は改めて思う。




考古学研究の大家と言われる人のインタビューが文章になっているものを前に読んだときに印象的に感じる内容があった。
末永正雄さんという方である。

(小林秀雄の直観を磨く という対談集の、河上徹太郎との対談の中で、「考古学の大家」として名前が出ていて自分は初めてこの人を知った。)



末永さんは、自分のゼミに所属している学生の家の経済状況は大体把握している、ということを話していた。
(末永さんの全集・著作集の中に、インタビューの内容が文字として残っていて、そこにこの内容が書かれていた。)



彼によれば、学生の周辺の経済状況を把握している事は重要なことで、そういうことを知っていればこそ、その学生が自身や家の経済状況についてどのくらい悩ましい思いを持っているか、ということを大体推し量ることができる。

例えば、ちょっとした遠出の研究を提案する時も、その学生の資金力を知っていると、遠征費用やいろいろな諸経費について、教授側からも心や頭を働かせることができて、何か不都合がありそうな場合に、学生が単独で頭を密かに悩ます、という苦しい狭い道に進むこもを避けやすくなる効用がある。



学生の、自身や家の経済状況についての認識が、研究を進めようと言う気持ちに、ブレーキをかけてしまうことがある。
そういうケースが発生しそうな時に、その学生の経済状況を教授が把握していれば、大学や外部の人たちに助けやサポートを要請することができる。

上記のアルゼンチン人のスポーツ選手の話と似ていると感じた。

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OndokuAikouka(音読研究×小林秀雄散策)
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