【Audible本の紹介21】ノルウェイの森(村上春樹)
今回紹介するのは、1987年に発行された「ノルウェイの森」です。当時ベストセラーになり、高校生となった自分も赤と緑の本を買いました。その後、2004年に出された文庫本を買って読み直したこともあります。2023年、Audibleで発行され聴いたので、今回、とりあげてみます。
村上春樹の代表作として、一般に有名な本なので、内容の紹介は省略し、本書を読んで、自分がどんな影響を受けたのか、を書いてみます。ちなみに、自分が最初に読んだのは、1992年頃、高校生の時です。(30年以上も前とは驚きです。)
1 大学進学先として東京を目指すきっかけとなった
小説中の場面として、ワタナベの大学での授業の様子や直子と散歩した町なみとか、バイト先の新宿の雑踏が思いだされます。また、都会らしい人と人の距離感が感じられたり、小説に出てくるのは他人にあまり関心を持たない人たち、という印象があります。一方、大学紛争の名残とか、大企業に就職しサラリーマンになっていく大学生とか、まだまだ経済が成長している状況の日本、その中心である東京という印象もあります。
キズキの死を背景とするワタナベや直子の事情とは違いますが、自分が大学に行く際に、暮らしてみたい場所として東京を考えたのは、ノルウェイの森の影響がわりと強くて、高校生なりに、東京ではこんな暮らしになるのかな、というイメージを持ったと思います。
2 ビートルズを聴くきっかけとなった
小説の中には、ジャスからクラシック、ロックなど様々な音楽が登場します。その中でも、本書のタイトルの元となったノルウェイの森をはじめ、レイコさんが寮から北海道に行く途中で東京に来た時にギターで演奏したビートルズのいろんな曲に興味を持ったので、CDのアルバムを順番に買って、聴きました。英語の歌詞カードを読んだのも記憶しています。
3 恋愛のきっかけとなった
振り返れば、大学で一人暮らしして、こんな風に女性と知り合って、みたいな勝手なイメージを持つきっかけになったと思います。永沢さんや主人公のやり方は対極にあるとしても。また、本当の現実は置いておいて。
4 生と死について考えるきっかけとなった
作品中に、キズキ、直子、永沢さんの恋人だったハツミさんなどの死が出てきます。「死は、生の対極としてではなく、その一部として存在している。」と主人公は語っています。このことについて、「人は、生の中にも死を意識しつつ、生きていく」と、自分はとらえました。
なお、みどりは、死の対極である生を象徴する存在として描かれていると思いますが、「生と死は対極ではない混在したものと捉えるならば、みどりも、そして、誰もが、生と死の両面を抱えて生きている(だから、人生は、
不思議であり、面白い)」と言える、と思います。
自分は、18歳のころ、30歳のころ、50歳手前のころ、と読むタイミングがありましたが、その度毎に受け取り方が変わった部分と、変わらず同じ印象を受ける部分があります。この点も、面白いです。
最後に、別の方の感想を一つ紹介し、audibleのリンクを貼っておきます。